ノータイ・スタイルとは選ばれし男たちのスタイル。
アラン・ドロン・スタイル2 チェスターフィールド
- グレーのチェスターフィールドコート、ピークドラペル、ダブル
- 白のワイシャツ、胸ポケットあり
- ブラックスーツ
- ブラックのニットタイ
- ブラックのレザーシューズ
- 黒のウェイファーラー・サングラス
- エニカ シェルパ ウルトラダイブ
アラン・ドロンといえばこの三点セットです。コート、スーツ、サングラス。それにしても今の日本に蔓延るとんでもなくイタいスーツ族の着こなしはどうにかならないものだろうか?
街中には、半袖シャツに、財布やスマホで胸ポケットをパンパンにふくらませ、学生服のようなクタクタのスラックスに、ノータイというとんでもなく気の抜けたシャンパンのようなスタイルが蔓延っています。本来は、上質なシャツとスーツを着たものにのみ許される特権が、ノータイ・スタイルであり、上質なアンサンブルによって、リラックスしたラグジュアリー感が演出されたわけなのです。
逆に、安くて質の悪いスーツにこれまたサイジングが微妙なワイシャツで、ノータイにしてしまうと、ただただだらしなさが演出されるだけなのです。
今では日本中に、半袖シャツのゾンビが徘徊しています。胸ポケットを膨らませて、首にお札のような認識票をぶらさげ、なぜか優越感さえも漂わせながら・・・
唐突に登場するダークコートがステキ。
アラン・ドロン・スタイル3 ブラックチェスターフィールド
- ブラックのチェスターフィールドコート、ピークドラペル、ダブル
『禁じられた遊び』(1952)のオリヴィア・ハッセーをモノにした後、終盤に一度だけチェスターフィールド・コートが登場します。恐らくオリヴィアの父親のコートなのでしょう。ダークスーツに、ダークコートの組み合わせは鉄板です。
この作品には、アラン・ドロンの最大の魅力が出ています。アラン・ドロンの魅力とは、女優の隣に立つケーリー・グラントのような魅力と同じなのです。ただ彼の場合は、女優の隣ではなく、男優の隣に立てば、その男優の魅力を最大限に輝かせることが出来るのです。だからこそ、アラン・ドロンという俳優は、〝男優にとってのダイアモンド〟なのです。
ドロンの横顔とクールネス、そして、その仕草があったからこそ、チャールズ・ブロンソンは思う存分光り輝けたのです。
それにしても、最後に〝イエー〟と叫ぶアラン・ドロン。すべてはこのシーンのために存在したのでした。