ミエル ドゥ ボワ
原名:Miel de Bois
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2005年
対象性別:ユニセックス
価格:不明

身にまとう人の「蜜蜂指数」が確認できる難易度の高い香り

©資生堂
パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとして、少し前まで発売されていた「ミエル ドゥ ボワ」は、2005年から発売されていました。フランス語で〝樹木の蜂蜜〟という意味です。
調香師の中でももっともハニーノートを追求する別名〝蜜蜂調香師〟クリストファー・シェルドレイクの面目躍如とも言うべき、身にまとう人の「蜜蜂指数」が確認できる難易度の高い香りです。
ホットケーキの上に垂らすハニーや、マンダリン オリエンタル ホテルの朝食ビュッフェで出てくる巣蜜から滴るハニーではない、蜜蜂が飛び回っている養蜂場のハニーがこの香りの中心にあります。
「ミエル ドゥ ボワ」の狙いは、〝樹木の蜂蜜〟という名の通り、蜂蜜の甘さに包まれた樹海を素肌に生み出すことなのですが、実際は、樹海で死んだ生物を貪りに来る、獣たちのアニマリックな獣臭を素肌に宿していく香りなのです。
メタンフェタミンやアンフェタミンの原料となるフェニル酢酸は、使用に対して非常に注意を要する有機化合物なのですが、この濃度を薄く使用するときらめく蜂蜜のような香りになります。しかし、一方で、もし濃度が少しでも高いと動物の尿のような匂いになるリスクがあります。
樹海で死んだ生物を貪りに来た獣たちのアニマル臭に満ちた香り

©Serge Lutens
そんな〝樹海の蜂蜜=樹海のゾンビ〟の香りは、オークとエボニーウッドとガイアックウッドの豊かな木の芳香からはじまります。すぐに透き通るようでありながらかなり濃厚なハニー・アブソリュートが広がってゆきます。このハニーにサンザシの花蜜も加わり、近づくのを躊躇わせるほどのハチの巣のような、かなり刺激的な甘さが解き放たれてゆきます。
まさに一切の媚びのない香りです。それは樹木と蜂蜜の調和を目指すわけではない、どっちがより自然の獰猛さを保っているかを競い合うような、野生の匂いが、ギラギラと流れる汗のように香り立ちます。
やがて、信じられないほど滑らかな、天使のように優しいアイリスが到来します。まるで両者をなだめすかすかのように、アイリスがそれぞれの獰猛さを和らげてゆきます。この香りのハイライトはこの瞬間でしょう。
そして樹木の中からインセンスが立ち上り、うっとりするような余韻を残してくれます。この香りほど、ルタンスの香りの中で、忌み嫌う人が多く存在する香りはありません。それは人身御供のようにこの香りの前に、あなたの身を差し出さないといけないからでしょう。
飼い馴らすと素肌を光り輝かせる強力な味方になるのですが、その領域に達するまで、枯れ果てた感覚や、汚れきった感覚を体験しなければならないのです。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ミエル ドゥ ボワ」を「アニマリック・フローラル」と呼び、「フェニル酢酸は希釈するとハチミツ、濃度が高まると尿のような香りがする。ミエル ドゥ ボワはそのバランスがあまりにも悪いため、7月のニューヨークの歩道と同じ臭いがするのだ」
「これをフローラルと思える人が果たしてどれだけいるだろう。私を含め大多数の人間にとっては思わずうめき声をあげてしまうような香り」と1つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ミエルドゥボワ
原名:Miel de Bois
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2005年
対象性別:ユニセックス
価格:不明

シングルノート:蜂蜜、アイリス、エボニー・ウッド、ガイアックウッド、オーク、ムスク

