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【ディプティック】ベンジョワン ボエーム(オリヴィエ・ペシュー)

ディプティック
©Diptyque
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ベンジョワン ボエーム

原名:Benjoin Boheme
種類:オード・パルファム
ブランド:ディプティック
調香師:オリヴィエ・ペシュー
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/22,000円

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世界で最も美しいベンゾイン(安息香)の香り

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ディプティック・ブティックのみで展開される「ル バザール デュ 34」の4つのラインアップの一つとして2015年に発売されるも、薬事法に引っかかり、日本においては数年で姿を消した幻の香り「ベンジョワン ボエーム」は、オリヴィエ・ペシューにより調香されました。

2010年から5年の歳月をかけて生み出された「ベンジョワン ボエーム」とは、フランス語で「自由奔放な安息香、または気まぐれベンゾイン」という意味です。

ベンゾインとは安息香と呼ばれ、ラオス産(シャム安息香)は特に希少価値の高いものとして知られています。スティラックス・トンキネンシスの幹から樹脂を採るために、植林してから少なくとも7年待たなければなりません。パピエダルメニイ(アルメニアペーパー)にも使われていることで有名です。

そんなベンゾインの持つ力を最大限に引き出すために、新たなる抽出法で抽出されたパチョリを中間に置き、アンジェリカシード、キャラウェイ、サンダルウッド、スティラックスといった香料があくまで引き立て役として現れる、瞑想と覚醒を生み出す非常に贅沢な香りです。

ひとつの香りではなく、毎日変わる千の香りを生み出したいという調香師の精神が反映された香りです。

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香水が〝失われた日本〟を蘇らせた瞬間


ベンゾインの持つ甘さを、ピリっとした清涼感を運んでくれるアンジェリカシード(植物性ムスク)が上手く受け止めて円やかな香りにしている〝うっとりするようなハーバルな甘さ〟からこの香りははじまります。すぐにベンゾインの影のように絶妙な濃度でラブダナム(ロックローズ)がアンバリーにその存在を現してゆきます。

やがて、アンジェリカが消え、ベンゾイン本来のバニリックかつバルサミックな静謐なる煌きを全身で受け止めていく時間へと移ってゆきます。そして、準主役とも言えるパチョリが静かに現れ、ベンゾインの樹脂っぽさに磨きがかけられてゆきます。仄かに感じる深みのあるチョコレートのようなアンダートーンもとても趣があります。

静謐だったベンゾインは、最終的に、クリーミーなサンダルウッドに誘発され、樹脂が滴り落ちるように、磨き上げられた絶世の美へと昇華していくのです。とても神秘性を感じさせる香りです。それでいて、非常に居心地が良く、特に日本人の心に響く美学を秘めた香りです。

つまりは、陶器の器が、非対称だからこそ、その美しさを増すように、金でできた鉢の輝きは、年を重ねることでより華麗になるように、この香りのベンゾインは、そういった極致に到達したベンゾインなのです。

より端的にこの香りの素晴らしさを表現すると〝スモーキーではないお香〟です。

決して大音響で心に響く音ではなく、静かな音色なのですが、お経のような単調な静けさではなく、大自然の壮大な静けさでもない、ただただ途切れることなくベンゾインが神秘的な色々な静かなる音色を聴かせてくれる香りなのです。

これほど本当の意味で、日本古来の美を表現した香りは珍しく、本物でありすぎたため、日本では存在することが許されなかった所が、〝失われた日本〟を体現した香りであることの証明だと実感させられます。

これは本当に香りなのでしょうか?それとも奈良時代や平安時代の貴族達が空気のように嗅いでいた香りなのでしょうか?

マラカイト製の茶色のキャップと、急激な温度変化によってわざと亀裂を作ったボトル・デザインもまた唐王朝的で、天平文化的です。

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香水データ

香水名:ベンジョワン ボエーム
原名:Benjoin Boheme
種類:オード・パルファム
ブランド:ディプティック
調香師:オリヴィエ・ペシュー
発表年:2015年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/22,000円


シングルノート:ベンゾイン、サンダルウッド、アンジェリカ、スティラックス、インドネシア産パチョリ・リーフ、ペルーバルサム、キャラウェイ、ラブダナム

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