キャバレー
原名:Cabaret
種類:オード・パルファム
ブランド:グレ
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2002年
対象性別:女性
価格:不明
純愛を求め、恋に裏切られ、たくましく生きる女に捧げられし香り
2002年にグレから発売された「キャバレー」は、キャバレーの世界観を〝Cherchez la femme=女性を探せ〟というテーマと結びつけ、ボトルの中で展開した〝純愛を求め、恋に裏切られ、たくましく生きる女〟に捧げられた香りです。
魅惑のシプレ・フローラルの香りは、ミシェル・アルメラックにより調香されました。
第二次世界大戦前夜のナチスに支配されたドイツにあるキャバレーの香り。妖しくも哀しくも美しく舞い踊るスモーキーローズのものがたり。このキャバレーは、今パリなどに存在する高級キャバレーではなく、どこか猥雑な空気が流れています。
さあ、ローズは踊り子になるのです!
そんなキャバレーの香りのはじまりは、劇的です。まず最初にフルーティなピオニーと甘やかなグリーンのスズランが香り躍らせる中、ほのかな酸味を漂わせながらローズが花開いてゆきます。と同時に、紫煙漂うインセンスとアーシィなパチョリが大自然から夜のキャバレーへと瞬間移動させてくれるのです。
花々の甘さは一瞬にして失われる中、舞台のスポットライトのようにピリっとスパイシーなピンクペッパーが解き放たれ、ローズは踊り子のように妖艶な華やかさに包まれてゆくのです。
女性のコスメティックな香り(アイリス、ヴァイオレット)や、ワインやシガー、男性の湿気を帯びたスーツや軍服の匂いを感じさせるお客様の香りを吸い込みながら、踊り子は、透き通るような冷たさ(=静謐さ)と姫たる情熱を同時に併せ持たせながら、更なる高みへと、パウダリーの浮遊感と共に肌の上で昇華するのです。だんだんとすべてを包み込むムスクが、真っ白に燃え尽きる絶頂の余韻で満たしてくれます。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ウッディ ローズ」「素敵なサプライズだ!私はこの香水の存在を知らなかったし、たいして期待もしていなかった。だが試香紙にのせて10秒もたつと、至福の笑みが浮かんできた。」
「このところ巷にあふれている透明なウッディローズの先駆けであり、逸品のひとつだ。もっとも正確にはこの手のウッディローズは1993年にアルメラックが手がけたラルチザンの「ドロール ド ローズ」が始まりらしい。あれもよかったが、キャバレーはもっといい。」
「キャバレーのピンクペッパーとインセンスの組み合わせは、トップノートを驚くほど爽やかにする一方で、混じり気のないローズウォーターとむせ返るほどのムスクが、羽毛入り枕の柔らかさを与えている。極上の男性用香水だ。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:キャバレー
原名:Cabaret
種類:オード・パルファム
ブランド:グレ
調香師:ミシェル・アルメラック
発表年:2002年
対象性別:女性
価格:不明
トップノート:ローズ、ピオニー、スズラン
ミドルノート:インセンス、アイリス、ヴァイオレット
ラストノート:サンダルウッド、パチョリ、ムスク、キョウチクトウ、アンバー