一瞬だけ登場するグリーン・トレンチコート
イザベル・スタイル4
- グリーン・トレンチコート
イザベルのアイコニック・トレンチコート
イザベル・スタイル5
- オフホワイトのトレンチコート
- 下にオフホワイトのスカートスーツ
- 白のポインテッドトゥ・ハイヒール・パンプス
ファスト・ファッションのコートに対する「功」が、色々なコートが安価に手に入ることであるとするならば、「罪」は、コートの一つの種類に対して、本当に上質なものと向き合うことなく、次から次へと、色々な種類のコートを持つだけになってしまい、結局は3000円から5000円程度のコートを5種類から10種類持つだけになってしまうことです。
コートほどその生地感が問われるリアルクローズはありません。美しいシルエットを保ちながら、ドレープに身を任せ、優雅なステップを楽しみながら、防寒の意味も果たせることにコートの真骨頂があるとするならば、見せ掛けのシルエットに、生地もペラペラで、防寒性もないコートを何種類持っていようと、それはコートの役割を果たしません。
コート姿のイザベルが颯爽としていて魅力的なのは、コートの真骨頂を満たしているものに身を包んでいるからなのです。コートに関しては、安いものを沢山知るよりも、上質な生地に身を任せ、多くのコートの中から自分の一着を選ぶことが重要なのです。安いコートほど、すぐに化けの皮が剥がれるものはなく、それはお金を出して、寒々しいボロ布を身に纏っている様なものなのです。
情熱の赤色を着こなすオンナの魅力。
イザベル・スタイル6
- 赤のレザー・ジャケット
- 赤のスカート
- 黒のパテントレザーベルト
- 黒の半そでのカットソー
- 黒のハイヒールパンプス
最後の最後に現われるイザベルも情熱の赤に身を包んでいます。オードリー・ヘプバーンは赤というカラーを否定していました。しかし、赤を自分のモノにする女性は、大人の女性の魅力を手にすることになるのです。
イザベル・スタイル7
- ブラック・スカートスーツ
トレンチコートとスーツを脱いだ二人。
イザベル・スタイル8
- 赤のバッククロスのホルターネックドレス
- 赤のトートバッグ
- 黒のストラップつきエスパドリーユサンダル
人は、みながいいと思うものを求めたがる。でも恋愛って『彼のこの良さは私にしか分からない』という特権的なものなんだと思います。
山田詠美
ラスティとイザベルの恋の物語。それが『オーシャンズ12』です。だからこそ、この二人のファッションは共通項を持っており、結局のところ、似ている男と女が結ばれていくのが世の常ということなのです。
あらゆる価値観の中で、ここが共有できないとこのカップルはうまくいかないという価値観が存在するとするならば、そえはファッションに対する感覚なのです。この作品は、この二人の存在ゆえに、21世紀のスタイル・ムービーの至宝になってゆくことでしょう。