シディベルアッベス
原名:Sidi Bel-Abbès
種類:パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/57,090円
公式ホームページ:セルジュ・ルタンス

フランス外人部隊の兵士と現地の娘の実らなかった恋の香り



©Serge Lutens
時が失われ、過去が消え去っても、
砂に埋もれた名もなき愛の痕跡だけが、
なお記憶をとどめている。アルジェリアのフランス外人部隊の駐屯地が長らくあった街にちなんで名付けられた「シディベルアッベス」は、シックで官能的なタバコの香りが漂うフレグランス。その伝説、すなわち情熱的な恋の記憶は、今もなお周囲のうねる砂丘に漂っています。灼熱の太陽、黄金色の砂、火のついたタバコ…始まる前に終わってしまう恋のささやき、その記憶を、この香りは鮮やかに蘇らせます。
セルジュ・ルタンス公式ホームページより
2014年10月1日にセルジュ・ルタンスが、50ml/600ドルする最高級コレクションを発表しました。その名も『セクションドール』です。フランス語で〝黄金比率〟を意味するこのコレクションから第一弾の香りとして発売されたのが「ランソンディエール」(放火魔)でした。
そして翌2015年に一挙5作品が発売されました。そのうちのひとつである「シディベルアッベス」です。シディベルアッベスとは、アルジェリアの都市の名前です。1843年からアルジェリアがフランスから独立する1962年までフランス外人部隊の本部がありました。まだロマンとミステリーに包まれていた頃の外人部隊をテーマにした香りです。
そして、この香りはまたセルジュ・ルタンス自身がほとんど語ることはない1960年に18歳のときにアルジェリア戦争(1954-1962)のために徴兵され、約一年間軍隊生活を強いられた記憶の香りでもあるのです。
調香したクリストファー・シェルドレイクは、スパイ、ネッシー、ハリウッド、アフリカ大陸などまだ色々な物事が謎に包まれていた50年代から60年代という時代の魅力をこの香りに投影しました。
2022年に『セクションドール』が廃盤となった後、2025年に『ロワイヨームデリュミエール/光の王国』という名の新たなる最高級コレクションの香りのひとつとして復刻されました。
戦士の休息を思わせる、ミステリアスなタバコの香り

©Serge Lutens

©Serge Lutens
セルジュ・ルタンス自身の秘められた過去、それはイヴ・サンローランの苦い過去と同じく、フランス人としてアルジェリア戦争に従軍した記憶です。二人共この過去について語ることはほとんどありません。
洗練された二人の芸術家は、過去に『戦争の犬』だった事実。そんな衝撃の感覚を与えてくれるチェリーとプラム、そしてラズベリーがピリっと甘酸っぱく素肌で弾けていくような感覚からこの香りははじまります。
すぐに銃弾が飛び交う硝煙と、戦死した戦友を弔う乳香と、さらに爆撃され燃えている木造建築の香りが、戦士の休息を思わせるタバコの香りと、香り豊かなスモークの四重奏を奏でてゆきます。
もう余程のことでなければ、心が動かされることのない紫煙の香りの中に、クマリンと濃厚な苦いレザーの香りが、うっとりするような甘くてアニマリックなハニーとクミンと共に到来します。さらに情熱的なめまいがするほど芳醇なバニラが広がってゆきます。
決して結ばれることのない男と女が一瞬交わるように、男性的なノートと女性的なノートが交錯してゆくのです。かくして、どんな疲れ切った心もほぐしてくれる、チョコレートのようなニュアンスも感じられる、シックで官能的なスモーキーなグルマンの熱気で素肌を温めてくれるのです。
たくさんの〝ミステリアス〟が、一瞬で感じられる不思議な香りです。
あらゆる物事にとって最も魅力的な要素は、〝ミステリアス〟なのです。ある人が魅力的であるのは、その人が他人の〝ミステリアス〟に惚れることが出来るからです。もし、あなたが女性(男性)であり、この香りに何も感じないなら、あなたの中の女性(男性)は終わりを告げようとしているのです。
香水データ
香水名:シディベルアッベス
原名:Sidi Bel-Abbès
種類:パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/57,090円
公式ホームページ:セルジュ・ルタンス

シングルノート:タバコアコード、ハニー、クミン、ロシアンレザー、バニラ

