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【エマニュエル ウンガロ】ディーバ(ジャック・ポルジュ/フランソワ・ドゥマシー)

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ディーバ

原名:Diva
種類:オード・パルファム
ブランド:エマニュエル・ウンガロ
調香師:ジャック・ポルジュフランソワ・ドゥマシー
発表年:1983年
対象性別:女性
価格:不明

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シャネルの「ココ」の一年前に生み出された香り

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ウンガロの1985-86秋冬のスーツを着ているアヌーク・エーメ。

『甘い生活』のアヌーク・エーメとマルチェロ・マストロヤンニ。

私のファースト・フレグランスの名を「ディーバ」と呼びます。この香りは、エマニュエル・ウンガロのためというより、最愛の妻のために特別に作られた香りでした。

フランソワ・ドゥマシー

日本でも高島屋との提携により、抜群の知名度を誇っていた時代のエマニュエル・ウンガロの第二弾フレグランスとして1983年に発表された「ディーバ」。〝ディーバ〟とはイタリア語で〝女神〟〝スーパースター〟を意味します。

当時既にシャネルの三代目専属調香師だったジャック・ポルジュフランソワ・ドゥマシーにより調香されたオリエンタル・フローラル・シプレの香りは、エマニュエル・ウンガロのシンボルでもあるローズを基調に作り上げられた、ウンガロが当時交際していたアヌーク・エーメ(1932-2024)という最高峰の女性のために生み出されたものでした(どうやらドゥマシーがこの香りの調香の主導権を握っていたらしい)。

アヌーク・エーメとは、ウンガロが敬愛する映画監督フェデリコ・フェリーニの『甘い生活』(1960)や『8 1/2』(1963)や、クロード・ルルーシュ監督の『男と女』でヒロインを演じたフランスの大女優です。

この香りの大ヒットが、この香りをウンガロの事実上のファースト・フレグランス(公式サイトではこう断言されています)だという認識を与えることになりました。

エマニュエル・ウンガロというイタリア人の両親を持つフランス人が、クリストバル・バレンシアガというスペイン人に6年間師事し、それぞれの国が持つ伝統と華やかさを融合させたような大胆な色と柄を基調としたウンガロ・スタイル(決して黒に迎合せず、セクシーでありながらエレガントを忘れなかった)を体現するような、五彩にきらめくオリエンタル・ハニー・シプレーの傑作。

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ソフィー・マルソーが愛した香り

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ソフィー・マルソーとエマニュエル・ウンガロ、1991年。© BERTRAND RINDOFF PETROFF / BESTIMAGE

ちなみにこの香水は、ウンガロのファッション・ショーのすべてに出席していたソフィー・マルソーが愛用していたことでも有名になりました。

シャネルのアートディレクターであるジャック・エリュによって、ドレープの効いたプリーツ状のギリシャ風イブニングドレス(デコルテの部分に赤いDIVAのラベルが貼り付けられています)をモチーフにした、豪華なボトルがデザインされました。

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魅惑のデコルテを生み出す〝香りのハニートラップ〟

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コニャックのボトルのような豪奢なボトルから、ベルガモットやマンダリン・オレンジが、発泡するアルデハイドと共に弾けだすようにしてこの香りははじまります。まさにイタリアの太陽を浴びているような、贅沢な気分になるはじまりです。

すぐにチューベローズがクリーミーにシトラスとアルデハイドをひとまとめにクリーミーな花の甘さで満たしてゆきます。コリアンダー、カルダモンといったスパイスが、クリーミーなフローラルアルデヒドに、シトラスの輝きの残像を残していくようです。

やがて、ローズがパチョリとオークモスに愛でられながら、ジャスミン、イランイラン、水仙、カーネーション、アイリスといった花々のカクテルが、グラマラスな側面と美しく調和するように、蜃気楼のように幻想的なパウダリーフローラルと、とろけて匂い立つようなハニーとアンバーと結びつき、官能的なオリエンタルの艶やかなデコルテを解き放ってゆくのです。

そして、熱い甘い吐息のようなコスメティックな香りに溶け込むバニラとサンダルウッドと、獣のようなムスクとシベットが、イブニングドレスのスリットから露わになる、黄金色に輝くしなやかな脚の曲線のように、柔らかくも力強い、抗し難い魅力で満たしてくれるのです。

それは決して王妃のための香りではなく、IT長者の妻やアラブの大富豪の第一夫人といった夫の富の上に生きる美しき女性にのみ付けこなすことの出来る香り。人々は、横柄なこのご婦人に対して、心の底から蔑んでいるのですが、一度笑顔を振り向けられると、もう骨の髄まで彼女の夢中になってしまう・・・そんなハニーとオークモスの香ばしい甘さがベースとして広がる、罪作りな香り。

ちなみにこの作品の一年後に、「ココ」が誕生するのだ。

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香水データ

香水名:ディーバ
原名:Diva
種類:オード・パルファム
ブランド:エマニュエル・ウンガロ
調香師:ジャック・ポルジュフランソワ・ドゥマシー
発表年:1983年
対象性別:女性
価格:不明


トップノート:アルデハイド、コリアンダー、マンダリン・オレンジ、インディアン・チューベローズ、ベルガモット、カルダモン
ミドルノート:カーネーション、オリスルート、ターキッシュ・ローズ、イランイラン、モロッコ産ローズ、スイセン、エジプト産ジャスミン
ラストノート:蜂蜜、アイリス、アンバー、サンダルウッド、パチョリ、ムスク、シベット、バニラ、オークモス、ベチバー