京都BALが、世界の京都BALになるために必要なこと
京都BALは、今日本で最も可能性に満ちています。ココこそが、日本のファッションシーンを世界に引き上げる可能性を持っています。たとえば、ハイエンドな全ドメスティックブランド(もちろん岡山デニムも販売し、京都発信のドメスティック・ブランドも集まり、そして、世界的なサカイ、カラー、ビズビム、ヨージヤマモト、コムデギャルソン、アンダーカバー、メゾンキツネ等を集めます)を、集合させたり、京都限定のアイテムが集まるインポート・ブランドとのコラボ・フロアーを作るなどのスペースを作ることです。
それをレディースとメンズ同時展開で発売し、出来るだけ、外国人のスタッフを雇うことを心がけます。更に、女性の服を男性が売り、女性の服を男性が売るようにすると面白いでしょう。つまり、このビルを日本で始めてのクロス・ジェンダーの店舗にするのです。なんなら、あるラグジュアリーストアは全員GIDの方を雇用するのも素晴らしい試みでしょう。これからのラグジュアリー・ファッションの文化に必要なこと。それは常識を打ち破ることなのです。京都BALにはそれをするだけの地の利があります。
オススメ店その14。トゥモローランド京都BAL店
下の2Fに向かいましょう。京都で最高のセレクト力を誇るのが、ここです。ただし書きがあります。女性販売員がその商品の素晴らしさについていけてるかどうかです。これほどの商品展開があるならば、その知識も並では許されません。ミニマルなアイテムとエッジの効いたアイテムをミックスさせたスタイリングをまず自分自身に施している必要性があります。このビルで最もオシャレじゃないといけない(それだけでなく、京都で最もオシャレな人達が集まると言われなければならない)わけなのですが、ここに一つ、セレクトショップの抱えるもはや誤魔化しようのない現実があります。
それは制服が支給されるラグジュアリー・ブランドの販売員の方々が、隠しおおせている販売員のオシャレ感度を、ハイエンドのセレクトショップの販売員の方々は隠せないという点です。結局は、給与の問題です。自己投資出来ない環境で、ファッションが磨かれることはありません。そろそろアパレル業界は、無計画な店舗拡大の戦略を考え直さなければなりません。ラグジュアリーな商品を売るに相応しい人材育成を行わなければなりません。
ファッションの本質は、モテたいです。そして、女性のお客様が、女性の販売員の方から、ファッション・アイテムを購入するときの指針は、「モテそう」な人かどうかなのです(見た目と言うよりも、雰囲気美人かどうかが重要)。その意味において、『トゥモローランド京都BAL店』の女性販売員の方々は、京都で一番モテそうなオーラに満ち溢れている必要性があるのです。
一方、ここの男性販売員の一部の方々は強烈なパワーに満ち溢れています。一昔前の反逆精神に満ち溢れています。決して、日本のファッション・メディアが捉えない、アパレルの現場の生々しさ。この生々しさの中にこそ、ファッションの面白さが秘められているのです。
さて、肝心のセレクトの素晴らしさについての説明を忘れてはいけません。なぜこの『死亡遊戯』の旅を最上階から一階へと下っていったのか?ロン・ハーマン→エストネーション→トゥモローランドという流れをおすすめする理由は、トゥモローランドでセレクトされているアイテムの中には、エッジが聞いた、あなたのファッション感度が問われるものも多分にあり、京都で最大の敷地面積を持つこのセレクトショップこそが、あなたの最終決戦の場に相応しいからなのです。
- ドリス・ヴァン・ノッテン。かなりエッジが効いてます。
- ゴールデン・グース。一足はマストハブな、アディダス、ナイキ、ニューバランス、コンバースを黙らせる最強スニーカー。
- アクネ・ストゥディオズ。これをミックスしている人はなぜかモテます。
- セドリック・シャルリエ。元キャシャレルのクリエイティブ・デザイナー。フレンチ・カジュアル。
- イザベル・マラン。インソールハイヒールスニーカーで一世風靡したブランド。ニットが美人シルエットです。
- J.W.アンダーソン。ノーモア・ノージェンダー。さぁ、クロスジェンダー時代の到来です。
- アクアズーラ。19歳でサルバトーレ・フェラガモに入ったエドガルド・オソリオによる今ハリウッドで最も注目されているシューズ・ブランド。
- ジョンストンズのマフラー。
- ジャンポールノット。本当のドレープの美しさを理解させてくれる天女クローズ。
- ボーイフレンドデニムの3×1(スリーバイワン)。
- 他にもクロエ、チャーチ、ジャンヴィト・ロッシ、レペット、そして、メゾンマルジェラまで・・・
最後にひとつだけ言わせてください。
オススメ店その15。キャバン
さて1Fに戻りました。忘れてはならないのがキャバンです。丸の内と新宿と葉山にしかないトゥモローランドのコンセプト・ストアです。ここでは、男性の店長とお話することをおすすめします。極めて特徴のあるこの男性のセンスは、賞賛に値するものがあります。女性の髪を切る男性美容師のように、あなたをスタイリングしてくれることでしょう。
私は、東西のメンズ館(梅田阪急メンズ館と新宿伊勢丹メンズ館)を訪れる女性の心理というものがよく分かります。彼女たちは、彼氏のプレゼントを見に来たという口実で、自分のファッション感度を磨くために男性アイテムを見に来ています。そして、もうひとつ重要なこと、それはオシャレなメンズが集まるこの空間において、男性販売員の方々に自分の品定めをしてもらいたいと願っています。
私たちはひとつあれば、いいものを探す喜びを知るためにファッション・スペースを訪れます。そして、そこで、ファッション感度の高い人々に出会う喜び。あわよくば、自分に対してそう感じてもらう喜びを感じたいと思っています。
ファッション・ルートを歩くことは、自分磨きの旅でもあります。さて考えてみましょう。あなたの旅は京都駅から始まります。京都のイオンモールでZARAとアズールを見て、アバンティでドンキホーテを見て、ポルタの地下街を見て、四条に出て、H&M、GAPを見て、OPAを見て、「ああ・・・プチプラがファッション感度を磨く」と言い切れるでしょうか?販売員との交流なき衣服探し(ポルタとOPAは除く)ほど退屈なものはありません。
「販売員の方が話しかけてくると嫌です」という気持ちを持つよりも、気持ちよく会話し、まだ他も見たいと思う気持ちは素直に伝えるだけでいいのです。今の時代、強引に買ってくださいと言ってくる販売員はよほどの無神経な販売員です。そして、あなたも、それに対して平然とNOと答えればよいのです。「迷ったときは買わないこと」ただそれだけです。ファッション感度を磨く最短距離は、しかるべきレベルの販売員の方々と会話し(まずはそういう人達と対等に話したいという気持ちを持ち)、色々なアイテムを身に着けて試していく中で、自分が好きなものが見えてくるのです。
試着して購入しないのは、申し訳ないと考える必要は全然ありません。なぜなら販売員の方々も自分が何かを購入するときは、何十回と色々な場所で試着するからなのです。ここで最後に一つのバロメーターを書かせて置いてください。名づけて「ラグジュアリー・ブランドを売る販売員から見たお客様の大きな二つの傾向」です。
難易度ハード ファッション感度の高い人。→試着をしてもなかなか買わない。しかし、販売員はこういった人を味方につけて、好きなアイテムを選ばせ、スタイリングの実験台にする。いいえ、そうしてスタイリングを勉強する人のみが、売れる販売員となり、この人からも購入してもらう最大の達成感を勝ち取れる。
難易度イージー ファッション感度が低いが、背伸びしようとしている人。→おだてれば、すぐに売れる。
結局は、あなたがオシャレになればなるほど、販売員から重宝され、しかも購入は期待されないと言うことなのです。そして、ゆっくりと本当に良いものを吟味することが許されると言うことなのです。オシャレな人は、慎重にファッション・アイテムを選びます。常にクローゼットとの調和を考えて悩みます。そして、そういうお客様に恵まれる販売員は、その人自身ファッション感度が恐ろしい程に高くなります。残念なことですが、人材育成をしっかりしていないラグジュアリー・ブランドの販売員の方々にとって、勝敗を左右するのは、ファッショニスタなお客様を何人味方につけて、彼らから学ぶかということなのです。
さぁ、これで、京都のファッション・ルートは全てです。変更点があれば、随時アップデートしていきます。さあ、皆様。ファッションを楽しみましょう。会話をしましょう。じっくりと選びましょう。そして、本当のモノの価値を知る喜びに触れましょう。