サンダー フォー メン
原名:Sander For Men
種類:オード・パルファム
ブランド:ジル・サンダー
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:1998年(現在廃盤)
対象性別:男性
価格:40ml/5,500円、75ml/7,400円
ジル・サンダー初のメンズコレクションを記念した香り
1980年代後半のドイツは、まだまだファッション大国とは程遠いものでした。当時、ドイツのハンブルクから誕生した偉大なるファッション・デザイナーの名を挙げよと言われたなら、挙がる名前は二人しかありませんでした。カール・ラガーフェルドとジル・サンダー(1943-)です。
ジル・サンダーは、装飾を排除したミニマルなデザインにより、1987年にミラノ・コレクションに初登場した瞬間から話題になり、一大旋風を巻き起こしました。
彼女は、元々、1975年にパリコレに参加するも、時代は派手な装飾を求めておりあえなく撃沈したというバックグラウンドを持ちます。つまり、失敗してもそれを乗り越えて自分の信じるスタイルを突き進むことの出来る信念の人なのです。
1999年にプラダグループ傘下となった後、2000年に一度引退するまでの1980年代後半から90年代がジル・サンダーの最盛期だと言われています。
そんな中、1997年に、1997-98AWより、メンズのファーストコレクションを発表しました。この翌年の1998年にこのコレクションを記念して発売されたメンズ・フレグランスが「サンダー フォー メン」でした。ジャック・キャヴァリエにより調香されました。
ジル・サンダーのミニマルなスーツが似合う男性の香り
ジル・サンダーのミニマルなメンズ・ファッションの世界観を体現する香りとして生み出されたこの香りは、ミントという香料がイメージさせるスッと鼻に抜けるような爽快感ではなく、心の中に、爽やかな風が吹き込むような、清々しいミントとアイビーリーフの広がりからはじまります。
すぐに涼しげなサイプレスとシダーウッドが最初から最後まで存在するシャープな森の鼓動を感じさせてゆきます。スーツを着た瞬間に、全身の筋肉が目を覚ますような静かなる闘志が高まっていくようです。
そこにシナモンを中心としたペッパー、コリアンダー、カルダモン、ナツメグといった、甘くて辛いスパイスシャワーが降り注ぎ、フレッシュグリーンな香りとひとつになってゆきます。
大自然よりも大都会のアスファルトの上を颯爽と歩くようなキリっとした感覚の中、やがて温かなミルラとカシミアウッドの甘い森林の吐息の余韻に全身が包み込まれてゆきます。
男性よりも、80年代から90年代にかけてのジル・サンダー自身を体現する香りであり、そんなミニマルなパンツスーツやドレスが似合う凛々しい女性にとても愛された香りでした。
特徴のあるボトル・デザインはファビアン・バロン(90年代に「ハーパース・バザー」を復活させたクリエイティブ・ディレクター)によるものです。
ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「とてつもなくドライな香りとなっている。この堅苦しいフレグランスの成分をあげてみよう。カルダモン、クラリセージ、ペッパー、ゼラニウム、ヴァイオレット、サイプレス、スペアミント、シダーウッド、ガイアックウッド。こんな履歴書をもった香水に、無気力なんてありえない。この香水をつけているボスにクビをいい渡されたとしたら、最後に覚えているのはこの香りだろう。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:サンダー フォー メン
原名:Sander For Men
種類:オード・パルファム
ブランド:ジル・サンダー
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:1998年(現在廃盤)
対象性別:男性
価格:40ml/5,500円、75ml/7,400円
トップノート:シナモン、アイビーリーフ、ブラジリアンミント
ミドルノート:ペッパー、コリアンダー、カルダモン、ナツメグ
ラストノート:サイプレス、カシミアウッド、レッドシダーウッド、ミルラ、ラブダナム