コライユ オスクロ
原名:Corail Oscuro
種類:オード・パルファン
ブランド:ディプティック
調香師:アレクサンドラ・カーリン
発表年:2024年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/51,150円
公式ホームページ:ディプティック

香りのない5つの自然の宝物に、香りを与えるという未知との遭遇

©Diptyque

ローレンス・セミション
1961年に創業したディプティックは、世界中のオシャレな物を売るセレクトショップの奔りとも言えるお店でした。1963年に、当時、珍しかった香り付きのフレグランス・キャンドルを発売したことにより、ディプティックの「静かなる革命」がはじまりました。
そして1968年に「ロー」という今でも販売されているオリジナルのフレグランスをはじめて販売しました。以降、数々の名作フレグランスを輩出していくのですが、そんなディプティックが、新たな香りの章の幕を開けとして、2024年にプレミアム・コレクションである「レ ゼサンス ドゥ ディプティック(Les Essences de Diptyque)」を発表しました。
8月30日より一部ブティックにて先行発売、9月3日より全国発売される。9月3日から8日の期間、東急プラザ原宿「ハラカド」6階の屋上テラスにてポップアップイベントが、完全予約制・入場無料で大々的に開催されました。
「レ ゼサンス ドゥ ディプティック」の仕掛け人は、同年よりCEOに昇進したローレンス・セミションです。彼女は、2011年4月にルイ・ヴィトンに新設されたパルファン部門の責任者に、パルファム・ジバンシイ(2000-2011)から移籍し、就任し大活躍し、2019年9月にディプティックの副社長に就任し、ディプティックに大躍進をもたらした立役者でした。
素肌にキラキラ、赤い珊瑚礁。

©Diptyque

©Diptyque
睡蓮、サンゴ、マザーオブパール、バーク(樹皮)、砂漠のバラという、人間には香りが感じられない、5つの自然の宝物の繊細な美しさにインスパイアされた、5つの香りから成るこのコレクションのために、4名の調香師が召喚されました。普段はなかなか感じることのできないこれらの自然の要素が呼び起こす本質と感情を捉え、他に類を見ない嗅覚体験を与えてくれます。
そのうちの一つである「コライユ オスクロ」は、海の宝であるコーラル(珊瑚)へのオマージュとして生まれた香りです。マンダリンを基調としたミネラルフローラルのこの香りは、アレクサンドラ・カーリンにより調香されました。
「アドリア海の女王」と呼ばれる水の都ヴェネチアは、中世において、約1000年以上にわたり、東地中海貿易によって栄えた海洋国家・ヴェネツィア共和国の首都として栄えました。その海岸沿い、約550平方キロメートル以上におよびヴェネツィア・ラグーナと呼ばれる、干潟や湿地が点在する浅い海が広がっています。そして、その海底には美しい珊瑚が群生しています。
複雑な赤い珊瑚の模様は、波打つ水面のリズムに合せ、その燃えるように鮮やかな色彩は深海の不透明さと対照をなしています。ティツィアーノ・ヴェチェッリオやカラヴァッジオといったルネサンス期の画家たちは、この光と影の相互作用を「キアロスクーロ」と呼びました。つまりこの香りの名は、〝コーラル〟と〝キアロスクーロ〟を組み合わせた造語です。
世界に向かって開かれた窓のように、ガラスに施されたシグネチャーオーバル。背景に描かれたイラストレーションに重なるフレグランスの名を拡大鏡のように映し出します。外箱は、ナイジェル・ピークの赤いウチワサンゴを描いた、水中のスペクタクルに命を吹き込むような水彩画で彩られています。
香りのないサンゴに、命を吹き込むように、新しい香りを与える。

©Diptyque

©Diptyque
「コライユ オスクロ」は、歴史と視覚的な魅力に富んだ〝ヴェネツィアのサンゴ〟に焦点を当てたものでした。私は、このテーマをフローラルな香りの視点から解釈し、さらにヴェネチアのラグーナに織りなされる光と影のコントラストである「キアロスクーロ」の概念も取り入れるよう依頼されました。
私の創作プロセスは、往々にしてそのテーマに完全に没頭するための徹底的なリサーチから始まります。この香りのインスピレーションの源となったのは、ヴェネチアのサンゴの燃えるような赤色、その彫刻のような形状――そして何よりも「塩気」でした。ありきたりなアクアティック系の香水を作ることは避けたかったのです。それは容易なことではありませんでした。
最初の試作は少し暗すぎ、パウダー感が強すぎました。しかし、この調整段階は極めて重要であり、これらの要素のバランスを取ることに集中すると、陽光に照らされた空と海の暗闇の間に浮かぶ、きらめく石のようなミネラル感のある花の波打つようなうねりも描くという最終的な香りはあっという間に自然に完成しました。
香りの核となるのは、インド産の希少な交配種であるブルボンローズです。ゼラニウムやライチなどを加え、ローズはさらに強調され、鮮やかな色彩とベルベットのような質感により、サンゴの視覚的な魅力と見事に調和しています。
サンゴが生息する環境特有のミネラル感と塩気を表現するため、緑がかったヨードのような清涼感をもたらす天然のリーク(西洋ネギ)エキスや、木材の酸化によって得られるサフランのようなスパイスの新香料「Sympep」といったユニークな成分を取り入れました。
これらの成分が、木片から抽出したサンダルウッドの香ばしい深みと組み合わさることで、サンゴの神秘的なエッセンスを捉えた、ミネラル感と塩気を帯びたアコードを生み出してゆきます。
さらに、カラブリア産ベルガモットのヘッドエキスと手搾りのマダガスカル産マンダリンの果汁が香りに明るさを、ピンクペッパーがきらめきを加え、深みのある塩気のあるノートと美しいコントラストを成す、生き生きとしたサンゴの謎めいた華やかな質感を感じさせてくれます。
アレクサンドラ・カーリン
かつて2021年にディプティックで限定フレグランス「キョウト」をクリエイトしたアレキサンドラ・カーリン女史によるこの作品は、同じく〝赤色〟をキーカラーにした香りです。爽やかな海風のようなマンダリンとベルガモットの輝きに、海水と海藻と砂浜がフレッシュに混じり合う、キリリと生き生きとした海の息吹を全身で受け止めていくような感覚からこの香りははじまります。
それはまるで、あなたの身体の底の暗闇にきらめく何かを素肌の表面に浮きだたせてくれそうです。すぐに鮮やかなブルボンローズの蜂蜜のような甘やかさ(センティフォリアローズより濃厚な香り立ち)が広がってゆきます。ブルボンローズとは、西洋のローズと東洋のローズが交配された珍しい品種のローズです。
そして「キョウト」にも共通する野菜の香りがすべてを包み込んでゆきます。マリンローズとマリンシトラスとマリンベジタブルの三重奏に、心に群生する珊瑚が揺らめいているように、塩辛くもジューシーなレッドローズの余韻に満たされてゆきます。
ディプティックのコラボレーションのプロセスは独特であり、非常に充実したものです。調香師同士が競い合うような多くのプロジェクトとは異なり、ディプティックでは各調香師にそれぞれ異なるテーマが与えられ、個々の主体性と創造性が育まれます。
それぞれのフレグランスは独立した存在でありながら、コレクション全体の物語を形作る一翼を担っており、これはディプティックが調香師たちを深く尊重していることの証です。
アレクサンドラ・カーリン
香水データ
香水名:コライユオスクロ
原名:Corail Oscuro
種類:オード・パルファン
ブランド:ディプティック
調香師:アレクサンドラ・カーリン
発表年:2024年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/51,150円
公式ホームページ:ディプティック

シングルノート:ブルボンローズ、ソルティミネラルアコード、カラブリアン・ベルガモット、マンダリン、サンダルウッド
