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花の香水図鑑

年代順に見るバラ香水図鑑2023

花の香水図鑑
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年代順に見るバラ香水図鑑2023

ローズ(薔薇)。香料として使用されるローズは大きく二種類に分類されます。ダマスクローズ(ロサ・ダマスケナ)センティフォリア・ローズ(ローズセンティフォリア)です。

  • ダマスクローズ・・・4月~5月に開花する。華やかでムスキーなローズの香りが特徴。水蒸気蒸留して精油を抽出するローズ・オットーはこちらからのみ。ローズ・アブソリュートは溶剤抽出により両方から採れる。
  • センティフォリア・ローズ(ローズドメ)・・・5月~6月に開花する。本物の花に近い深みのある甘い香りが特徴。溶剤抽出により抽出する。ダマスクローズより花弁が多く100枚の花びらを持つためキャベツのように見える。

ダマスクローズの産地は、ブルガリア、トルコが抜きん出ており、センティフォリア・ローズの産地は、かつてはグラースだったのですが、今ではモロッコの方が主要生産地です(相場はブルガリア産ローズの半値)。

水蒸気蒸留して採られたものをローズ・オットーと呼び、溶剤抽出により得られるものをローズ・アブソリュートと呼びます。前者はエレガントですっきりした香りで、後者は濃厚な甘い香りとなります。そして、前者のほうが大量の花びらを使用するため高価です。

さらにもうひとつ第三の方法として、超臨界流体抽出法(=二酸化炭素抽出法)があります。低温処理が可能なため香りの成分の大半を壊すことなく抽出することが出来ます。ただし、冷却と加圧を行う必要があるため、装置が大きく莫大な設備投資の費用がかかります。

ローズが香料として、クレオパトラといった古代の時代から人々に愛されるのは、その外観と香り以上に、もっと重要な要素があります。それはローズは、ジャスミンやヴァイオレットなどと違い、蒸留の際の熱に耐えることが出来、精油を得ることが出来たからなのです。

さらに、他の精油とは異なり、水にも少しは溶解し、ローズ水が作りやすかったからなのです。

ただし、ローズ自体は手入れが大変な植物であり、花びらの緑色のがく片をいちいち収穫後に取り除かないといけないので、手間がかかり、蒸留も最低2回以上必要なためとても経費がかかります。

しかし、そんな苦労の末に生み出される香料であるからこそ、ローズは香りで物語を語ることが出来、人々の心を動かすことが出来、恋を呼び覚ますことも出来るのです。

では、そんなローズをテーマにした新作とおすすめの香りをご紹介していきます。

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年代順ローズ香水(恐らく50種類くらいになるでしょう)

1979年


ナエマ(ゲラン)

・調香師:ジャン=ポール・ゲラン
・早すぎたピーチローズ革命
・ローズの持つ激しさと優しさの二元性
・カトリーヌ・ドヌーヴに捧げられたローズ
・マイヤ・プリセツカヤの舞うボレロ
1993年


ヴォルール ド ローズ(バラ泥棒)(ラルチザン)

・調香師:ミシェル・アルメラック
・バラ園を襲う嵐
・バラの残骸の中生き残る一輪の完璧なバラ
・バラに対する愛の深さが試される香り
・パチョリの復権→ココマド・ブームへ
1996年


レッド ローズ コロン(ジョー・マローン・ロンドン)

・調香師:ルシアン・ピケ、パトリシア・ビロドー
・スパイシー、フルーティ、ティー
・7種類のレッドローズの奇蹟の競演
・「21世紀のバラの香り」チャンドラー・バール
・〝イイ女の到来〟を伝えてくれる香り
1999年


ローザ(サンタ・マリア・ノヴェッラ)

・フレッシュ、ハーバル、甘やか、ソーピィー
・1381年に作られたローズウォーターへのオマージュ
・静かに修道院の庭で咲いているようなローズ
・厳かなグレゴリオ聖歌が血管を駆け巡るような感覚
2000年


リップスティック ローズ(フレデリック・マル)

・調香師:ラルフ・シュワイガー
・パウダリー/ラズベリー/クラシック
・マリリン・モンローのリップスティック
・ピンクと言うよりは真っ赤なルージュ
・シンプルに存在感のある美を生み出せる香り
2007年


ノワール デ ノワール(トム・フォード)

・調香師:ジャック・キャヴァリエ、ハリー・フレモント
・スモーキー/ウード/パチョリ
・トム・フォードの最初のバラは『黒薔薇』
・クールな甘さという、未知の言語
・〝究極の黒と究極の黒〟が交錯する瞬間


ポール スミス ローズ(ポール・スミス)

・調香師:アントワーヌ・メゾンデュー
・生花そのもののバラの香り
・ヘッドスペース法による自然の再現
・永遠に枯れない愛のバラ
・40年目を迎えた妻への〝永遠の愛〟
2010年


ポートレイト オブ ア レディー(フレデリック・マル)

・調香師:ドミニク・ロピオン
・とことん洗練されているローズ

・イメージは50年代のディオールのドレス
・ボトルの中に400本のトルコ産ローズを
・マリア・カラスのアリアのような
2012年


ヴェルベット ローズ & ウード コロン インテンス(ジョー・マローン・ロンドン)

・調香師:ファブリス・ペルグラン
・スモーキーなウード、ジャミーなプラリネ
・謎が謎を呼ぶサスペンスのような逃走迷路
・「ノワール デ ノワール」と混ぜるな危険!
・あなたの中の悪魔を召喚するローズの香り


カフェ ローズ(トム・フォード)

・調香師:アントワン・リー
・真夜中のローズガーデン=〝暗黒のローズ〟
・あなたの中の闇に咲くあのローズの香りを…
・あなたを滅ぼす。スリリングで美しい暗闇
・艶やかに露もしたたる「美しさは罪」な香り
2014年


ア ラ ローズ(メゾン・フランシス・クルジャン)

・調香師:フランシス・クルジャン
・ビロードのような柔らかさと優しさ
・メイローズ250本とダマスクローズ150本
・華麗なるプチ・トリアノンへ誘う
・マリー・アントワネットのためのローズ
2015年


ローズ サイレンス(ミラー・ハリス)

・調香師:リン・ハリス、マチュー・ナルダン
・フレッシュ/フルーティ/ムスキー
・素晴らしく雄弁な、沈黙のバラ
・消えていく一歩手前のバラの儚さ
・美しい沈黙、深窓の令嬢のようなバラ
2018年


スケルツォ(ミラー・ハリス)

・調香師:マチュー・ナルダン
・グルマン/ウード/ハーブ
・夏のフレンチリビエラの甘い庭園
・フィッツジェラルドの小説『夜はやさし』
・酔わせる大人の恋のウードローズ
2019年


ロー ア ラ ローズ(メゾン・フランシス・クルジャン)

・調香師:フランシス・クルジャン
・王妃のローズ・ウォーター
・洋ナシとライチと二種類のバラ
・明け方に摘み取ったバラの花びら
・10代のアントワネット王妃のためのローズ


ローズ ドゥ メ(ペリス・モンテカルロ)

・調香師:ジャン=クロード・エレナ
・グラース産メイローズ・アブソリュート
・新しいエレナ・スタイルを求めて
・水彩画から写実的な油彩画のスタイルへ
・〝香水の聖地〟グラースの大自然の想い出
2020年


ロム ア ラ ローズ(メゾン・フランシス・クルジャン)

・調香師:フランシス・クルジャン
・ハーバル/フレッシュ
・男性のためのフレッシュ・ローズ
・グラースローズとダマスクローズの競演
・フェルセン伯爵のローズの香り


ローズプリック
(トム・フォード)

・調香師:ギヨーム・フラヴィニー
・薔薇の一刺し/パウダリー/ジャミー
・クリーミーにシンクロするローズの三重奏
・「美しすぎるものの危険性」
・プライベート・ローズ・ガーデンの香り
2021年


ローズ トネール(フレデリック・マル)

・調香師:エドゥアール・フレシェ
・情熱の赤い一輪の薔薇
・ペリゴード黒トリュフとローズの組合わせ
・赤ワインのようなグラース産ローズ
・人肌の上に咲かせる〝孤高のバラ〟
2022年


パリ パリ(シャネル)

・フレッシュ/シトラス/スパークリング
・軽快なパリジェンヌをイメージした
・アンドロジナスにエレガントなバラ
・シャネルの〝ラ・ヴィ・アン・ローズ〟


ローズ ダマルフィ(トム・フォード)

・フレッシュ/ロマンティックな甘い余韻
・イタリアのアマルフィ海岸
・三部作の中で、もっとも肌に近いローズ
・ローズ・ネオアブソリュートを使用
・『プライベート ローズ ガーデン』シリーズ


ローズ ド シーヌ(トム・フォード)

・フレッシュ/ティーローズ/スモーキー
・「チャイニーズ・ビューティ」の手引書
・退廃的なフローラル・アンバー
・ローズ・ネオアブソリュートを使用
・『プライベート ローズ ガーデン』シリーズ


ローズ ド リュスィー
(トム・フォード)

・ピンクローズの暗黒の誘惑
・〝ロシアのローズ〟=悲運のローズ
・贅沢なフローラル・レザー
・ローズ・ネオアブソリュートを使用
・『プライベート ローズ ガーデン』シリーズ