作品名:紳士は金髪がお好き Gentlemen Prefer Blondes (1953)
監督:ハワード・ホークス
衣装:ウィリアム・トラヴィーラ
出演者:マリリン・モンロー/ジェーン・ラッセル/チャールズ・コバーン/トミー・ヌーナン
マリリン・スタイルを創造した男=トラヴィーラ
本作のハイライトの一つとも言える豪華客船のボールルームに颯爽と登場する二人のシーンで、マリリン・モンローが着ているパンプキン・ドレス。後に、マリリンがプライベートでも愛することになるドレスのシルエットの一つになります。
マリリン・モンローというタイムレス・アイコンを語るときに、絶対に外すことのできない人物の名前をウィリアム・トラヴィーラ(1920-1990)と言います。1949年に『ドン・ファンの冒険』でアカデミー衣裳デザイン賞(カラー部門)を獲得していた彼は、1952年から『モンキー・ビジネス』『ノックは無用』でマリリンの衣裳デザインを担当し、1953年に本作と『百万長者と結婚する方法』、1954年に『帰らざる河』『ショウほど素敵な商売はない』、1955年に『七年目の浮気』、1956年に『バス停留所』と八作品に渡り彼女の衣裳をデザインすることになります。
衣裳デザイナーが語るマリリン・モンロー
マリリン・モンロー・ルック4 パンプキン・ドレス
- サーモンピンクのパンプキン・ドレス、ヘムがラッフル状に、オールシフォン、フロントスリット、胸もとにビーズ、
- サーモンピンクのビーズのついたシフォンストール
- ダイヤモンド・イヤリング
- ゴールドのハイヒールサンダル
マリリンとはじめて会った時、彼女は黒の水着姿だった・・・私の仮縫い室のアコーディオン・ドアをマリリンが開くと、肩のストラップが落ちて乳房がまる見えになった。自分の美しさを知り抜いているマリリンは、それを人にも見せびらかしたいといううれしい気質だった。・・・マリリンはやたら子供みたいに何でもやってしまう。こっちも7歳の女の子を相手にしているような気になってつい許してしまう。成熟した女でしかもまるで子供、男も女も魅力にとらえられるんだ。膝の上に抱いてなでてやったらいいのか、腕をとってベッドへ連れ込んだらいいのか、男は迷ってしまう。
ウィリアム・トラヴィーラ
私は、長年、おびただしい女優の衣裳をデザインしてきたが、マリリンのような女優はほかにはいなかった。マリリンの性格には二面性があった。ろくに学校も出ていないのにとにかくやたらに頭がいい、しかも子供のように何をしでかすかわからない。おまけに人を思い通りに動かす手練手管を心得ている。ほかの女優もそうだったが、マリリンもよく文句をいいにオフィスにきたものだった。ところがマリリンはいつも涙を、ほんものの涙を目にうっすら浮かべて、唇をふるわせる。あの唇!男には抵抗できない。あんなベイビーを泣かせるわけはいかなかった。
ウィリアム・トラヴィーラ