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【フエギア 1833】アマリア(ジュリアン・べデル)

フエギア 1833
フエギア 1833
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アマリア

原名:Amalia
種類:パルファム
ブランド:フエギア 1833
調香師:ジュリアン・べデル
発表年:2010年
対象性別:ユニセックス
価格:30ml/28,600円、100ml/48,400円
公式ホームページ:フエギア 1833

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アマリア・アモエドのために生み出された香り

創業したての頃のジュリアン・べデルと共同経営者であるアマリア・アモエド ©FUEGUIA 1833

ブエノスアイレスの研究室にて。©FUEGUIA 1833

2010年にジュリアン・べデルが、ブエノスアイレスで創業したフエギア 1833から、創業年に発売された「アマリア」は、11に分けられたコレクションの〝Amalia(女性の美しさを表現するための創造物)〟のひとつとして、ジュリアン・べデルにより調香されました。

当初「アマリア プリマヴェーラ(Amalia Primavera)」の名前で発売されていました。共同創業者であり篤志家兼アートコレクターのアマリア・アモエドのために、彼女が愛するジャスミンによって、女性の美しさを表現した香りです。

現在では〝Amalia〟コレクションはなくなり、〝Personajes(名士、登場人物=ジュリアンの人生の航海で、彼の人生を変えた思い出に残る人)〟に編入されています。

ちなみにアマリア・アモエドさんは、アルゼンチンでも三本の指に入る大富豪の娘で、2017年まで共同経営者でした。20年以上に渡り、アルゼンチンのウルグアイの芸術家を積極的に支援し、更に1920年代から現在までの約450点の南米の芸術作品を所蔵し、現在は、アマ・アモエド財団を設立し、南米の芸術文化を豊かにする活動に邁進しておられます。

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フエギアは、スケール感のある香りを生み出すニッチ・ブランドです。

©FUEGUIA 1833

フエギア1833というニッチ・フレグランス・ブランドの本質は「南米の大地に自生する芳香性植物や薬草の守護者である先住民の地域社会への賛辞であり、彼らの保護活動を応援する叙情詩でもあります。」というブランド公式の文章と、

ある意味、私の香りへのアプローチはいつも神とつながることで前進してきました。人類学的に見ても人は、さまざまな儀式に香りを取り入れ、儀式の内容にかかわらず、それを広めてきました。こうして地球上のいかなる儀式にも香りは欠かせないものとなりました。

ジュリアン・べデル

の言葉に集約されています。

つまり香水業界にとっても未開の地である〝南米の壮大な世界観と豊かな香料〟を反映した、〝繊細さよりも、大地から湧き立つエネルギーやドラマティックな植物の生態を解き放つスケールのある香り〟を生み出す唯一無二のブランドなのです。

それは、チャイコフスキーの『ピアノ協奏曲第1番』のような荘厳なクラシック音楽を思わせます。そのためフエギアは、香りの変化について〝パフューム・コード〟で表現しています。

それは、香りのスケールを音楽のコード理論で示しており、以下のスリーコード(主要三和音)となります。

  • トニック・ノート 香調を決定づける主役の香料。もっとも長く残り、余韻を奏でる香り。他の香料はすべて、最終的に引き寄せられひとつの世界観を生み出してゆきます。
  • ドミナント・ノート 香りに個性を与え、香水のテーマを表現する香り。トニック・ノートの次に安定感のある香料であり、香調を豊かにする役割を担います。
  • サブドミナント・ノート つけた瞬間に漂い、第一印象を決める香り。二つのノートに不安定な響きを与える香料で、コントラストを生み出す役割を果たします。

つまりシングルノートではなく、クラシック音楽のように、ドラマティックな香りのうつろいを感じることが出来ます。

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限りなくシンプルに、自然のジャスミンを素肌で味わう

©FUEGUIA 1833

ウルグアイジャスミン © Top Tropicals LLC

ジャスミン・グランディフローラ

ジャスミン・デル・シエロ(プルンバゴ)

大西洋沿岸にはウルグアイジャスミンとアジアンジャスミン(茉莉花)という意外な組み合わせの植物群が共生している。それはまるで友情へのオマージュのよう、海の近くで仲良く暮らしている。

公式ホームページより

白とショッキングピンクのグラデーションが鮮やかなウルグアイジャスミン(パロクルス)とインド原産の純白のジャスミン・グランディフローラが素肌の上で惹かれ合うような、うっとりするほど美しいジャスミンの自然な香りからはじまります。

新鮮なグリーンと、艶やかな甘さと、獣が目覚めるような鋭さをムスクとアンバーグリスとそれらを豊かに引き立てるシスタスが、ひとまとめとなり、円やかにフルーティーかつクリーミーなジャスミンが広がってゆきます。

もしかしたらオリジナルの名が「アマリア プリマヴェーラ」であるため、〝プリマヴェーラ〟の歌を唄ったポルトガルの国民的歌手アマリア・ロドリゲスから影響を受けているのかもしれませんが、情熱的なジャスミンの抱擁から、官能的なジャスミンに肌が愛撫される感覚に満たされる、非常に豪華でエレガントな時間が続いてゆきます。

エニシダのレモンのように爽快な甘酸っぱさと豊かなローズのアクセントが、甘やかなジャスミンに軽やかさを与え、うっかりしていると酔わされてしまう程に、黄金に輝く夏の日の解放感と高揚感で包み込んでくれます。

スプレーを吹きかけた瞬間、ジャスミンが爆発するようでありながら、フレッシュなグリーンさとアニマリックなシベトンと柑橘のようなエニシダが、ジャスミンの濃厚な甘さを、絶妙なバランスで、少し行き過ぎではないかと爆発寸前なところでまとめてくれています。

何よりもジュリアンが、サプライヤーから45種類以上のジャスミンの精油を得て、その内の多くの種類の精油をブレンドして、魔法のようなジャスミンを生み出しているため、性別、季節、気温、体温、肌質によって、全く違うジャスミンの香り方がするのがこの香りの魅力です。

そのためある人にはグリーン×フルーティなジャスミン・グランディフローラ、またある人にはジャスミンサンバックを感じさせるのです。フエギアの世界の魅力。それはひとつの香りが、新しい様々な側面を、日々素肌の上で魅せてくれる所にあります。

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香水データ

香水名:アマリア
原名:Amalia
種類:パルファム
ブランド:フエギア 1833
調香師:ジュリアン・べデル
発表年:2010年
対象性別:ユニセックス
価格:30ml/28,600円、100ml/48,400円
公式ホームページ:フエギア 1833


トニック・ノート:ジャスミン・デル・シエロ(プルンバゴ)
ドミナント・ノート:ジャスミン・グランディフローラ、シベトン
サブドミナント・ノート:エニシダ、アンバーグリス