作品名:さらば友よ Adieu l’ami (1968)
監督: ジャン・エルマン
衣装:タニーヌ・オートレ
出演者:アラン・ドロン/チャールズ・ブロンソン/オルガ・ジョルジュ・ピコ/ブリジット・フォッセー
新婚の妻ジル・アイアランドのアドバイス
『戦うパンチョ・ビラ』の撮影の中で、初めてヒゲを蓄えることになったチャールズ・ブロンソン(1921-2003)。その時、アラン・ドロンが、新作の共演の俳優としてアメリカ人を探しているという話を聞きつけ、ブロンソンのエージェントは、巧みに彼を売り込んだのでした。当初ドロンは、リチャード・ウィドマークとの共演を望んでいたのですが、ドロン自身のお気に入りの作品である『機関銃ケリー』(1958)の主人公をブロンソンが演じていたこともあり、相手役に起用されることになりました。
その時、新婚の妻ジル・アイアランド(正確には、二人は本作撮影終了後の1968年10月5日に結婚)が、ヒゲを蓄えたブロンソンの方が人気が出るとアドバイスしたのでした。
アメリカでは1973年まで公開されることのなかった本作は、ヨーロッパにおいては公開と同時に大ヒットし、ブロンソンは『ウエスタン』(1968、本作の後の1968年7月に撮影開始された)の大ヒットもあり、ヨーロッパで一躍スターの仲間入りを果たしたのでした(ちなみに本作が撮影されたのは、1968年1月15日から3月9日にかけてです)。
〝奇跡の46歳〟チャールズ・ブロンソン。
グラスになみなみとついだお酒の中にコインを落としていくゲームをブロンソンがします。そして、「イエ~~」の掛け声。
軽くない男をアラン・ドロンが演じ、軽い男をチャールズ・ブロンソンが演じるという変化球が見事に生きています。
それにしてもオープニングにおいて、外人部隊の軍服を着て、20代の若者の中を違和感なく歩くブロンソンという男の存在感に驚きを感じずにはおれません。当時46歳の彼は、第一線の戦闘員の制服を着て、人々に全く違和感を感じさせないのです。ブロンソンの凄さ。それはどんな名優にも生み出すことは至難の業であるアンチ・エイジングな役柄を演じきれるところにあるのです。