ジェントル フルイディティ ゴールド
原名:gentle Fluidity Gold
種類:オード・パルファム
ブランド:メゾン・フランシス・クルジャン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:70ml/39,600円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
調香師人生25周年とブランド創業10周年を記念し生み出された香り

©Maison Francis Kurkdjian

©Maison Francis Kurkdjian
あまりポジティブではないかもしれませんが、パリで同時多発テロ(2015年11月13日~14日)があったとき、社会における自分の役割について自問自答しました。この出来事が「ジェントル フルイディティ」を生み出す原動力となりました。
自分の実生活の一部が自分の仕事生活にどのように干渉することができるかを知りたかったのです。香水の広告を見ても、男性はみんな筋肉があって、背が高くて、金髪で、髪が完璧な位置にある。ちょっとイライラし始めたんです。そういう完璧さって、高すぎて、非現実的なんだから。
フランシス・クルジャン(以下すべての引用は彼からのもの)
フランシス・クルジャンは、1995年にジャン=ポール・ゴルチエの「ル マル」により、わずか25歳にして、衝撃的なデビューを果たし、一躍人気調香師の仲間入りを果たしました。
そんな彼が、1994年からはじまる調香師人生25周年とブランド創業10周年を記念して、2019年2月6日にメゾン・フランシス・クルジャンから、「まったく同じ香料から生まれた、2つのフレグランス」というコンセプトで、デュオフレグランス「ジェントル フルイディティ ゴールド」と「ジェントル フルイディティ シルバー」を発表しました(正確には、それぞれの香りは、大文字と小文字で区別されている)。
その名の〝ジェントル フルイディティ〟とは、〝おだやかな流動性〟という意味ですが、この香りに対しては〝性別=ジェンダーの流動性〟というイメージで付けられています。
まったく同じ49種の香料から生まれた、2つのフレグランス。

©Maison Francis Kurkdjian
ジュニパーベリーエッセンス、ナツメグエッセンス、コリアンダーシードエッセンス、ムスク、アンバリーウッド、バニラアコードにハイライトを当てた49種類(クルジャン自身は同じ9種類と言及している)の全く同じ香料からつくられた、2つのフレグランスは、成分の混合比率の違いにより、共通の世界観を持つ、全く違う香りを生み出しています(まるで同じ絵具の色で、全く違う二つの絵画を生み出すように)。
2つのものをどのように組み合わせるかによって、まったく違った響きが生まれるんです。ある材料を他のものと組み合わせる魔法は驚くべきものです。レモン単体ではただのレモンに過ぎません。演奏を開始して、隣り合わせに2つの音を加えると、それらは違った響きになります。
どちらが男女専用というわけではなく、人々が自分でどちらか判断できるようにしています。「ゴールド」は、ムスキー・オリエンタルグルマンの香りです。
最初の頃は、香りはひとつだけだった。ユニセックス、あるいはジェンダーフリーの香りに近いアイデアでした。ですが創作しているうちに考えが変わりました。ある意味、偽の双子のように、同じDNAから新しい形を作りたいと思いました。
元の名前はジェンダー・フルイディティだったんですが、友達がずっと間違って発音していて、発売の二か月前に実は彼の言う通りだと思ったんです。名前に込められた優しさのアイデアが好きなんです。
「ティオタ」を思わせる、ほのかに酔わせるようなバニラの香り

©Maison Francis Kurkdjian

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「ジェントル フルイディティ」における同じ素材で二つの異なる香りを生み出すという発想は、プロジェクトの最後に降りてきたことです。
男性らしさと女性らしさの間を行き来する一人の人間というアイデアからはじまり、同じ素材で2つの個性を出すという、アイデアの最終段階に到達しました。そして発売の2ヶ月前に、私はフォーミュラを隣同士に並べ、見た目や香りではなく、成分を同じにすることに決めました。
かつてインダルト パリの「ティオタ」で、〝地球上に存在するフレグランスの中でも、最も純粋なバニラの香り〟を生み出したクルジャンが、フリージアの花のように香るスパイシーなコリアンダーシード(カレーのスパイス)に、ムスクとアンバーによって増大したバニラがまろやかに溶け合う、うっとりするような美しいバニラを再び作り上げました。
ロマンティックで官能的なアンバリーバニラでありながら、ほのかに奥底から、ピリっと涼やかなジュニパーベリーが香り立つのがこのバニラに、洗練されたエレガンスを与えています(少量のジュニパーベリーは花の香りに豊かさを与えてくれます)。
最初から最後まで、酔わせるリキュールのような感覚があり、その感覚を増殖させないように注意深く調香されています。絶妙なバランスでお酒になりすぎていないバニラです。
「ゴールド」にはバニラとムスクを過剰摂取しています。ムスクが軽やかさを与えてくれます。バニラの中に風船があるような感じです。バレエをやっていたとき、ジャンプをするときには風船のような感覚が必要で、重力に引っ張られながら浮いているような感覚が必要だと先生がいつも言っていました。
香水データ
香水名:ジェントル フルイディティ ゴールド
原名:gentle Fluidity Gold
種類:オード・パルファム
ブランド:メゾン・フランシス・クルジャン
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:70ml/39,600円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム
シングル・ノート:ジュニパーベリー、ナツメグ、コリアンダー、ムスク、アンバー、バニラ