ガーデニア
原名：Gardenia
種類：オード・トワレ
ブランド：ペンハリガン
調香師：マイケル・ピクタール、ベルトラン・ドゥシュフール
発表年：1976年／2009年再調香
対象性別：女性
価格：100ml／21,000円
白いガーデニアの祝福を全身で受け止める
©Penhaligon’s
1950年代から70年代にかけてゆっくりと衰退の道を歩んでいたペンハリガンを復活させたのは、「ハマンブーケ」を愛する有名なイタリア人映画監督兼オペラ演出家であるフランコ・ゼフィレッリでした。彼は1975年に、ペンハリガンを買収し、シーラ・ピクルスをクリエイティブ・ディレクターとして、ブランドの再興を託したのでした。
そして、彼女は、まず最初にコヴェント・ガーデンに店舗をオープンし、ボトルキャップが四角に変更されていたのを、ウィリアム・ペンハリガンがデザインしたオリジナルの「ハマンブーケ」のボトルと同じようにラウンド・ストッパーと大きなリボンに戻しました。
1975年から1998年までシーラは、ペンハリガンの責任者として、ウィリアム・ペンハリガンとウォルター・ペンハリガンが調香したレシピを徹底的に分析し、過去のヘリテージを復活させただけでなく、新たに調香師を雇い、女性のためのさまざまな伝統的な花の香りを生み出していったのでした。
そのうちのひとつがマイケル・ピクタールにより調香され1976年に発売された「ガーデニア」でした。さらに、後年マイク・パロットが再調香したこの香りを、2009年にベルトラン・ドゥシュフールが再解釈し、ヘリテージコレクション「アンソロジー」として蘇りました。
目を閉じて、くちづけを待つ清楚な美女のようなガーデニア
1981年7月29日、セント・ポール大聖堂にて、ダイアナ元妃とチャールズ皇太子のロイヤルウエディングが行われました。そして、この時、ダイアナ元妃が持っていた特大のウエディングブーケが話題になりました。そのブーケは、ガーデニア（クチナシ）、蘭、フリージア、スズランなどから成りました。
以後、ダイアナ元妃は、ボランティア活動などにおいても、ホワイトフローラルのブーケを手渡され、それを持つ姿が彼女の〝慈愛の精神〟のトレードマークとなりました。
再調香されたこの香りのフローラルブーケの根底にあるのは、そんなダイアナ元妃の佇まいです。
フレッシュグリーンな宝石が輝く〝無邪気で、清らかな誘惑の香り〟
ルバーブとベルガモットの〝キラキラ輝く雨〟を受け止め、（青りんごのように）フルーティなマグノリアとヒヤシンスが、咲き立ての花びらを青々と開花させていくようにしてこの香りははじまります。まるで素肌の上に宝石の輝きがちりばめられていくように、ピュアな花々のロマンティックな輝きが広がってゆきます。
すぐにチューベローズとジャスミンを一纏めにして、天然香料が採れない濃厚なガーデニアのクリーミーなバターのような香りが再現されてゆきます。さらに、ガーデニアの繊細な香りに奥行きを与えていくようにローズ、イランイラン、オレンジ・ブロッサム、そして、スズランといった花々も加わってゆきます。
最初に広がるフレッシュグリーンな宝石の輝きが、濃厚なガーデニアを軽やかなものにしてくれます（スズランも呼応して小さな鈴の音を鳴らしています）。それはまるで澄み渡る空に向かって、祝福のベルが鳴るような、幸せを思いきり感じさせてくれる〝白いガーデニアの祝福を全身で受け止め〟ていくようです。
やがて、バニラ、サンダルウッド、ムスクがスパイシークリーミーな余韻で、透明感あふれるホワイトフローラルブーケをエレガントにラッピングしてくれるのです。
肉厚なチューベローズではなく、宝石のように煌くチューベローズ（のようなガーデニア）が、色々な白い花々と自由奔放に、肌の上で逢瀬を繰り返していくようです。ピュアで、静かな情熱を秘めた〝目を閉じて、くちづけを待つ清楚な美女〟のような、抗しがたい魔力を放つ〝無邪気で、清らかな誘惑の香り〟です。
つまりは、ピュアでありながら、とても妖艶だったダイアナ元妃そのものの洗練された香り〝永遠のガーデニア〟なのです。復刻が強く望まれる香りです。
香水データ
香水名：ガーデニア
原名：Gardenia
種類：オード・トワレ
ブランド：ペンハリガン
調香師：マイケル・ピクタール、ベルトラン・ドゥシュフール
発表年：1976年／2009年再調香
対象性別：女性
価格：100ml／21,000円
トップノート：ヴァイオレット、ルバーブ、ベルガモット、ヒヤシンス、マグノリア、グリーンノート
ミドルノート：ガーデニア、ローズ、イランイラン、オレンジ・ブロッサム、チューベローズ、ジャスミン、クローブ、シナモン、スズラン
ラストノート：ベンゾイン、サンダルウッド、ムスク、バニラ