【007 美しき獲物たち】
A View to a Kill ショーン・コネリーだけが真のジェームズ・ボンドであるという風潮を見事に覆した三代目ボンド=ロジャー・ムーア。本作が、7作品に渡りボンドを演じたこの男の最後の作品となりました。シベリアの流氷からパリのエッフェル塔、そして、サンフランシスコの金門橋まで、まさに世界を股にかけてスペクタクル・アクション紀行をします。
最後の敵は、クリストファー・ウォーケンとグレイス・ジョーンズという、悪の実業家というよりは、2人のロックスターにしか見えないこの2人が、これでもかという程にその個性を見せつけてくれます。ソ連が生み出した試験管ベイビー=強化人間の凄さをとくとご覧あれ!
あらすじ
シリコンバレーを壊滅させ、世界の半導体マーケットを独占しようと目論む、旧ナチス・ドイツの科学者のステロイド実験により生み出された強化人間ゾーリン(クリストファー・ウォーケン)。彼は天才的な知性を持つ代わりに、罪悪の観念が喪失している精神異常者だった。
ゾーリンは配下の怪力の女殺し屋メイ・デイ(グレイス・ジョーンズ)に、自身の身元調査をしている探偵の暗殺を命じるのでした。そして、メイ・デイは、見事にパリのエッフェル塔のレストランで、ボンドと打ち合わせしているその目の前で、探偵の暗殺に成功するのでした。車を半分に分解させながらも、彼女を追跡するボンド。しかし、すんでの所で逃げられてしまいます。
反撃を誓うボンドは、ゾーリンの本拠地であるシャトーに侵入するのでした。さぁ、ボンド君。最強最後の敵との戦いの始まりだ!
ファッション・シーンに与えた影響
本作は、製作費3000万ドルをかけて作られ、世界中で1億5240万ドルの興行収入をあげる大ヒット作となりました。それはまさにロジャー・ムーアが作り上げたボンド第三帝国の凄さを改めて知らしめる結果となりました。
1985年に公開されたロジャー・ムーア最後のボンド作品『007 美しき獲物たち』が、ファッション・シーンに与えた影響は、この一点で十分です。それだけ、その影響力は絶大でした。
- アズディン・アライアがデザインしたグレイス・ジョーンズのファッション
80年代のボディコン・ブームを生み出したアズディン・アライアの凄さを垣間見る目的だけでも、この作品の存在価値はあります。それほど、この作品はファッション史的に重要なファッション史資料ムービーなのです。
作品データ
作品名:007 美しき獲物たち A View to a Kill (1985)
監督:ジョン・グレン
衣装:エマ・ ポーテウス
出演者:ロジャー・ムーア/クリストファー・ウォーケン/グレイス・ジョーンズ/タニア・ロバーツ/アリソン・ドゥーディ
- 【007 美しき獲物たち】三代目ボンド=ロジャー・ムーアの最終作
- 『007 美しき獲物たち』Vol.1|ロジャー・ムーアとデュラン・デュラン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.2|ロジャー・ムーアとルイ・ヴィトン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.3|ロジャー・ムーアとレザーブルゾン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.4|クリストファー・ウォーケンとカルティエ
- 『007 美しき獲物たち』Vol.5|クリストファー・ウォーケンとドルフ・ラングレン
- 『007 美しき獲物たち』Vol.6|グレイス・ジョーンズとアズディン・アライア
- 『007 美しき獲物たち』Vol.7|グレイス・ジョーンズとジャン=ポール・グード
- 『007 美しき獲物たち』Vol.8|タニア・ロバーツという悲劇のボンドガール
- 『007 美しき獲物たち』Vol.9|タニア・ロバーツの80年代プレイメイトルック
- 『007 美しき獲物たち』Vol.10|アリソン・ドゥーディと取貝麻也子