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【ロス アンド ロス】マラマタ(ドミニク・ロピオン)

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©Roos & Roos
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マラマタ

原名:Malamata
種類:オード・パルファム
ブランド:ロス アンド ロス
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/22,000円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP

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フランスの香水界のファーストレディ、シャンタル・ルース様。

アレクサンドラ・ルースとシャンタル・ルース ©Roos & Roos

シャンタル・ルース様

私はいつも、フレグランスは小さなコスメカウンターの片隅で生きているものではないと申し上げてきました。フレグランスは、今起きているすべての社会的な出来事を集約したような存在なのです。

ロードゥ イッセイ」は、90年代という時代を象徴する香りです。〝少ないことは多いこと〟まさに禅の精神です。そして、女性にとって最も必要なものが〝純粋な水〟だということを教えてくれる香りでもありました。

シャンタル・ルース

シャンタル・ルース(シャンタル・ロス)という人の凄さを一言で説明すると、映画女優で喩えるとメリル・ストリープ(1949-)のようなアカデミー賞をはじめとする国際的な賞を何度も受賞している〝生きた伝説〟です。シャンタルは、フランスの香水界のファーストレディと呼ばれています。

1976年から1990年までイヴ・サンローランのパルファム部門のクリエイティブ・ディレクター(インターナショナル・プロダクト・ディレクター)として「オピウム」(1977)「クーロス」(1981)「パリ」(1983)という名香を生み出しました。

1990年10月からは、香水作りの本場であるフランスに自立した存在として資生堂の社長・福原義春が設立したボーテ・プレステージ・インターナショナル社( BPI )の最高責任者として、1992年に「ロー ドゥ イッセイ」、1993年にジャン=ポール・ゴルチエの「クラシック」(更に「ル マル」)を生み出しました。

そして2000年にYSLパルファムを買収したグッチ・グループのトム・フォードに請われ、新しく生まれ変わったYSLボーテの最高責任者として、2007年までイヴ・サンローランの香りの創造に再び取り掛かることになりました(ステラ・マッカートニーの「ステラ」も含む)。

その後引退していたシャンタルが、ニッチ・フレグランス・ブランドを立ち上げることになったきっかけは、4枚のシャンソンのアルバムを出している娘のアレクサンドラ・ルース(アレクサンドラ・ロス)が、「なぜ、お母さんほどの実績のある人が、理想のフレグランスを作らないのですか?」と尋ねたことからでした。

この一言により、「私がとても年老いた女性になったとしても、役に立つ場所がある」と強く感じ、娘に自分の培ったフレグランス創造のプロセスを伝承することにしました。

かくして、ファブリス・ペルグランを調香師として招き『ディア ローズ』というニッチ・フレグランス・ブランドを2014年に創立し、5つのフレグランスをリリースしたのでした。

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香水名は、フランス語で〝愛されないもの〟の意味。

©Roos & Roos

2019年に二人の創業者は『ディア ローズ』というブランド名が、人々に対して、すべての作品がローズを主役に生み出された香りだと勘違いさせてしまっていると考え、ブランド名を『Roos & Roos(ロス アンド ロス)』に変更しました。

2022年に発売された〝シンプル コレクション〟の三種類の香りのうちのひとつが「マラマタ」でした。ドミニク・ロピオンにより調香されました。〝シンプル コレクション〟とは、中世の修道院の庭園のような、修道士によって治療のために栽培された薬用植物を使用した香りのコレクションです。〝Malamata〟とは、フランス語で〝愛されないもの〟を意味します。

「マラマタ」誕生のきっかけは、2020年3月に遡ります。その頃、アレクサンドラ・ルースは、パンデミックによりブランドの倒産はほぼ確実だと考えていました。彼女はちょうどノルマンディー地方でイラクサに囲まれていたので、イラクサをテーマにした新しいブランドを立ち上げ、事業の仕切り直しを考えていました。

そして熱を加えないコールドプロセス製法で作った石鹸の香りをドミニク・ロピオンにお願いしようと、電話で話し、新鮮なイラクサと乾燥したイラクサを彼に届け、実際に取り掛かってもらいました。

しかし会社が倒産せず、最終的にそのアイデアは「マラマタ」として昇華し、3年後にフレグランス・ファウンデーション・アワード2023のベストニッチパフューム賞を受賞したのでした。

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〝愛されないトゲのある草〟イラクサが生み出す、緑の祭典。

イラクサ

真夏の太陽が、日のはじめに、きららかに、朝露をふくんだ緑の園を照らすとき。大地から立ち上るように広がる野原の叫びと、恍惚のグリーンの爆発から、この香りははじまります。

より正確に言うと、メタリックなヴァイオレットリーフとペパーミント、ガルバナム、そしてパチョリがひとまとめになり、素肌の上にグリーンピースの輝きで満たしていくようです。

すぐセージとニガヨモギも加わり、草原の輝きと野生のハーブのハーモニーが、肌を透かして心にまで響き渡ります。そしてソーピィーなローズとスズランの花の精を揺り起こすように、水晶のようにきらめく花のかぐわしさで全身を清めてゆきます。

やがて、温められた草とアンバーグリスの甘い余韻が広がり、〝愛されないトゲのある草〟イラクサの、苦くてジューシーな中毒性のあるグリーンノートに包み込まれてゆくのです。

はじまりは、爆発するような大自然のグリーンに圧倒されるかもしれません。しかし、時が過ぎるほどに〝愛されなかったもの〟に、身も心も夢中になってゆくことでしょう。今まで感じたことのないグリーンの誘惑に溺れてゆく香りです。

香水の魔力とは、愛されない自然界のものから、愛を生み出すことが出来ることだということを、改めて教えてくれる香りです。

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香水データ

香水名:マラマタ
原名:Malamata
種類:オード・パルファム
ブランド:ロス アンド ロス
調香師:ドミニク・ロピオン
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/22,000円
販売代理店ホームページ:NOSE SHOP


トップノート:ペパーミント、ヴァイオレットリーフ
ミドルノート:ローズエッセンス、セージ、スズラン、ニガヨモギ
ラストノート:パチョリ、アンバーグリス、ムスク