カフェ ローズ
原名:Cafe Rose
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:アントワン・リー
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/37,180円
あなたを滅ぼしてしまうほどスリリングで美しい暗闇
「カフェ ローズ」はトム・フォードの「プライベート ブレンド コレクション」の中の「真夜中の庭園」=ジャルダン・ノワール・コレクションのひとつです。シプレ・フローラルの香りは、2012年に高砂に移籍したアントワン・リーのジボダン社在籍時の最後の調香となりました(トム・フォードのために「アジュレー ライム」と「ヴァイオレット ブロンド」も調香しています)。
合計4作品(他の香りは、「ジョンキーユ ド ニュイ」と「オンブル ド ヒヤシンス」、「リス フューム」)の中で現在も販売されているのは、この作品だけです。
このコレクションのコンセプトは、「あなたを滅ぼしてしまうほどスリリングで美しい暗闇」です。
さぁ、あなたの中の闇に咲くあのローズの香りを・・・
その存在を目に留めた瞬間、誰もが抱きしめたい衝動に駆られる天使のようにピュアなピンクのメイローズの香りからこの香りははじまります。
しかし、そんな可憐なるローズの蕾の下には、鋭い棘が隠されているのです。そんな悪魔が囁くようにスモーキーなサフランとスパイシーなブラックペッパーが交錯するのです。
抱きしめたいけど、抱きしめられない香りに包まれる中、すぐにトルコ産ローズとブルガリアンローズが救援し、効し難いほどにフローラルな華やかさを生き生きと解き放つのです。
悪魔は身を潜めるのが得意です。三種類のローズ・シンフォニーの美しさにローズ自身が退屈するまで待つつもりです。そして、退屈したその花の心の隙間に、突如、コーヒーエッセンスとお香が現れ、入り込んでゆくのです(身を潜めていたブラックペッパーも姿を現す)。
そして、香りが導くままに、茶色の迷宮を駆け巡るように、ダークな世界へと引きずり込んでいくのです。ピュアローズがカフェローズになる瞬間です。最後に、パチョリの存在を見つけたカフェローズは「もうどこまでも堕ちていい」とダークローズになる決意を固め、アンバー、サンダルウッドの葬送行進曲に送られながら見事に〝暗黒のローズ〟として開花するのです。
まさにトム・フォードが提案する新しいローズのカタチがここにあります。それはローズの暗黒面=禁じられた側面を引き出す官能的なブルガリアンローズとコーヒーの斬新なブレンドです。
暗黒のローズというよりも、官能のローズの香りです。グリーンというカラーイメージを一切廃したローズ。「艶やかに露もしたたり」という言葉にこそ相応しいローズです。そう!この香りは、ボトルの中で蕾となったローズが私たちの肉体に触れた瞬間に、悪徳に目覚め、とめどなく咲き乱れる香りなのです。
1970年代の「ベルサイユのバラ」系の少女マンガをイメージさせるボトル及びラベル・デザインもとても魅力的です(現行品のボトルデザインは通常のデザイン)。
「美しさは罪」な香り
『パタリロ』のマライヒがつけていそうな香り。「美しさは罪」と言いながら髪をかき上げると押し寄せてきそうな香り。
香水データ
香水名:カフェ ローズ
原名:Cafe Rose
種類:オード・パルファム
ブランド:トム・フォード
調香師:アントワン・リー
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/37,180円
トップノート:サフラン、ブラックペッパー、メイローズ
ミドルノート:トルコ産ローズ、ブルガリアンローズ、コーヒー
ラストノート:インセンス、アンバー、サンダルウッド、パチョリ