『イージー・ライダー』2|ピーター・フォンダとヒッピー・スタイル

その他の男優たち
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作品データ

作品名:イージー・ライダー Easy Rider (1969)
監督:デニス・ホッパー
衣装:記載なし
出演者:ピーター・フォンダ/デニス・ホッパー/ジャック・ニコルソン/カレン・ブラック

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史上初めてロック・ミュージックに物語を語らせた作品。

売春宿シーンの撮影にて。真ん中が監督も兼任したデニス・ホッパー。

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公開当時、世界中は、激変したデニス・ホッパーの容姿に度肝を抜かれた。

『イージー・ライダー』を象徴する売春婦とのワンシーン。

ビリー・ルック2 バーズ・スタイル
  • テンガローハット
  • サングラス
  • フリンジつきのスエードのブラウン・ジャケット
  • ブラウンのスエードグローブ
  • カーキーのシャツ
  • 白の牙つきインディアン・ジュエリー
  • ブラウンの鹿革のスエードパンツ
  • ブラウンのレザーブーツ

1968年2月23日、ルイジアナ州ニューオリンズで、ピーター・フォンダの28歳の誕生日に本作の撮影は開始されました。終盤の謝肉祭のシーンでした。全ての映像は、マリファナというフィルターを通した幻想的なムードに包まれており、非現実的な美しさに満ち溢れていました。そんな素晴らしい映像美をさらに引き立たせていたのが、デニス・ホッパーが既存のロック・ミュージックからチョイスしたステッペンウルフ、ザ・バーズ、ザ・バンド、ジミ・ヘンドリックスらによる挿入歌の数々です。

あの頃は国中の者がマリファナを吸うことに夢中になってたから、・・・ロック・ミュージックはまだ映画の中では誰も演奏したことはなかった。それでこれらすべてのことが『イージー・ライダー』とともに形になって現れ、観客はそこに彼ら自身の姿を、彼ら自身の文化を見出し、何よりも「時代の現象」を見出したのさ。

デニス・ホッパー

はじめて時代の生の音を閉じ込めた作品だった。 デニス・ホッパー

それはまた映画の中で、史上初めて、ロック・ミュージックと自然光の映像とファッションが結びついた瞬間でもありました。そして、星条旗に包まれたキャプテン・アメリカの隣に、いつでもいる男ビリーを演じるデニス・ホッパーのファッション。これこそが、ヒッピー・ファッションのひとつの頂点であり、そのテイストは、本作の挿入歌にも使われているザ・バーズのロジャー・マッギンとデヴィッド・クロスビーをベースにしたファッション・スタイルでした。

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ヒッピーといえばサイケデリック・パターン。

絶妙な配色のサイケデリック柄のパンツ。

更に、サイケデリック柄のストールをバンダナとして使用。

そして、ミリタリー・ジャケットに上記のストールを合わせる。

東洋人には決まらないスタイル。それがヒッピー・スタイルです。

ヒッピー・ルック2 サイケデリック・ルック
  • 演者:ルーク・アスキュー
  • ペイズリー柄のストール
  • ブラウン・スエードのミリタリージャケット。左腕に灯台のワッペン
  • 白のプルオーバーシャツ
  • サイケデリックラインのパンツ
  • ブラウン・スエードのフリンジ付きロングブーツ
  • キャメル色のスエードのショルダーバッグ

ニール・ヤングの元妻のサイケデリックなバンダナ。

本作の魅力の一つとして、ヒッピー・コミューンにおけるヒッピー・ファッションを見る楽しみがあります。特にルーク・アスキューのファッションは、それをそのまま真似ると日本人には厳しいものがありますが、スタイルの中に引用していくとファッション感度の高さを演出してくれる可能性に満ち溢れています。

女性のバンダナや、デニムシャツ、サイケ柄シャツ、ジーンズ、ホワイト・ミニワンピにブーツなど、このシーンはスタイリングの発想源として、とても刺激的です。

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ニック、ニック、ニック・・・インディアンズ!

ジャック・ニコルソンの登場です。

3人の才能が集まり、一つの革命は成し遂げられました。

作中で最も有名な「鳥のように自由に舞おうぜ!」シーンの一つ。

スーツにゴールデンヘルメットのアンバランスなバランス。

広大なアメリカの自然と巨大なチョッパーの見事な対比。

ジョージ・ハンセン・ルック1 アメフト・ヘルメット・スタイル
  • 白のボタンダウンシャツ
  • 赤のネクタイ
  • 白のサスペンダー
  • ベージュのスーツ、ノッチラペル
  • ブラウン・レザーシューズ
  • シュロンのロンサーZYLのクリップ・オン
  • ゴールドのフットボール・ヘルメット

おれはアメリカで最も早くLSDを試した人間のひとりじゃないかなと思う。

ジャック・ニコルソン、1972年。

この映画の中で最も名セリフと言われるセリフが以下のセリフです。

「君が象徴しているものが怖いのさ。君に〝自由〟を見るのさ。自由を説く事と自由である事は別だ。カネで動く者は自由になれない。アメリカ人は自由を証明するためなら殺人も平気だ。個人の自由についてはいくらでも喋るが自由な奴を見るのは怖い」

43分過ぎたころに突然現れるアル中の弁護士ジョージ・ハンセン。僅か17分間の登場で、その存在感を驚異的なほどに私たちの胸に焼き付けます。留置場でビリーにすごまれる時の表情。にやりとするその瞬間に21世紀最高の映画スターは誕生したのでした。

そんなハンセンがつけている眼鏡はシュロン社(アメリカン・オプティカル、B&Lに並ぶアメリカ3大眼鏡メーカーのひとつ)によるブローラインのフレーム「ロンサー」です。このフレームは丁度眉毛のようなラインを描き、1947年に発表され、1950年代を代表するフレームとなりました。

『カンバセーション盗聴』(1974)のジーン・ハックマン、『JFK』(1991)のケビン・コスナー、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(2002)のトム・ハンクスも作中で着用していました。後にレイバンのクラブマスターのモチーフとなりました。