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フィエーヴル ヴェルト|〝グリーン・フィーバー〟という名のアブサンの香り

キリアン
©KILIAN PARIS
キリアン
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フィエーヴル ヴェルト

原名:Fièvre Verte
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:マチュー・ナルダン
発表年:2023年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/33,000円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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果たして「ルール ヴェルト」との違いは?

©KILIAN PARIS

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2021年にキリアンの新しいコレクション「ザ リカーズ」の幕開けを告げる二作品のうちの一つとして「アップル ブランデー」と共に発売された「ルール ヴェルト」は、マチュー・ナルダンにより調香されました。

「ルール ヴェルト」とは、フランス語で「緑の時間」の意味です。アブサンがなみなみと注がれたグラスに砂糖をかけ、スプーンでゆっくりと時間をかけてかきまぜて飲む夕方の時間帯にちなんで名づけられました。

かつてキリアン・ヘネシーは、2007年にカリス・ベッカーにより「テイスト オブ ヘブン」というフゼアにアブサンを注ぎ込んだ香りを作っていました(「テイスト オブ ヘブン」が、キャロンの「プール アン オム」感の強いラベンダーのクラシカルなフゼアであるなら、こちらはヴァイオレットリーフを使った現代的なフゼアです)。

この香りが2023年に「フィエーヴル ヴェルト」の名に名称変更しました。その名の意味はフランス語で「グリーン・フィーバー」です。公式には全く香りは変わっていないとアナウンスされているのですが、実際はどうでしょうか?

実際に二つの香りを肌に乗せてみるとほとんど同じ香りなのですが、以下の「ルール ヴェルト」の説明に少しだけ補足したくなります。

かぐ人もない孤独に生きて、秘密のように苦くて甘い香りを放つ10種類もの薬草(ニガヨモギ、アニス、ウイキョウなど)。その残り惜しげな妖気を凝縮した禁断のリキュール・アブサン。

そんなアブサンを飲んだときに感じる舌の上の不思議な甘みを、ハーバルなリコリスルート・アブソリュートによって感じた瞬間、薬のような苦みのあるアブサンが全身にどんよりと広がってゆきます。あたかも陶酔するような香りからこの香りははじまるのです。

すぐにアーシィーなパチョリが、アブサンを生み出す10種類もの薬草を大地へと還らせてゆきます。つまりは香りを通して、のどごしを感じさせながら、アブサンの陶酔感と大地に還るような開放感を与えてくれるのです。

すぐに、ヴァイオレットリーフがアブサンの緑の側面を強めてくれます。何よりもこの香りが魅力的なのはリコリスの独特な甘さが織り成すグルマンの側面が最初から最後まで存在するところです。やがて、ベチバーとサンダルウッドが淡くもクリーミーな幻想的なムードで全てを包み込んでくれるのです。

まるでゴッホの絵に命を吹き込んだような、どこか現代的ではない淡くも美しい贅沢なイリュージョンに包まれてゆく香りです。それはまさに、肌の上から緑の魔物が蘇えり、あなたが幻覚される前に、誰かを幻覚してしまう禁断の香りとも言えます。

① アブサンとリコリスの前に、付けた瞬間、軽やかなニガヨモギの香りが広がっていくような感覚からはじまります。
② 議論を呼ぶ点ですが、オリジナルよりもクセのないアブサンのように感じます。
③ オリジナルで全てを素肌に溶け込ませていく〝魔性のウッディ・パチョリ〟に、ひんやりと冷たいアイシーなトンカバニラが加わっているように感じます。

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緑の妖精=アブサンの〝死の天使〟伝説

アルベール・メニャン『緑色のミューズ』(1895年)

ヴィクトル・オリヴァ『アブサンを飲む男』(1901年)

飲みはじめは普通の酒と変わりない。しかし、しばらく飲み続けると、しだいにモンスターのような、おぞましいものが見えはじめる。そして、これに耐えたら、最終段階にたどり着くのです。そこでは、見たいもの、素晴らしい好奇心をそそるものが見ることができる。

オスカー・ワイルド

この緑の液体(ストレートで飲むことはまずない)に、水を混ぜると水晶玉の中で精霊が踊っているようなオパールの質感が生まれることから「緑の妖精=the green fairy( la fee verte)」と呼ばれるアブサン。

スプーンの上に角砂糖を置き、角砂糖がスプーンで溶けるまで水を垂らすという飲み方もあることから、独特な世界観を持つリキュールとして今も世界中で根強い愛好家を持ちます。

悪魔が発明した液体とも、生命の霊薬とも言われたアブサンは、18世紀後半にスイスで誕生した薬草系リキュールの一つです。ニガヨモギ、アニス、ウイキョウなどを中心に複数のハーブ、スパイスが主成分です。アルコール度数が高くほとんどが45%~80%のものです。

19世紀にフランスの芸術家たちに愛飲され、オスカー・ワイルドポール・ヴェルレーヌを殺し、ロートレックゴッホを狂気に陥れたこの液体により、多くの男たちが家族を自らの手で崩壊させ、貞淑なるうら若き乙女たちを梅毒を持つ売春婦に変えてしまいました。

ニガヨモギ(ワームウッド)の香味成分であるツジョンにより幻覚などの向精神作用が引き起こされるとされ、スイスでは1910年~2005年にかけて禁止されました(フランスでは1915年~1988年の間)。ちなみにヨハネの黙示録にはワームウッドという死の天使が登場します。

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香水データ

香水名:フィエーヴルヴェルト
原名:Fièvre Verte
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:マチュー・ナルダン
発表年:2023年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/33,000円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:アブサン
ミドルノート:リコリス、ヴァイオレット・リーフ
ラストノート:パチョリ、バニラ、ベチバー、トンカビーン、サンダルウッド