9thアルバム『アメリカン・ライフ』(2003年4月リリース)
戦闘服に身を固めたマドンナ=チェ・ゲバラ夫人
「アメリカン・ライフ」 2003年4月リリース。全米37位、全英2位
(「アメリカン・ライフ」を)撮影して、それが終わる頃にイラク戦争が始まったの。あたしが描きたかったことや世間に警告したかったことの多くが、すでに起こり始めてたのよ。でも今いろいろなことが起こっている中で、兵士たちが殺されたり怪我をしたり、いろいろなところで破壊が進んでいる中で、あのヴィデオを放送するのはふさわしくないと考えたの・・・騒動を起こすのは全然平気。そんなことは問題じゃないわ。ただあたしがブッシュ大統領をこき下ろしてるって誤解されるんじゃないかと思うの。でもそれは違うわ。イラクへの派遣兵の状況を軽く考えてるって世間は勘違いするかもしれない。でもそうじゃないのよ。
マドンナ
この曲が発売された時期(2003年3月20日)、イラク戦争が始まりました。恐らく2001年の9.11テロの時からマドンナは、こういう無差別に人々が殺される流れに対して音楽でアクションを起こしたかったのでしょう。そして、そこに関しても妥協なき姿勢が、このPV(自粛されボツになったバージョン)に見られます。それはハイセンスであるかどうかではなく、ここまでひとつの作品を作ることに情熱を傾けることが出来るという戦慄。マドンナとは、時代に挑戦し続ける闘士なのです。
「私の前を歩くものはいない」とばかりに、堂々としたミリタリー・ルックに身を包むマドンナ。その姿が、ナチス親衛隊の制服を見た瞬間に感じさせられる不思議な心の躍動を感じさせます。そして、この作品の根底にあるのは、リリアーナ・カヴァーニの『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングのあのスタイルなのです。ちなみに、アルバム『アメリカン・ライフ』は、マドンナの全アルバムの中で最も売れなかったアルバムです。
マドンナ・スタイル26 レザー・ミリタリー・スタイル
- ブラック・レザー・ジャケット
- 迷彩服(もしくはカーキ色のタンクトップ)その上にSMのハーネス
- 認識票付ネックレス
- レザーグローブ
- レザーブーツ(ヒールはマスト)
- ベレー帽
『アメリカン・ライフ』ライブ・パフォーマンス
リインヴェンション・ツアー、2004年。
2003年MTVアワード
ああいう女の子たち(ブリトニーやクリスティーナ・アギレラ)がモノにならないっていってるんじゃないのよ。でもこの世の中がどこに向かおうとしているのか、ほんとにわからないの。すべてがすごく均質化されてるでしょ。これこそこの美しい人生の魅力だ、とか、この車に乗れば人気者になれる、っていう具合に。これってほんとに強力な幻想で、人はそれに夢中になっちゃうのよ。あたしも含めてね・・・まあ、かつてはそうだったわ。
マドンナ
(ブリトニー・スピアーズ)彼女がニュー・マドンナって呼ばれること自体はかまわないわ。でもただ着てるものを脱げばマドンナになれるってものじゃないのよ。
マドンナ
「ライク・ア・ヴァージン」を歌うマドンナとブリトニー・スピアーズとクリスティーナ・アギレラ。