マンダリン マンダリン|『紅楼夢』の金陵十二釵=12人の美女たちの香り

セルジュ・ルタンス
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マンダリン マンダリン

原名:Mandarine Mandarin
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2006年
対象性別:ユニセックス
価格:不明

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『紅楼夢』の金陵十二釵=12人の美女たちの香り

小さな足と長い爪は過ぎ去ったものかもしれないが、剥いたみかんの香りは永遠。

「突然、その香りが蘇る。子供の頃、私はみかんの皮をストーブの熱いコンロの上に好んで置いた。今でも決して忘れない香りを漂わせていた」

セルジュ・ルタンス公式サイトより

かつてパレ・ロワイヤル本店限定の「レフラコンドターブル」コレクションのひとつとして発売されていた「マンダリン マンダリン」は2006年に誕生しました。その名のとおり、マンダリンオレンジを主役に据えたオリエンタル・スパイシーな香りです。クリストファー・シェルドレイクにより調香されました。

日本では温州蜜柑と呼ばれるこのオレンジは、果皮が剥きやすく酸味が弱く糖度が高いため食用に適しています。

18世紀半ばの清朝の時代に曹雪芹が、極貧の中で書き上げた『紅楼夢』は、中国四大名著(『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』)のひとつであり、中国の『源氏物語』ともいわれています。この香りは、『紅楼夢』の主要な舞台となる〝大観園〟をイメージした香りです。

60数人もの美少女たちが生息する〝大観園〟の世界観は、集団で活動するアイドルグループが大好きな日本人には、よく理解出来る世界観でしょう。

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ダークでミステリアスな、いまはなきマンダリンの香り

きらめきがありながらも奥深く、夢のように神秘的。シャーベットと砂糖漬けのフルーツの生き生きとした永遠の香りを通して表現されるパラドックス

セルジュ・ルタンス公式サイトより

『紅楼夢』に登場する、夢のような中国庭園〝大観園〟は、マンダリン・オレンジの天国です。数多く千夜一夜物語を連想させる香りを生み出してきたセルジュ・ルタンスによる、中国の未完成の長編小説を香水化していく試みは、颯爽と駆け抜けるマンダリンのフレッシュな香りからはじまります。

すぐに最初から最後までしっかりとその存在を示し続けるスパイシーなナツメグとセロリ、イモーテルが溶け込んでゆきます。それはまるで砂糖漬けされたオレンジ・ピールをスモーキーな中国茶に浸したようです。そして蜂蜜が振りかけられたオレンジの花の香りも到来します。

常に誘惑し、飲み込もうと欲する、禁断の果実のようなオレンジの色々な側面(酸味だけでなく、ジャスミンやチューベローズのような花の豊かな繊細さ)に、素肌が遭遇していくこの感覚は、まさに〝大観園〟で賈宝玉が遭遇する〝金陵十二釵(きんりょうじゅうにさ)〟たくさんの絶世の美少女たちとの交流を全身で楽しむようです。

やがてその中から運命の人・林黛玉と相思相愛の関係を築き上げていくように、アンバーグリスとトンカビーン、バニラにより、素肌の上で磨き上げられたマンダリンは、コクのあるワインのようにまろやかさを増し、ピリっとスパイシーなオレンジジャムのような、ほろ苦さとほんのりとした甘さを感じさせる、ほうっておけない魅惑的な余韻で満たしてくれます。

弾けるようにではなく、漂うように濃厚なオレンジの香りが、ジューシーさを一切感じさせずに、ダークかつミステリアスに広がっていくのがこの香りの特徴です。

ちなみに2006年11月発売当時、パレ・ロワイヤルの店舗でのみ、ブルードラゴンが描かれたボトルが限定30本/800ユーロで販売されました(当時、通常版は115ユーロでした)。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「マンダリン マンダリン」を「フローラル・オリエンタル」と呼び、「カルバン・クラインの「エタニティ」を写真に撮り、カメラマンがモノクロ写真の一部に色をのせるときのように手描きで色をつけたらマンダリン マンダリンになるだろう」

「なんとも奇妙で、あまりにもどぎついので、身につけるのもはばかられる」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:マンダリンマンダリン
原名:Mandarine Mandarin
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:クリストファー・シェルドレイク
発表年:2006年
対象性別:ユニセックス
価格:不明


トップノート:ナツメグ、チャイニーズ・オレンジ
ミドルノート:マンダリン・オレンジ、ティー、オレンジピール
ラストノート:ラブダナム、アンバー、トンカビーン、ローズヒップ