エル アッタリーン
原名:El Attarine
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2008年
対象性別:ユニセックス
価格:不明

モロッコの〝太陽を盗んだ男〟の香り

©Serge Lutens

金色の太陽の光を浴びたトパーズ、永遠の花、そして樹液。
アラブ諸国において「アッタリーン」とは「甘い香り」を意味し、〝アタール(甘いシロップ)〟の領域に属するあらゆるもの ―― 香り、心、味わい、そして本質 ―― を指す。嗅覚と味覚の間に区別など存在しない。味わうか、嗅ぐかを決めるその瞬間までは。
エル アッタリーンは、フェズ(世界最大級の「迷宮都市」)にある、選ばれた少数の者だけが通える、世界で最も美しいコーラン学校の一つでもある。その美しさは、最も素晴らしい宮殿やモスクにも匹敵し、豊かな情感に満ちた文化の香りを醸し出していた。アッタリーンでの時間の中で、私の想像力の果実は豊かに実った。
アッタリーンは閉ざされた扉ではない。香りは嗅覚だけで作ることはできない。それは、一人称の不協和音から生まれた調和であり、想像力に広く開かれている。今日、私はあなたに黄金、太陽の光を浴びたトパーズ、永遠に咲き続ける花と樹液を捧げる。
セルジュ・ルタンス公式サイトより
「エル アッタリーン」は、モロッコにルーツを持つ私の香水ブランドの誕生を導いた、その歴史、あるいはむしろその精神のすべてを凝縮した香水です。
セルジュ・ルタンス
セルジュ・ルタンスより、パレ・ロワイヤル本店だけで取り扱われている「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとして2008年8月に発売された「エル アッタリーン」は、オリエンタル・グルマンの香りとしてクリストファー・シェルドレイクにより調香されました。
モロッコの歴史都市フェズにある世界で最も美しい神学校のひとつとされるアッタリーン・マドラサ(1325年創立)がこの香りのインスピレーションの源でした。〝アッタリーン〟とはアラビア語で〝スパイス貿易商〟の意味であり、〝甘い香り〟という意味もあります。
この香りは、〝太陽〟をテーマにした香りです。そして、ルタンスにとっての究極のアラブの香りでもあります。
かつて構想されていたが、長い間棚上げされていたプロジェクトを改めて見直した香りなので、どこかかつて「フェミニテ デュ ボワ」を共に構想したピエール・ブルドンによるディオールの「ドルチェ ヴィータ」の影響を色濃く感じる香りです。
クミン×蜂蜜×イモーテル。至福の乗っ取られ(寝取られ)香水

「エル アッタリーン」は太陽の香水ではなく、太陽からインスピレーションを得た香水です。
それは象徴的な名前であり、良い香りのするものすべてを指します。これは嗅覚や味覚の区別なく言えることであり、視覚や触覚もそこに加えることができるでしょう。ドライフラワーの雰囲気が香りの要素を引き立てる、肌になじむ香水です。
セルジュ・ルタンス
〝太陽を盗んだ男〟の香りは、砂糖漬けされたアプリコットに仕掛けられたクミンの時限爆弾の気配からはじまります。アニマリックな蜂蜜とスモーキーなレザーの気配も感じられます。
すぐにカチカチとムスクとシダーウッド、サンダルウッドの気配が広がる中、太陽のように明るい(メープルシロップのような)イモーテルとオレンジ・ブロッサムが爆発します。と同時に、メタリックなヴァイオレットの涼しさと共に、セットされていたクミンが大爆発します。
クミンの熱波が広がる中、蜂蜜とムスク、ウッドがクリーミーにスパイスと溶け合い、それらがひとまとめになり、ひりひりするようなアニマリックな甘さと、濃厚な味わいと風味を持つまろやかなチーズのような舌で感じる芳醇なコクがシンクロしてゆきます。
何かが大爆発したのは確かですが、最終的には大爆発したことを忘れさせる、限りなく素肌にやわらかく着地する太陽の光に近い、クミンとイモーテルの心地よいハーモニーに満たされていく、知らぬ間にグレゴリオ聖歌の調べに身も心も奪われてゆくような〝至福の乗っ取られ(寝取られ)香水〟です。
嗅覚ではなく、五感で味わう香り。太陽が盗まれた後、偽物の太陽とは知らずにそれを渇望する。歪んだ救世主伝説に身を委ねる香り。世界が爆発しそうな今こそ、再販が求められる、夢見るように眠りたい人類に最適な〝太陽を盗んだ男〟の香りです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「エル アッタリーン」を「アプリコット・ウッド」と呼び、「2005年以降、彼の香水はますます力強く重厚になり、何にも替えがたい個性あふれる香りを生み出している。常に目標を高く掲げているから、時には駄作(ミエル ドゥ ボワとか)もあるが、傑作も多い(サラセンなど)」
「アラブ世界の香りに傾倒していることでも知られ、このエル アッタリーンもイスラムの有名な神学校の名に由来するとか。その香りは、さしずめ超濃厚な砂糖菓子。傑作「ラ ミール」の中心に砂糖漬けアプリコットを置いてパワーアップした感じだ」「一方の端にアルデハイド、もう一方には憂いを帯びたウッドを施している」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:エルアッタリーン
原名:El Attarine
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2008年
対象性別:ユニセックス
価格:不明

シングルノート:イモーテル、クミン、蜂蜜、オレンジ・ブロッサム、ヴァイオレット、サンダルウッド、アトラス産シダーウッド

