そして、2メートル18センチの巨人と対峙する。
カリーム・アブドゥル=ジャバー(1947-)の存在があればこそ、この作品のブルース・リーというイメージに普遍性とインターナショナル性が加味されました。アジア人同士で戦うのではなく、色々な人種が乱れて戦うところに、当時の香港映画にはなかったブルース・リーの映画の特異性があります。彼の作品の魅力は、ブルース自身がサンフランシスコ出身の第一言語が英語である所もあって、アメリカ人の出演者が多いということでした。
『ドラゴンへの道』『燃えよドラゴン』もそうなのですが、香港を舞台にしていないところに、ブルース・リーの不滅性の根源は存在するのですが、本作のみが、香港を舞台にした唯一の作品になりました小男が大男を倒すと言う幻想が、この作品によって、カラテ界にまで飛び火することになり、極真空手における川畑幸一→緑健児の「小さな巨人」伝説へと繋がっていくのです。
帰ってきたイエロー・トラックスーツに身を固めたドラゴン達。
『少林サッカー』(2001)のゴールキーパーを演じたチャン・クォックァン。
『キル・ビル』(2003)のユマ・サーマン。2ピース・スーツにオニツカ・タイガーのスニーカーを履く。
本作の公開以後、ファッション・シーンにおいてもイエローを見るとブルース・リーを連想させるくらいになるほど、この作品のブルース・リーの視覚的印象は強烈でした。そして、ブルース・リーの凄さは、1973年に死んでもなお、彼の映画を見た後に、鏡の前で思わず「アチョー」とファイティング・ポーズを取りたくなるところにあるのです。
まさに『ファイトクラブ』のブラッド・ピットのように。