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『女が階段を上る時』|高峰秀子とナルシソ・ノワール

高峰秀子
高峰秀子
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黒水仙=ナルシソ・ノワール。


銀座のママ・ルック4
  • 唐草模様の着物。
  • 白帯。


秀子様が演じる銀座の雇われママ圭子が愛用している香水は、「黒水仙」=キャロンのナルシソ・ノワールです。1911年にフランスで発売されたこの香りは、戦後日本で、和服を着た上流婦人に愛された香りの一つでした。ナルシソ=水仙の花言葉は自己愛。そして、地球上に存在しない黒い水仙。

存在しないものを求めるのが、銀座の女たちの本質であるとでも言わんばかりのこの香水のチョイス。そして、圭子は、この香りを関根(加東大介)からプレゼントされることによって、自分の中の約束事を放棄してしまうのでした。

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矢代圭子語録。

「昼のバーは化粧をしない女の素顔だ。」

母親役の賀原夏子と秀子様は僅か3歳違いです。

銀座のママ・ルック5
  • しだれ桜の高級なちりめんの羽織
  • 小花柄の着物

店ではね。パッと派手な物着たほうが、目立って得だってことは分かってても、そんな着物昼間は着れないし、どっちでも着れるように倹約してわざわざ地味に作ってんじゃない。

矢代圭子(高峰秀子)

ナリが良くなくちゃいいお客がつかないわ!銀座の女はナリで勝負してんのよ!

矢代圭子(高峰秀子)

銀座へ来るお客様はね。ぜいたくな雰囲気を味わいに来るのよ。私たちは、それを満足させてチップをもらってんのよ。身分不相応なアパートに住んだり車で通ったり、高い香水使ったりするのも、みんなそのためだわ。

矢代圭子(高峰秀子)

誰が好き好んでバーへなんか勤めるもんですか!無理にお酒を飲んで体を壊す。男におもちゃ扱いされる。こんな商売勤めた日から一日だって楽しいと思ったことなんかないわよ。ここで寝てたって、請求書と集金の夢ばかり。惨めもいいとこよ!

矢代圭子(高峰秀子)

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黛敏郎の音楽と和装。

銀座のママ・ルック6
  • ダークトーンに四角柄の着物
  • シルバーの草柄の帯
  • へちま衿のコート

銀座のママルック7
  • ルック3よりは細めのボーダーの着物
  • 黒地に大花帯

本作の世界観をより洗練したものにしている要素として黛敏郎によるテーマ曲の存在があります。ヴィブラフォンの響きが銀座のノーブルな雰囲気とマッチしており、しかも、秀子様の和装を引き立たせているところに、斬新な音楽と着物のマッチングの妙が見られます。

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1960年、東京オリンピックを4年後に控えた銀座。

高度経済成長の中、接待費=会社のお金で毎晩のように銀座通いが出来る社用族が本作に登場する。

高峰秀子様とダンディな森雅之。

銀座のママ・ルック8
  • ペールカラーにスパンコールで、花をプリントした着物
  • 黒の大花柄の帯

「私は真冬のような厳しい試練を受けた。しかし、歩道の並木も冷たい風を受けながら新しい芽を育てていく。私もそれに負けないように生きていかなければならない。風が当たれば当たるほど・・・」

最も人畜無害そうな男が結婚詐欺師で、エリートの大手銀行の支店長が、見掛け倒しの凡庸なつまらない男に過ぎないという男運のなさの波状攻撃の中、張り詰めていた糸が切れ、強くなったようでありながら、実は弱くなっている中年女の更なる逆風を予感させるラスト。それにしても本当に笑顔が綺麗な人です。高峰秀子様は。