フィーユ アン エギュイユ(松林の女の子)
原名:Fille en Aiguilles
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)

大都会で、いつもハイヒールを履いて颯爽と歩いている女性が……

©Serge Lutens
陽光に照らされ、輝きに満ちたその松脂の香りは、セミが飛び交う松の木の根元へと私たちを誘う。この乾燥した風景の中で、黄金色のハネを持つセミたちの絶え間ない鳴き声が響き渡る ―― チチチチチチチチチチチ…… これが松の針のようなヒールを履いたパリジェンヌたちの最新の〝粋〟だ!
「松の葉。樹脂、陽光、セミの声、そして背の高い松の木陰。松葉は足を刺すが、浜辺の松林は素晴らしいものだ!」
セルジュ・ルタンス公式サイトより
かつて2018年11月にセルジュ・ルタンスより、限られた店舗でのみ発売されていた「グラットシエル コレクション」。「グラットシエル」とは、フランス語で「摩天楼」「超高層ビル」の意味です。
その黒のファセットガラスボトルのシルエットは、エンパイアステートビル、クライスラービルなど20世紀初頭から1930年代にかけてニューヨークに出現した世界初の高層ビルをモチーフにしたデザインです。2009年に販売された「フィーユ アン エギュイユ」も、このコレクションのひとつでした。
その後、2018年3月21日に「ブラック&ベージュ コレクション」が「コレクション ノワール」に変更され、この香りを含む10種類もの名香が2017年末から一挙に廃盤になり「グラットシエル」に移行しました。「グラットシエル」廃止後は、パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとなっています。
〝針の少女〟という意味のこの香りには、「松林の女の子」という邦題がついています。冬の松の森とパリで針のように細くて高いヒール(talons aiguilles)を履く女の子をテーマにした香り。つまりは「ハイヒールの少女」です。クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。
クリスマスホリデーに帰郷し、ヒールを脱いで松林で少女に戻る

セルジュ・ルタンス

〝ピンヒールを履いていた女性が、松林の中でヒールを脱ぎ捨て素足の少女に戻る〟この香りは、色々な解釈の出来る香りです。
欧米人にとっては、都市部でバリバリ働く、または勉学と恋愛をお洒落に楽しむ、完璧に身なりを整え、磨き上げられた若き女性が、クリスマスホリデーに地元の田舎に戻り、ヒールを履かずにリラックスするイメージです。一方、東洋人にとってこの香りは、柱のようにそびえる冬の松の森で森林浴するような解放的なイメージです。
いずれにしてもこの香りは、清涼感に満ちた冬の松林のきらめく香りとクリスマスシーズンを連想させるホットアップルサイダーのスパイシーさと焼きフルーツ菓子の香ばしい甘さが同時に、素肌を包み込むようにしてはじまります。
冬の大自然と祝祭のハーモニーが、想定外なほど、素肌に柔らかく着地していくのがこの香りの特徴です。そしてすぐに清らかなるフランキンセンスが流れる水のように、ほんのりとスパイシーな香りと溶け込みながら、モミの木(クリスマスツリー)のバルサミックな香りと混じり合い、澄みわたる香りを素肌に広がらせてゆきます。
ここからこの香りの真骨頂が発揮されてゆきます。まるで、鋭く湿った空気が広がる、深い森の光が届かない古い館の中に彷徨いこむように、古めかしい様々な香りが、熟成した松脂の香りと焼きたてのフルーツ菓子の香りとひとまとめになり、しあわせを運んでくれるのです。
それは、松の針の先に小さな水滴が集まり、太陽の光に屈折させて小さな宝石のように輝いている、そんなうっとりするような美しさ、まさに清らかな聖歌に身を委ねるような厳粛さと心地良さに包まれていくようです。
香水データ
香水名:フィーユアンエギュイユ(松林の女の子)
原名:Fille en Aiguilles
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2009年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売(75ml/€260)


シングルノート:ベチバー、ベイリーフ、松、香辛料、フランキンセンス、バルサムモミ、ドライフルーツ

