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トム・フォード

【トム フォード】ヴェール デ ボワ(オリビエ・ギロティン)

トム・フォード
©TOM FORD
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ヴェール デ ボワ

原名:Vert des Bois
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:オリビエ・ギロティン
発表年:2016年9月23日
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/30,800円

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トム・フォード史上最高のグリーン・フレグランス

©TOM FORD

トム・フォードの「プライベート ブレンド コレクション」から、2016年にグリーン・コレクション「 レ エクストレ ヴェール」が4種類発売されました(2つはフローラルで、もう2つは森林)。

このコレクションのテーマは、グリーンノートという、どこか古めかしく、ラグジュアリーとは無縁と考えられている香調から〝トム・フォード・グラマラス〟を生み出そうという試みでした。

その中でもスモーキーとレザー、グリーンの三つの要素が見事に組み合わさった、トム・フォードらしい至上のラグジュアリー感に包まれているのが「ヴェール デ ボワ」=「森の緑」です。オリビエ・ギロティンにより調香されました。

時代遅れなグリーンノートというイメージから、最先端のグリーンノートというイメージを生み出すべく作り上げられたこの香りは、ギリシアに由来する初めて聞く二つの香料が使用されています。

  1. ポプラの芽・・・ギリシア神話の神ヘラクレスに捧げられた木。アプリコットとプラムのフルーティとオスマンサスのフローラルな香りにレザリーな背景を兼ね備えたキャラメルのような複雑な香り立ち
  2. ウーゾ・アコード・・・アニスの香りを持つ、ギリシアとキプロスで生産されるリキュール
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ヘラクレスの力(ポプラの芽)により大自然の緑を制する香り


21世紀のグリーン・フレグランスの傑作と言われるこの香りは、大自然を征服するヘラクレスのような圧倒的な存在感を誇る香りとも言えます。

この香りは、大自然の〝緑〟の要素を、どこまでもモードに昇華させた香りです。つまりは、調香師が生み出したグリーンの香りと言うよりも、ファッション・デザイナーがデザインしたグリーンの香りなのです。

さらにランウェイの盛り上がりまでも、香りに置き換えて表現しており、「ショウにおいてはオープニングの服が最も重要な意味を持つ」というトム・フォード哲学を体現している香りです。

(草と土とハーブが混ざり合った)オリーブリーフのグリーンノートに、ポプラの芽のエキスのフルーティな香りが弾け合いながら生み出される、甘いグリーンノートによってこの香りははじまります。

すぐに、アーシィーなパチョリとスモーキーなトンカビーンが漂いはじめ、陰鬱な森の奥深くから立ち上る、古代儀式のようなミステリアスな空気を感じ取ることになります。

オープニングから、グリーンノートをよくぞここまでグラマラスなものにしたものだとびっくりするような、森林の樹液を、血管に輸血していくように、まるで森が生み出す妖艶さを全身で感じ取るようです。つまりまだ育ち盛りの木の香りがするのです。

すぐにアニスがピリリと効いたウーゾの香りが、深い森の中に注ぎ込まれてゆきます。さらにこの森には、甘いプラムとフレッシュなジャスミンが存在することがわかります。それでいてオリーブ、ポプラ、ウーゾのギリシア三重奏で奏でられるこの香りには、どこか凛とした神々しさが感じられるのです。

やがて、甘いオリーブリーフにシャープなマスティック(パインの印象を与える松やシダーに似た地中海沿岸の低木)のグリーンな樹脂の香りがブレンドされ、〝森のファンタジー〟も追加され、温かくも滑らかに輝くオリーブ畑と森林の余韻に包まれてゆくのです。

ウード ウッド」とのレイヤリングが推奨されています。そして、「ノワール デ ノワール」のローズをグリーンノートに置き換えたような香りとも言えます。

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香水データ

香水名:ヴェール デ ボワ
原名:Vert des Bois
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:オリビエ・ギロティン
発表年:2016年9月23日
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/30,800円


トップノート:ポプラの芽、オリーブリーフ、ウーゾ、アニス、プラム
ミドルノート:マスティック、ジャスミン
ラストノート:オークウッドアブソリュート、ペッパーウッド、トンカビーン、パチョリ