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作品データ
作品名:おしゃれ泥棒 How to Steal a Million (1966)
監督:ウィリアム・ワイラー
衣装:ユベール・ド・ジバンシィ
出演者:オードリー・ヘプバーン/ピーター・オトゥール/イーライ・ウォラック/シャルル・ボワイエ
ユベール・ド・ジバンシィのオードリー評。
オードリー・ルック4 抹茶スーツ・ルック
- デザイン:ユベール・ド・ジバンシィ
- 抹茶色のスカートスーツ。シルクブロケード
- カルティエのダイアモンド・イヤリング
- 黒のベルト
- シルクのリボンつきのパンプス、レネ・マンシーニ
彼女は友人たちと喜びを分かち合ったが、悲しみは自分の胸におさめていた。
ユベール・ド・ジバンシィ
オードリーを一言で評したジバンシィによるこの言葉こそが全てでしょう。オードリーが舞台デビューした『ジジ』の映画版(『恋の手ほどき』)で主役を演じ、『巴里のアメリカ人』でも主演を演じたレスリー・キャロン(1931-)は、「オードリー・ヘプバーンはスクリーンで観るのと同じように実生活でも魅力的な女性でした・・・あれほど優雅で気品のある若い女性からは想像できないような、可憐さ、無邪気な喜び、おてんば娘のようないたずらっぽさも持ち合わせていました。・・・とりすましていても許されるほどの大女優なのに、それとはまったく逆で、彼女はまるで私たちにあの美貌を忘れさせようとするかのように、心をすべてこちらに向けてくれました。柔和なやさしさと美貌という、あのまれに見る組み合わせこそ、彼女が世界中の人々から愛される理由なのだと思います」と言いました。
オードリーがもっともオードリーらしからぬ2年間。
オードリー・ルック5 レモンイエロースーツ・ルック
- デザイン:ユベール・ド・ジバンシィ
- レモンイエローのスカートスーツ。ステンカラー
- レザーの白ベルト
- 白の網タイツ
- 白のパンプス
- シルクの白柄のイエロースカーフ。ジバンシィ1965SS
地球上の9割の人々と同様、私もオードリーに恋をした。彼女は行きすぎるということはなく、少しだけ先を行っていた。
ウィリアム・クライン(フォトグラファー)
オードリーのスタイルは、決してやり過ぎない所にその真髄があります。1971年から1988年にかけて『ヴォーグ』編集長だったグレース・ミラベラはオードリーについて「オードリーが一貫していたのは、飾り立てるよりそぎ落とすほうを良しとしていた事です」と語っています。そんなオードリーが、少しやり過ぎているファッション。それが本作と、『いつも二人で』のオードリーです。
その少しやり過ぎているオードリーが、1960年代後半のカラフルな時代にマッチングしていてとても魅力的です。50年代のアン王女やサブリナ、60年代初めのティファニー娘やおシャレード女子が、何かを吹っ切った姿がそこにはあります。オードリーがもっともオードリーらしくない2年間だったのかもしれない1966年と1967年。それは大人のオンナの余裕とでもいいましょうか・・・それとも大人のオンナの最後の遊びの季節だったのかもしれません。