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ザ・ディファレント・カンパニー

【ザ ディファレント カンパニー】ニュイ マグネティック(クリスティーヌ・ナジェル)

ザ・ディファレント・カンパニー
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ニュイ マグネティック

原名:Une Nuit Magnetique
種類:オード・パルファム
ブランド:ザ・ディファレント・カンパニー
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/22,000円、100ml/33,000円
販売代理店ホームページ:ルシアージュ京都

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二人の天才を結びつける〝磁力〟が生み出した香り

娘のセリーヌ・エレナ。ジャン=クロードの弟も調香師です。

世紀末を迎え一人の男が香水業界の救世主伝説を生み出そうとしていました。調香師という存在に光を当てた男、フレデリック・マルの登場です。そして、彼のアイデアを聞き、いの一番に理解を示したのがジャン=クロード・エレナでした(一つ目の磁力)。

かくして2000年に、エレナは、マルの最初の香りのうちのひとつ「アンジェリーク スーラ プリュイ」を創造したのでした。

このマルとの出会いが、エレナに与えた影響は絶大でした。それが従兄弟のティエリー・ドゥ・バシュマコフと共に、ハイ・コンテンポラリー・パフューマリー『ザ・ディファレント・カンパニー』を2000年に創立する原動力になりました(二つ目の磁力)。

ティエリーは、ブルガリの「オ パフメ オーテヴェール」のボトル・デザインも担当したプロダクト・デザイナーでした。「最高品質の天然香料を駆使して、他にはないユニークでエレガントな香水を創ること」を目的に生み出されたこのニッチ・ブランドの誕生によって、エレナははじめて、自分が本当に生み出したい香りを創造することが出来るようになるのでした。

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エルメスの調香師に就任する、わずか2日前に完成した香り

©The Different Company

ジャン=クロード・エレナとクリスティーヌ・ナジェル ©Hermès

2004年にジャン=クロード・エレナはエルメスの専属調香師となり、娘のセリーヌ・エレナがその後を継ぐように『ザ・ディファレント・カンパニー』の香りを創造していくのでした(三つ目の磁力)。

そして、時は流れ、2014年にクリスティーヌ・ナジェルが、エルメスの二代目調香師に決定した時、彼女はエレナ父娘が育て上げた愛の結晶とも言える『ザ・ディファレント・カンパニー』のために唯一の香りを生み出すことを決意したのでした。

かくして、2014年3月4日に〝セーヌ川のほとりで語り合う二人。磁石のように引き寄せられる魅惑の夜〟をイメージした「ニュイ マグネティック」は完成したのでした。そして、その2日後の3月6日に、クリスティーヌはジャン=クロード・エレナのパートナーとして、エルメスの専属調香師に就任したのでした(四つ目の磁力)。

それはフランス語で〝魅せられ合う一夜〟という名前を持つ、花と木にムスクをふりかけ、素肌に官能と本能を同時に呼び覚ます香りです。

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ブルーベリーが官能と本能を翻弄する肌の香り



私は、二つの肉体が引きつけあう「磁力=マグネティック」を香りとして創りだしたいと考えました。そのために相反する原料と、とびきり相性の良い原料を波状のように散りばめたアンバーウッド・アコードを生み出し、この香りの核としたのでした。

ベンゾイン、パチョリ、ムスクがアンバーに溶けて、ミドルノートの花々を引きつけ、プルーンがその甘さで引きとめる。さらにジンジャー、ブルーベリー、ベルガモットが溶け合い、引き寄せられ、フレッシュでスパイシー、フルーティーなファセットに香りを染め上げていくのです。

クリスティーヌ・ナジェル

この香りの最大の特徴は何かと言えば、人生の絶頂にいる天才に、一切の制限なく香りを作って頂いたところにあります。

つまりクリスティーヌが、人生の一大野心を果たした時に、これから二年間共に働くことになるエレナに向けて、彼へのすべての愛をこめて調香した〝わたしの全身全霊をこめて生み出した香り〟それが「ニュイ マグネティック」なのです。この名前には、明らかに、エレナと私を結びつける磁力という意味も込められています。

〝魅せられ合う一夜〟の香りは、〝ブルーベリーが官能と本能を翻弄する肌の香り〟です。

それは太陽が沈む瞬間に解き放ったベルガモットの咆哮からはじまります。と同時に、ブルーベリーが甘酸っぱく広がり、そこにピリっとスパイシーなジンジャーが注ぎ込まれ、ブルーベリーに生き生きとした生命力が与えられていくのです。

まるで、日が沈み行く中、高級な赤ワインのグラスとグラスを音を鳴らさず合わせた瞬間のような、実にメランコリーに洗練された妖艶なフルーティさに鼻腔は満たされてゆきます。このブルーベリーには、最初の一吹きで虜にする〝磁力〟があります(甘酸っぱいベリージャムのような粘着力ではなく)。

すぐに砂糖漬けされたプラムとベンゾインも加わり、さらに芳醇さを増した赤ワインが素肌の上に滑らかに広がっていくように、アンバー、ムスク、パチョリによりバルサミックなクリーミーさを宿してゆきます。

甘くてフレッシュ。でありながら、通り過ぎていくようなフレッシュ感ではなく、ずっとそこに留まってくれるフレッシュ感がこの香りにはあります。

肌に馴染むのではなく、肌を吸い寄せるような磁力を持つ独特な〝磁力=魔力〟を感じる中、三つの『華麗なる一族』が光臨するのです。人肌をもっとも官能的になめしてゆく三つのフローラル=ジャスミン、ローズ、チューベローズの到来です。

やがて〝魅せられ合う一夜〟が静かにやって来ます。ブルーベリーと三つの花々がムスキークリーミーに渦巻く星雲に呑み込まれていくように、素肌の奥に眠る〝官能が生み出す歓喜の記憶〟を呼び覚ましていくのです。

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地球上の幸せを集めてくれる香り


フレッシュでありながら完熟。甘くて苦くて酸っぱい。円やかで棘がある。肌に吸い付き、肌を拒絶する。温かくて冷たい。つまりは、磁力で反発しながらも、引き寄せあう、女と男の関係(または愛する二人の関係)をそのままボトルに詰め込んだような香り

最後にこの香りを的確に説明するであろう表現をさせていただきます。

地球上の幸せを集めてくれる香り〟、平たく言えば〝香りの元気玉〟。暗闇の中から、光を集めるように、幸運を引き寄せてくれるお守りではないでしょうか。

ルラボの「イラン49」(2015年、フランク・フォルクル)ともよく比較される香りです。

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香水データ

香水名:ニュイ マグネティック
原名:Une Nuit Magnetique
種類:オード・パルファム
ブランド:ザ・ディファレント・カンパニー
調香師:クリスティーヌ・ナジェル
発表年:2014年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/22,000円、100ml/33,000円
販売代理店ホームページ:ルシアージュ京都

トップノート:ジンジャー、ベルガモット、ブルーベリー
ミドルノート:エジプト産ジャスミン、トルコ産ローズ、チューベローズ、プラム
ラストノート:ベンゾイン、パチョリ、アンバー、ムスク、アンバーウッド