ココ ヌワール
原名:Coco Noir
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ、クリストファー・シェルドレイク
発表年:2012年
対象性別:女性
価格:50ml/16,500円、100ml/23,100円
公式ホームページ:シャネル
黒いドレスの女の魔性の香り
ココ・シャネルが1926年に発表したリトル・ブラック・ドレスにより、女性服における黒を、喪服のイメージから、女性のエレガンスへと昇華させました。そんな〝黒いドレスの女〟の魔性を香りによって体現したのが、「ココ」シリーズのブラック・ヴァージョンとして2012年に発表された「ココ ヌワール」です。
さらにこの香りは、最愛の人ボーイ・カペルを1919年12月22日に交通事故で失ったココ・シャネルが、その傷心を癒すために滞在していたヴェネチアで見たであろう幻想的な夜の情景からもインスパイアされた「ヴェネチアで始まり、ヴェネチアで終わるオリエント」の香りでもあります。
そんなこの香りは非常に異例なことなのですが、まず最初にボトル・デザインが開発された上で、そのボトルをイメージして、シャネルの三代目専属調香師ジャック・ポルジュとクリストファー・シェルドレイクによって調香されました。
香りの根本のイメージは、ココ・シャネルのアパルトメントで存在感を誇っていたコロマンデル屏風が持つオリエンタルかつバロックなムードでしたでした。
「黒いココ」という名のこの香りは、棘を隠した黒薔薇、牙を隠した黒豹、蜘蛛のように糸を張り巡らし獲物を待つ黒いドレスの女の香りであり、死にかけた花束が、最後の息をついている香りとも言えます。
香りの奥にひそむ果実の罠
この香りこそが、シャネルの香りのテーマとも言える「嘘をつく香り。嘘が真実になる香り」です。つまりは本物以上にあざやかで美しい香りなのです。
爽快にグレープフルーツとベルガモットが弾けながらこの「ブラック・シャネル」ははじまります。爽快な太陽の情景は、走馬灯が駆け抜けるように、一瞬で、月の光の下で妖しく輝く真紅の薔薇(ゼラニウムと見事にブレンドされた)と純白のジャスミンの情景に変わってゆきます。
パチョリとピンクペッパーが花々に深みを与えながら、秘められたピーチを覚醒させます。この秘境の中に存在するような果実の香りが、みずみずしい水仙と閃光のようなきらめきを見せるのが、この「ブラック・シャネル」が生み出す神秘性のカラクリなのです。
やがてスパイシーローズはフランキンセンスに飲み込まれ、スモーキーローズへと変化し、サンダルウッドとトンカビーン、ホワイトムスク、バニラが生み出す甘くもクリーミーな至福のひとときを芽生えさせてくれます(一言で言えば、ムスキーフローラルとなる)。
ブラックとゴールドで統一されたボトル・デザインも「女性のための黒の魅力を創造したシャネル」に相応しいデザインであり、洗練と官能性と神秘性を同居させたミニマルな魅力に満ち溢れています。
ちなみに分かりにくいのですが、キャンペーン・モデルはカーリー・クロスです。
香水データ
香水名:ココ ヌワール
原名:Coco Noir
種類:オード・パルファム
ブランド:シャネル
調香師:ジャック・ポルジュ、クリストファー・シェルドレイク
発表年:2012年
対象性別:女性
価格:50ml/16,500円、100ml/23,100円
公式ホームページ:シャネル
トップノート:グレープフルーツ、カラブリア産ベルガモット、オレンジ、ピンクペッパー、フランキンセンス
ミドルノート:ジャスミン、ローズ、スイセン、ゼラニウム、ピーチ
ラストノート:ベネズエラ産トンカビーン、インドネシア産パチョリ、ニューカレドニア産サンダルウッド、ベネズエラ産バーボンバニラ、ホワイトムスク、オリバナム、ベンゾイン、クローブ