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ジョー・マローン・ロンドン

【ジョー マローン】フレンチ ライム ブロッサム コロン(パトリシア・シュー)

ジョー・マローン・ロンドン
©Jo Malone London
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フレンチ ライム ブロッサム コロン

原名:French Lime Blossom Cologne
種類:オーデ・コロン
ブランド:ジョー・マローン・ロンドン
調香師:パトリシア・シュー
発表年:1995年
対象性別:女性
価格:100ml/18,260円

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シャンゼリゼの菩提樹の香り


巴里のイギリス人から見た、初夏のパリのシャンゼリゼ通りの香りです。

ジョー・マローンがシャンゼリゼを散策していたときに、とても気分が高揚する香りに遭遇しました。その高揚の原因とは、通りの両側に立ち並ぶ菩提樹(リンデン)の花でした。

1994年10月17日にロンドンに一号店をオープンし、凄まじい売り上げを上げることになったジョー・マローンは、自分が調香した香りだけでなく矢継ぎ早に多くの香りをリリースしたいと考えました。

そして、香料の供給元であるLautier Florasynth社(グラース)を訪れ、この作品の調香師をはじめとする数人にジョー・マローンの新作の調香を依頼することになります。その時に立ち寄ったパリで、人生の絶頂に立っていたジョー・マローンは、前述の〝高揚感〟を味わうことになるのです。

イギリスで「ライム・ブロッサム」とはライムとは全く関係がなく、シナノキ属のリンデン(西洋菩提樹)の花を指します。ほとんどの人が柑橘類のライムと勘違いしてしまうことでしょう。そんな紛らわしい名のフローラル・グリーンの香りは、パトリシア・シューにより調香されました。

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自白を引き出したい刑事にお勧めしたい香り

©Jo Malone London

甘くもパウダリーな菩提樹の花の香りに、ひと吹きされたベルガモットが絡み合うトップノートからこの香りははじまります。やがてアニスのアクセントが加わったハーバルなタラゴンにジャスミン、ローズ、スズランが加わり、ベースのスパイシーなカーネーションとミルキーなビーズワックスが混ざり合います。

ゆっくりとトロリと掻き回されるように、この香りは香り立ちます。それはまるで子供の頃、親に連れて行ってもらった遊園地にある並木道を歩くような懐かしさを伴う、心躍る爽やかなソーピィ・フローラルな香りに包まれていくようです。

セピア色の並木道の香り。笑顔と切なさを同時に湧きおこさせる香りです。

ジョー・マローンの意図とは別にこの香りは明確に〝郷愁を呼び覚ます香り〟と言えます。ある意味どんな凶悪犯であっても、この香りを身に纏う人が近づいてきたならば、ふと目頭に涙を溜めてしまうような香りといえます(香りの〝落としの八兵衛〟)。

この香りを世界中の人たちがつけたならば、世界は間違いなく今よりも優しく温かいものになるでしょう。ジョー・マローンの中で最も〝心温まる〟香りです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「甘いハーブ調の可愛らしい香りで気持ちがいい。気取りがなくて快い。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:フレンチ ライム ブロッサム コロン
原名:French Lime Blossom Cologne
種類:オーデ・コロン
ブランド:ジョー・マローン・ロンドン
調香師:パトリシア・シュー
発表年:1995年
対象性別:女性
価格:100ml/18,260円


トップノート:リンデン・ブロッサム、ベルガモット、プチグレン
ミドルノート:タラゴン、ジャスミン、ローズ、スズラン
ラストノート:カーネーション、ビーズワックス(蜜蝋)