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クリスチャン・ディオール

【ディオール】ミス ディオール<2021年版>(フランソワ・ドゥマシー)

クリスチャン・ディオール
©DIORBEAUTY
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ミス ディオール<2021年版>

原名:Miss Dior Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2021年
対象性別:女性
価格:30ml/11,550円、50ml/16,720円、100ml/23,100円
公式ホームページ:ディオール

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幾千もの花々の情熱に応える「ミス ディオール」

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私が伝えたかったのはローズの爽やかさであり、それをあまり目立たせたくなかったので、ゼラニウムの葉などのグリーンノートを使い、足元で自然に花の香りがするような感覚を表現しました。さらに、アイリスとヴァイオレットもほのかに加えました。

前のヴァージョンよりも若々しく、とてもフェミニンで、より洗練され、官能的だと思います。

フランソワ・ドゥマシー

2021年9月3日に「ミス ディオール オードゥ パルファン」がリニューアルされました。過去に「ミス ディオール オードゥ パルファン」は三度リニューアルされました。1947年版(オリジナル)と2012年版、そして、2017年版です。

この作品は、4年ぶりに四度目のリニューアルが施された香りです。「ミレフィオリ(幾千もの花々)」のように香り立つフレッシュ・フローラルと銘打たれたこの香りは、ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーにより調香されました。

さすがに、日本全国の約1000名のディオールBA達の間においても、僅か4年でEDPがリニューアルされるという話に、「なぜ?」と感じた人が多かったようです。

この香りの誕生のきっかけは、ドゥマシーが2020年4月に、ディオールと独占的な契約を結んでいる農園「ドメーヌ ドゥ マノン」(2006年以降、この農園のローズとジャスミンはディオールの香水のためだけに栽培されています)において、珍しいグラースローズの品種を発見したことでした。

このローズの品種名は〝スウィートラブ〟。ベルベットのように滑らかなアプリコット、ピーチ、プラムに近いフルーティーさと、シャープでエレガントなその香りは、力強さと繊細さを兼ね備えていました。

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パチョリとサヨナラした「ミス ディオール」

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私は常にオリジナルのミス ディオールに敬意を払っています。ただし、今回は、ほとんど認識できないほどにシプレーの要素が大幅に減り、パチョリも減り、オークモスも減らしています。しかし、ローズは増えています。

フランソワ・ドゥマシー

2017年版の、グラース産メイローズとダマスク・ローズ、そして、パリサンダー・ローズウッドによる異色の〝バラの三重奏〟が奏でられた、〝ローズに愛のすべてをゆだねた〟香りからは一転したこの香りは、スズランとピオニー、アイリスにメイローズが遭遇した香りです。

かつて、1947年のオリジナルが、第二次世界大戦の暗黒の時代から、フローラルブーケと共に、平和と希望の時代の幕開けを告げたように、デュマシーは、この香りによって、パンデミックに見舞われている閉ざされた世界の扉を開く香りにしたいと考えました。

自然や人々の繋がりを謳歌する懐かしのあの日々がもうすぐ戻ってくるんだよという希望を持たせてくれる香りとしての新「ミス ディオール」。だからこの香りには、人肌が恋しくなり、自然が恋しくなるような、懐かしさと温かみを強く感じるように調香されているのです。

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あなたの肌の上に生み出される秘密の花園の香り

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私のこの香りの第一印象は、とてもフレッシュでフローラル。最初は軽くて、だんだんと高揚感が出てきます。まるでちょっとしたコクーン(繭)に包まれているような香りに感じます。

ナタリー・ポートマン

明るい太陽の輝きの代わりに、花々で埋め尽くされた花畑の輝きからこの香りははじまります。それはフレッシュでスパイシーなピオニーと(蜂蜜とペッパーのような)グラースローズの輝きと煌きの交錯によって生まれます。

すぐに、甘くパウダリーなアイリスと共にフレッシュグリーンなエグみのあるスズランが到来します。色鮮やかな花々が、花畑というキャンバスをそれぞれの色彩で埋め尽くしていくように〝私たちのすべての感情を呼び覚まさん〟と香りを放ちます。

やがて、ピーチとアプリコットによるラクトン爆弾が投入されるのです。フレッシュなピオニーローズと共鳴しあいながら、パウダリーなアイリスが、愛を叫ぶように、ムスクとバニラを呼び寄せるのです。

ドライダウンするにつれ、肌の上で香り立つ甘いトンカビーンとスリランカ産のサンダルウッドのクリーミーで円やかな味わい。それはソーピィーではなく、まるであなたの肉体の一部を支配する秘密の花園のように、自然の花々と人肌の温かさを結び付けていく余韻を残してくれます。

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ナタリー・ポートマンと香水の歴史

©DIORBEAUTY

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私と香水の出会いは、12歳のときに『レオン』(1994)の撮影が終わったときに、ジャン・レノからプレゼントされたのが最初の香水でした。そして、この時、とても大人になったと感じたことを覚えています。香水は私にとって女性の証のように感じました。

ナタリー・ポートマン

新作の「ミス ディオール」のキャンペーンモデルは、2011年よりミューズをつとめ、10年目を迎えるナタリー・ポートマンです。

ジャニス・ジョプリンの名曲「クライ・ベイビー」に合わせて流されるキャンペーンフィルムで着ているドレスは、ディオールの主任デザイナーであるマリア・グラツィア・キウリがデザインした「ミルフィオリ」ドレスです(500時間かけて熟練の裁縫師の手によって作られた)。

マリアこそが、かつてフェンディのバゲットと、ヴァレンティノのロックスタッズを生み出した人であることを改めて言うまでもないでしょう。

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香水データ

香水名:ミス ディオール<2021年版>
原名:Miss Dior Eau de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランソワ・ドゥマシー
発表年:2021年
対象性別:女性
価格:30ml/11,550円、50ml/16,720円、100ml/23,100円
公式ホームページ:ディオール


トップノート:アイリス、ピオニー、スズラン
ミドルノート:グラースローズ、ピーチ、アプリコット
ラストノート:バニラ、トンカビーン、ムスク、ベンゾイン、サンダルウッド