ヌーボー モンド
原名:Nouveau Monde
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2018年
対象性別:男性
価格:100ml/45,100円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン
冒険する心を忘れない男たちに捧げる『新世界』の香り
2016年9月に、ルイ・ヴィトンが、70年ぶりに一挙、7種類のフレグランスを発売しました。「レ パルファン ルイ ヴィトン」と銘打たれたこのコレクションの全ての香りは、ルイ・ヴィトンの専属調香師であるジャック・キャヴァリエにより調香されました。
そして、2018年2月に第八弾の香り「ルジュール スレーヴ」が発売されました。さらに続いて5月31日に発売されたのが、ブランド初のメンズ・フレグランス・コレクション「レ パルファン ルイ ヴィトン フォーメン」でした。
コレクションを形成する5種類の香りのうちのひとつが「ヌーボー モンド」です。〝ヌーボー モンド〟とはフランス語で〝新世界〟を意味します。それは、ルイ・ヴィトンの最初の顧客の1人であるピエール・ブラザ(1852-1905)の平和的な冒険精神を称えた香りです。
「ブラザ ベッド・トランク」とは?
ピエール・ブラザとは、イタリア系フランス人であり、アフリカ大陸を探検し、1880年にコンゴを発見した冒険家です。そして、彼はコンゴの大きな町をブラザヴィル(現在のコンゴ共和国の首都)と命名しました。以後、平和的な統治者として、1883年から1897年にかけてフランス領コンゴの総督となり、フランスのアフリカ大陸における植民地政策の礎を築き上げたのでした。
ちょうど同じ頃、ベルギー国王レオポルド2世の特使として派遣されたヘンリー・モートン・スタンリーは、コンゴ自由国(もうひとつのコンゴ)において前代未聞の圧制と搾取を行っていました。もちろんピエールはその姿勢に反対でした。しかし、フランス本国はベルギーのような過酷な統治を求めていたのでした。
平和を愛する悲運の冒険家ピエール・ブラザは、コンゴにおけるフランス当局の圧制を改善させようと行動していたのですが、1905年にセネガルの首都ダカールで赤痢のために急死します。
そんな彼が、生前ルイ・ヴィトンに特注したのが「ブラザ ベッド・トランク」だったのでした。
世界初のウード・フレグランスを生み出した男の〝新たなる挑戦〟
新世界。未知なる文明との平和的な出会いがもたらす人生の変化。バングラデシュ産のウード・アッサムとコートジボワール産のカカオレジノイド(キャヴァリエはパリのピエール・ガニェールのコートジボワール産の純度90%の非常に苦いブラックのピュア カカオが大好物です)の出会いからはじまるものがたり。
また、ウードとカカオを結び付けるために、素晴らしきスパイスであるサフランを使用しました。
このカカオはグラースでマン社(Mane)の協力の下、アルコールに溶けるように抽出したものです。朝ホットチョコレートを用意するために箱を開けた瞬間の、あのチョコレートの香りを私は求めていたのです。
ジャック・キャヴァリエ
ルイ・ヴィトン史上初のウードが入ったフレグランスは「マティエール ノワール」でした。その時に使用されていた純金以上に貴重なバングラデシュ産のウード・アッサムをメンズ仕様の香りにしたのが、この「ヌーボー モンド=新世界」です。
キャヴァリエが、グアテマラで飲んだ、古代マヤ風の甘くないホット・チョコレートが「すぐに子供時代に私を戻らせ、冬にホットチョコレートを作るためにチョコレートの箱を開けたような気分になった」ことが、この香りのインスピレーションの源となりました。
しかし、なによりも「新世界」という名とキャヴァリエを結びつけるキーワードは、彼こそが、世界で初めて西欧社会に向けてウードのフレグランスを紹介した人であるということです。それは2002年のイヴ・サンローランの「M7」であり、アルベルト・モリヤスとの共作でした。
つまりは、この香りは、16年越しに辿り着いた〝ウードの新世界〟の香りでもあるのです。
ウードとココアが生み出す〝新しいレザーの輝き〟
私は、グアテマラのコーヒーの産地であるコバンという街に滞在していました。そこは世界で最も危険な場所のひとつだが、私がこれまで見た中で最も美しい場所のひとつでもある。山の谷間の、コーヒー畑に囲まれているこの地域は、毒蛇とメキシコからのドラッグディーラーでいっぱいだった。
しかし、そこで出会った人々との交流は忘れられないものでした。マヤ族の子孫である彼らは、非常に独創的な生活様式を維持していました。私は彼らと一緒にしばらく時間を過ごしたが、危険と隣り合わせの環境の中に、大いなる優しさがあることは、本当に忘れられないものだった。
ジャック・キャヴァリエ
荘厳たるウードと、フレッシュなココアという相反する世界が、肌の上で遭遇するとき、サフランが絶美なる光のように降り注ぎ、ふたつの世界をひとつの〝新しいレザーの輝き〟へと変えてゆくのです。
気温と体温の変化によって、変幻自在に、色々な世界を見せてくれるウードレザーの誕生です。ココアのフレッシュな苦みとウードのダークなリッチ感、そして、サフランの官能的なスパイシーな甘みをしっかりと感じさせてくれます。
そこに加わるパチョリがココアとの抜群の相性によりホットチョコレートのような温かみですべてをふんわりと包み込んでゆきます。
やがて、ローズとブラックカラントが、酔わせるような艶やかさをウードレザーに与えてゆき、スモーキーなインセンスの風に乗って、ミステリアスな煌きを肌の上に広がらせてゆくのです。
香水データ
香水名:ヌーボー モンド
原名:Nouveau Monde
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2018年
対象性別:男性
価格:100ml/45,100円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン
シングルノート:サフラン、コートジボアール産カカオ、ウード(アガーウッド)、ローズ、キャラメル、インセンス、バニラ、レザー、ブラックカラント