レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル
Les Exclusifs de Chanel ラグジュアリー・ブランドのフレグランスのエクスクルーシブ・ラインに共通しているのは、どの名前も覚えにくい所にあります。そして、シャネルも例外ではありません。2007年から発売されている「レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル」(その名の響きは世界史に出てくるペルシャ王の名を連想させる)。「Les Exclusifs =レ・ゼクスクルジフ」の意味はフランス語で「限られた、選ばれし」を意味します。
つまり、世界中で限られたシャネルの店舗(そして、本来は限られたフレグランス・エキスパート)においてのみ販売することが許される最上級ラインなのです。現在18種類の香りが販売されており、それぞれにココ・シャネルにまつわる〝美のヒント〟が隠されています。
ココ・シャネルの一生を投影した香り
2007年に生み出されたこのコレクションは、後にジョー・マローン・ロンドンにクリスティーヌ・ナジェルを招聘することになるドム・ド・ヴェッタという当時のシャネルの副社長の肝いりにより誕生しました。
高純度な天然香料で作られたとか、特別な抽出方法により抽出された希少価値の高い天然香料を使用したという次元の話よりも、シャネルのプレタポルテのファッションを購入するような感覚をお客様に求めるコレクションです。つまり、これはプレタポルテ(プレステージ)・フレグランスなのです。
だからこそ、シャネルのコスメカウンターではなく、シャネル・プレタが販売されているブティックで、シャネルの服やバッグが視野に入るところで販売すべき〝ココ・シャネルの精神〟が宿る香りなのです。
18種類の香りは、大まかに3つのセクションに分けられます。
- ≪復刻版≫ N°22、ガーデニア、ボワ・デ・ジル、キュイール・ドゥ・ルシー
- ≪ジャック・ポルジュ作品≫ オードゥ・コローニュ、31 リュ・カンボン、N°18、コロマンデル、ベル・レスピロ、28 ラパウザ、シコモア、ベージュ、ジャージー、1932
- ≪オリヴィエ・ポルジュ作品≫ ミシア、ボーイ・シャネル、1957、ル リオン ドゥ シャネル
現在発売されているものの大半は、2007年から発売されたオード・トワレ・ヴァージョンが、2016年9月に全て、オード・パルファム・ヴァージョンへとリニューアルされたものです。
このコレクションには、他のラグジュアリー・ファッション・ブランドを寄せつけない歴史があります。現在において、名が通っているほとんどのファッション・ブランドは古くても1940年代から50年代に創業しています。
しかし、シャネルの歴史は、1910年代からはじまります。それはある意味、ラグジュアリー・ファッションに関わる仕事に従事する人々にとっての踏み絵ともなります。フレグランスとファッションを結びつけたシャネルというブランドの先駆性が、今では、どのブランドにとっても当たり前になっている事実を私たちは再認識しなければなりません。
日本のシャネル愛好家の99%がミーハー層(もしくはただ悪趣味にしか見えない全身ブランドお化け層)で占められていると言われる現状において、〝洗練された1%〟になるための18のパーツ=〝シャネルの美の秘訣のパズル〟が、このコレクションのそれぞれの香りなのです。
さぁ、この香りのコレクションを通して、ココ・シャネルの偉大性に触れてみましょう。18種類の香りは、あなたのシャネル愛を本物にしてくれるエリクサーなのです。だからこそ、この香りの真の名は、〝1%の選ばれし者の香り〟と呼ばれるべきなのです。
最後にリトル・ブラック・ドレスの香りを特別にマチルド・ローラン様に作ってもらいたいものです。
レ・ゼクスクルジフ18作品
2020年
ル リオン ドゥ シャネル (オリヴィエ・ポルジュ)
2019年
1957 (オリヴィエ・ポルジュ)
2016年
ボーイ (オリヴィエ・ポルジュ)
ジャージー (ジャック・ポルジュ)
ベージュ (ジャック・ポルジュ)
シコモア (ジャック・ポルジュ、クリストファー・シェルドレイク)
28 ラパウザ (ジャック・ポルジュ、フランソワ・ドゥマシー)
ベル レスピロ (ジャック・ポルジュ)
コロマンデル (ジャック・ポルジュ、クリストファー・シェルドレイク)
N°18 (ジャック・ポルジュ)
31 リュ カンボン (ジャック・ポルジュ)
キュイール ドゥ ルシー (エルネスト・ボー、ジャック・ポルジュ)
ボワ デ ジル (エルネスト・ボー、ジャック・ポルジュ)
ガーデニア (エルネスト・ボー、ジャック・ポルジュ)
N°22 (エルネスト・ボー、ジャック・ポルジュ)
2015年
ミシア (オリヴィエ・ポルジュ)
2013年
1932 (ジャック・ポルジュ)
2007年
オードゥ コローニュ (ジャック・ポルジュ)