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ブルガリ

【ブルガリ】オ パフメ オーテノワール(ジャック・キャヴァリエ)

ブルガリ
©BVLGARI
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オ パフメ オーテノワール

原名:Eau Parfumee au The Noir
種類:オーデコロン
ブランド:ブルガリ
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/11,340円

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ブラックティーとウードをブレンドした〝味わう香り〟

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この香りは簡単な香りではありません。一度嗅げば誰もが気に入るようなものではないと言い切れます。逆説的な意味で、私たちは、商業的な大ヒット商品とは正反対の戦略で生み出しました。つまりブルガリのフレグランスの限界を押し広げる目的で誕生した香りなのです。

それはまさにワインのようなものです。突き詰めればやがてワイン造りの伝統を高めたいと思うように、同じことをフレグランス作りでやってみました。

ヴァレリア・マニーニ(ブルガリの香水部門のクリエイティブ・ディレクター)

ブルガリがはじめて発売した香水は、1992年に日本の緑茶に注目し、ジャン=クロード・エレナが調香した「オ パフメ オーテヴェール」でした。

その11年後の2003年に、「お茶」に特化したブルガリの香水シリーズ『オ パフメ』の第二弾として発売されたのが「オ パフメ オーテブラン」でした。中国の皇帝によって不老不死の秘薬として使用されてきた白茶(ホワイト・ティー)をイメージした香りとして、ジャック・キャヴァリエにより調香されました。

そして、この12年後の2015年に、同じジャック・キャヴァリエにより誕生したシリーズ第五弾の香りが、黒茶の香り「オ パフメ オーテノワール」でした(日本では2016年6月15日に発売されました)。

中国雲南省産の標高2,000メートルの肥沃な赤土の茶畑で栽培された、上質な黒茶(=プーアル茶=紅茶と同じく茶葉を発酵させたお茶)にインスパイアされた、王への献上品とされていた高貴な茶葉の香りです。

黒茶とは、主に中国の雲南省で生産されている六大茶類のひとつである後発酵茶です。それは自然発酵させる「生茶」と、短期間で人口発酵させる「熟茶」の二種類に分類されます(「生茶」より「熟茶」の方が遥かに安価)。特にプーアル茶が有名です。

昼夜の温度差が高く、温かく乾燥した環境で成長が遅いほど良い品質の茶葉になります。そのため雨が多い環境だと成長が早まり最低の品質になります。生茶は、1年から10年にかけて熟成させるにつれてフローラルからフルーツ、そして、蜜のような香りに変化します。

この香りの完成にはジャック・キャヴァリエの長女カミーユの意思が働いていました。ジャックが彼女の高校に迎えに行ったとき、びっくりするほど魅力的な香りがジャックの鼻に届いてきたので、娘に「何の香りですか?」と尋ねると、「No.4と書かれていたパパの紅茶の香りのサンプルを朝の7時からつけているのよ」と答えたのでした。

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「ブルガリ プールオム」と「イマジナシオン」の間に

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ブラックティーは、神秘的で深く心に染み入るにもかかわらず、決して暗くないものを連想させます。そんな独特な香りの世界観をうまく表現したいとずっと考えてきました。そのためにブラックティーをウードの木と競演させることは、私にとって必然でした。この高貴な組み合わせが、密度と強さを素肌に伝え、効果を長時間持続させ、格別なフィット感をもたらします。

ジャック・キャヴァリエ

まるで禅寺の庭を掃除するように、心をクリーンにしていく〝黒茶〟。その美を保つために手入れが必要であるように、その毎日の儀式に安らぎを見出してゆくスモーキーな香り。そんな〝黒茶〟の香りは、心に太陽の光が差し込むような、溌剌としたベルガモットからはじまります。

すぐに、ラプサンスーチョンが全身に広がってゆきます。そして、漆黒のウードとレザー、パチョリが加わり、様々なスモーキーさが重なり合い、ひとまとめになります。それはまるでスモーキーな煙で心が浄化されていくように、黒茶が心のティーカップに静々と注ぎ込まれていくようです。香る前に満たされる香りです。

そんな天然のマテ・アブソリュートを中心に構築された黒い茶葉の果てから、華やかにダマスクローズがスパイシーなローズウォーター香る花を咲かせてゆきます。そしてレモンのように新鮮なマグノリアと共鳴し合います。

やがて、紅茶は乾きはじめ、蜂蜜をまぶしたウードとなめしたばかりのレザー、巻きタバコ、そして夜露に愛され艶めくローズがクリーミーに溶け合い、軽やかに、滑らかに、スモーキーな余韻で心を洗い清めてゆくのです。

今日、多くの香水ブランドがウードを使っていますが、それはウードのアコードで作っているのがほとんどです。適切な条件を兼ね備えた天然のウードを探し出すことに時間がかかりました。

私たちはピュアでナチュラルなウードを求めていました。それは品質が高く、持続可能な方法で栽培されたものでした。私たちはラオスのパートナーと協力し、木を切ったらまた木を植えるようにしなければなりませんでした。非常に持続可能な方法で行っています。

ヴァレリア・マニーニ

この香りは、ジャック・キャヴァリエの伝説のブラックティーの香り「ブルガリ プールオム」と、ルイ・ヴィトンのブラックティーの傑作「イマジナシオン」の中間地点で生み出された香りです。

そして合成ではなく天然のアガーウッド(ウード)の精油が抽出され使用されています。『世界香水ガイド』でルカ・トゥリンとタニア・サンチャスがファイブスターをつけた香りです。

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香水データ

香水名:オ パフメ オーテノワール
原名:Eau Parfumee au The Noir
種類:オーデコロン
ブランド:ブルガリ
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:75ml/11,340円


トップノート:ダマスクローズ、ベルガモット
ミドルノート:ブラックティー、マグノリア
ラストノート:ウード、パチョリ