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クリスチャン・ディオール

【ディオール】ニュールック 1947(フランソワ・ドゥマシー)

クリスチャン・ディオール
©Christian Dior
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ニュールック 1947

原名:New Look 1947
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2010年
対象性別:女性
価格:40ml/15,950円、125ml/34,100円、250ml/48,400円

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ディオール最高峰のフローラル・フレグランス

©DIORBEAUTY

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ディオールの「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」は、2004年に「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」「ボア ダルジャン」といった3種類の香りが発売され、2009年に「アンブル ニュイ」が発売されました。そして、2010年に一挙7種類の香りが発売され、「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」が廃盤となり全9種類となりました。

そのうちのひとつ「ニュールック 1947」は、クリスチャン・ディオールというファッション・メゾンにとって最も重要な用語と〝運命の年〟を冠した香りです。ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。

1946年に創業したクリスチャン・ディオールが、その翌年のファースト・コレクションで女性から失われていた〝美しさ〟を取り戻すことになった〝ディオールの運命の年、1947年〟。

それまで第二次世界大戦中の角張った、肩幅の広いスーツと短いスカートから一転し、細い肩、締まったウエスト、丸みを帯びたヒップ。何よりも前代未聞の長くて幅の広いスカート。このコロールライン=砂時計のシルエットを生み出した1947年2月12日のコレクションは、『ニュールック』と呼ばれました。

それは、わずか11年間の生命と引き換えに、第二次世界大戦により、神が世界中の女性から奪い去った『美しくなる喜び』をふたたび取り戻した瞬間でした。「パリがマルヌ会戦で救われたように、ディオールはパリを救った」とまで賞賛された『ニュールック』の精神を投影した〝1947年のディオールの運命の水〟です。

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ニュールックとは?

クリスチャン・ディオールのニュールック、1947年。©Christian Dior

同じく ©Christian Dior

ニュー・ルックとエッフェル塔。フォトグラファー:ルイーズ・ダール=ウォルフ。1947年。©Christian Dior

私は、ニュールックがどのように受け入れられるかを予見できなかったが、それと同じくらいに、歓迎されることをほとんど想像していなかった。ただ、私の最善のものを実現しようと試みただけなのだ。

クリスチャン・ディオール(ニュールックについて)

ここで『ニュールック』について軽くおさらいをしておきましょう。

『ニュールック』とは、クリスチャン・ディオール(1905-1957)が、1947年2月12日のファーストコレクションで発表した、コロール・ライン(花冠をイメージしたシルエット)を見た、ハーパーズ・バザーの編集者カーメル・スノーの以下の言葉〝My dear Christian, your dresses have such a New Look!〟から生まれた〝ファッションに革命を起こしたディオールのスタイル〟を指す用語です。

コロール・ラインとは、第二次世界大戦中につましい簡素な服装をするしかなかった女性たちの憧れを、戦後に最初に体現したスタイルであり、柔らかい生地とふんだんな布地を使用した砂時計のようなフォルムのドレス・ラインが特徴でした。

そして、-13℃という厳寒の中行われた、このコレクションにより、戦争により瀕死の状態だったパリのオートクチュールは、一夜にして蘇ったのでした。この状況をカーメルは「パリがマルヌ会戦で救われたように、ディオールはパリを救った」とまで言い切りました。

『ニュールック』という名称の面白さは、このスタイルが当時の女性にとって「ニュー」ではなく、寧ろココ・シャネルによってコルセットから解き放たれる前のスタイルへの回帰に過ぎなかったところにあります。つまり、自分ひとりで持ち運べず、着る事も出来ない王侯貴族のようなファッションをディオールは20世紀風に復活させたのでした。

このショーにおけるディオールの功績としてあまり語られない真実は以下の文章にあります。それは、マヌカンを大げさな身振りで登場させ、絶妙なタイミングで交代させるという派手なファッションショー(現在のファッションショーの基礎)の流れを生み出したことでした。

そういった1947年のニュールック・コレクションの全てを体現したのがこの香りなのです。繊細でパウダリーなアイリスと甘く引き締められたバニラと丸みを帯びたホワイトフローラルの完璧なバランスが生み出す〝永遠に色褪せない、花の香りのニュールック〟なのです。

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心よりも〝肌の本能〟に届くチューベローズの香り

ニュールックとは、女性を崇拝する精神です。女性の最もうつくしい瞬間を永遠に生地に焼き付ける試み。その精神を香りに投影するように、途方もない量の生地を使用しながら、細いウエストを備えたスカートのように、ローズとジャスミンが満ち広がる香水を作りたかったのです。 うっとりするようなチューベローズは、この渦巻く活気を完全に表現しています。

フランソワ・ドゥマシー

ずっとずっと蕾のままこの時を待っていたのでしょう。そんな水気をたっぷり含んだ蕾が花冠を開花させる瞬間のうつくしさを、クリーミーなチューベローズとジャスミンの花蜜の甘さがぷわっと広がっていくようにしてこの香りははじまります。すぐに凛と背筋の伸びたターキッシュローズがピンクペッパーの活気と共に、涼やかに注ぎ込まれてゆきます。

今宵の主演女優が素肌のランウェイを歩く準備は完了致しました。いよいよ厳かなアイリスとヴァイオレットのコスメノート風パウダリーな空気と共に、ファッションショーの幕が上がります。

ニュールックのドレスを着たマヌカンたちが、軽やかに、霞の如くふんわりと膨らんだスカートの裾をひるがえしながら、くるりと舞い、ベンゾインとバニラに包まれたイランイランとガーデニアが、素肌のランウェイと一体化し、クリーミーにとろけて匂い立つのです。

うっとりするほどエレガントな女性の身のこなしを思わせるパウダリーというよりも、淑女の吐息のようなアイリスが最初から最後まで感じられます。

花の無限の柔らかさが、ふんわり回転する淡い五彩のレインボーを生み出していくように、ニュールック・スタイルが体現する、女性の無限の美しさを、女性の素肌に蘇えらせていきます。21世紀に蘇える〝20世紀の不滅のディオールの息吹〟。世紀を超えて受け継がれる〝うつくしさ〟を伝承する香りです。心よりも〝肌の本能〟に届く香りです。

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香水データ

香水名:ニュールック 1947
原名:New Look 1947
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2010年
対象性別:女性
価格:40ml/15,950円、125ml/34,100円、250ml/48,400円


シングルノート:ピンク・ペッパー、ターキッシュローズ、ジャスミン、インド産チューベローズ、マイヨット産イランイラン、ガーデニア、トスカーナ産アイリス、ピオニー、ベンゾイン、マダガスカル産バニラ