イニシャル
原名:Initial
種類:オード・パルファム
ブランド:ブシュロン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2000年
対象性別:女性
価格:情報なし
真珠の首飾りが生み出す女と男のドラマ
27のハイジュエリーを扱うブティックが集まるヴァンドーム広場が『ハイジュエリーの聖地』と呼ばれるようになったのは、1893年に、ブシュロンがかの地にブティックを構えてからでした。
以後、1898年にカルティエ、1906年にヴァン・クリーフ&アーペル、1907年にショーメ、1946年にモーブッサンがブティックをオープンしてゆくのでした。ちなみにココ・シャネルが居を構え、オードリー・ヘプバーンの『昼下りの情事』の舞台にもなったホテル・リッツがオープンしたのは、1898年のことでした。
1858年創業のパリのグランサンクに所属するハイジュエリー・ブランド、ブシュロンが最初にフレグランスを発表したのは1988年のことでした。そのブシュロンが丁度グッチ・グループ(現ケリング・グループ)の傘下に入ったばかりの2000年に発表したのが「イニシャル」です。ジャック・キャヴァリエにより調香されました。
真珠の首飾りが生み出す女と男のドラマをテーマにした香り。真珠の魅力とは、他のジュエリーのようなあからさまな輝きではない、内に吸い込まれていくような「控えめの美学」にあります。
真珠の涙を身に纏う・・・
この香りは、ずっと涙を流し続けてきた女性が、ようやく運命の出会いを果たし、それまで流してきた涙が、真珠に変わるという〝涙が永遠の輝きに変わる〟至福の瞬間を表現したものです。
はじまりは、涙です。フレッシュジューシーなマンダリン・オレンジに、かなり刺激的なペッパーと、フルーティなカシス、レッドカラントリーフが清涼感たっぷりに広がってゆきます。どこかダイヤモンドの透き通るようなきらめきを思わせるはじまりです。
すぐにパウダリーなローズにアーシィーなパチョリが注ぎ込まれ、カシスとレッドカラントリーフに溶け合い、赤ワインのようなコクが生み出されてゆきます。そして、ジャスミンが香り全体に官能的な出会いの予感を生み出してゆきます。
やがて、アーモンドミルクにハニーが溶け込み、涙が真珠に変わってゆくのです。官能的なジャスミンもまた、ハニーとサンダルウッドをたっぷりと浴び、円やかな甘やかさを解き放ちます。そして、赤ワインと調和してゆき、すべてをうっすらとピンクを感じさせる乳白色に変えてくれるのです。
それはまるで真珠の乳白色の輝きを香りで生み出していくように、ミルキーな甘い香りに満たされていくようです。
ボトルデザインは、ブシュロンらしく真珠のペンダントトップをモチーフにした形で、フランスのデザイナー、ジョエル ・ディグリップによるものです。
香水データ
香水名:イニシャル
原名:Initial
種類:オード・パルファム
ブランド:ブシュロン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2000年
対象性別:女性
価格:情報なし
トップノート:カシス、レッドカラントリーフ、マンダリン・オレンジ、ペッパー
ミドルノート:ワイルドフラワーズ、パチョリ、ローズ、ジャスミン
ラストノート:アーモンド、ハニー、ムスク