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ルイ・ヴィトン

【ルイ ヴィトン】ルジュール スレーヴ(ジャック・キャヴァリエ)

ルイ・ヴィトン
©LOUIS VUITTON
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ルジュール スレーヴ

原名:Le Jour se Lève
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2018年
対象性別:女性
価格:100ml/45,100円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン

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最初から決まっていた8番目の旅=日はまた昇る

©LOUIS VUITTON

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私の調香に対するこだわりのひとつは、〝フレッシュさ〟は持続しないという常識を突き破り〝持続するフレッシュさ〟を、どのようにして香水に加えるかということです。

ちなみに、香水の〝フレッシュさ〟について構想を練ったのは、私がかなり若い頃でした。その結果、1992年にイッセイミヤケの「ロードゥ イッセイ」のような、フレッシュな香水をたくさん作ることが出来ました。そして、私は〝フレッシュさの探求の旅〟を続けています。

ジャック・キャヴァリエ(以下すべての引用は、彼のお言葉)

2016年9月に、ルイ・ヴィトンが、70年ぶりに一挙、7種類のフレグランスを発売しました。「レ パルファン ルイ ヴィトン」と銘打たれたこのコレクションの全ての香りは、ルイ・ヴィトンの専属調香師であるジャック・キャヴァリエにより調香されました。

それから1年半の時が経ち、2018年3月に、ついに第八弾の香り「ルジュール スレーヴ」が発売されました。発売のセレモニーは2012年にオープンしたルイ・ヴィトン初のウォッチ&ファインジュエリーのサロン&アトリエがあるパリ・ヴァンドーム広場23番地の4階で、ジャック・キャヴァリエと共に開催されました。

〝ルジュール スレーヴ〟とは、1939年のマルセル・カルネ監督、ジャン・ギャバン主演の『陽は昇る』の原題です。その意味は、正確には〝夜が明ける、一日のはじまり〟です。

この「暗い世界」の中で、私を含め人々は、もう一度、自然とのつながりを持ちたいという気持ちが強くなっているように感じます。それはなぜか?

21世紀において、人々が人生の中でバーチャルの世界に費やす時間はかなり多くなっています。私は、私たちが覚えているもの、つまり自然への憧れを感じています。このような憧れがあるからこそ、天然素材を使用することが重要なのです。品質だけでなく、私たちの健康のためにも。

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太陽を盗むマンダリン・オレンジの美しい衝撃が、走る。

ヴェッティカ・マッジョーレ

©LOUIS VUITTON

夏の美しい朝に味わう感覚。空は澄み渡る青色で、最初の太陽の光が差し込んできます。少し風が吹いていて、緑の香り、若い木の葉、そしていくつかの花の香りが混ざり合っています。まさに至福の瞬間です。

天気と同じように、香水もその人の気分に大きな影響を与えるものなのです。私は、朝の笑顔のような、喜びに満ちたものを作りたいと思いました。目覚めたとき、隣に誰かがいて、ただ微笑んでいる。それだけで十分です。一日のいいスタートが切れるんです。

朝日の到来を告げる一番目の光線の神秘性と超絶感が与える活力。まさに、新しい一日がはじまろうとしており、何もかもが実現可能なんだというポジティブな気持ちにしてくれるこのひと時を、コレクションの7つの香りにはなかった〝シトラス=柑橘類〟を用いて、ボトルに封印しました。

夜を貫く太陽の光は、触れるものすべてを変化させます。その光を最初に浴びるような、楽天的で、光に抱擁されるような高揚感に満ちた香りを生み出したいという意図で創造された「ルジュール スレーヴ」。

それは、太陽の光が地球に到達し、あなたの肌の上に着地する〝宇宙からの光の旅〟と〝輝きの永遠のサイクル〟が感じさせる、新たなる冒険の予感の香りともいえます。

ルイ・ヴィトンの調香師に就任したばかりの頃、私は中国を旅行していました。あるとき、ジャスミンティーの茶葉にお湯を注いだときの蒸気に圧倒されました。いつかこの感覚を香りに投影したいと考えていました。それがこの香りの出発点です。

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ジャック・キャヴァリエ氏の解説がすべてを物語る。

©LOUIS VUITTON

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私のお気に入りの素材であるマンダリンを選び、この香りは創造されました。マンダリンは、果肉が持つ楽観的なムード、果皮が持つフレッシュさ、そして、樹木が持つフローラルな口当たりの良さを同時に拡散させることができる、奇跡のシトラス・フルーツなのです。

マンダリンは特殊で、レモンよりも複雑です。レモンはそのまんま、シンプルなんです。アメリカではレモンは全く人気がなく、カーペットクリーナーを連想させてしまいます。

ベルガモットは、マンダリンよりもさらに複雑ですが、ダイナミックさが足りません。マンダリンが人気なのは、そのフルーティーなキャラクターと、オレンジ、レモン、ベルガモットにはない花のようなひねりがあるからです。このシチリア産のマンダリンは、果実と花の香りを併せ持っているのです。

ちなみにこの香りのジュースの色は、マンダリンを象徴する色を付けています。

イタリアのアマルフィ海岸にある町ヴェッティカ・マッジョーレのようなマンダリン・オレンジの産地を照らす〝朝の太陽の光〟からこの香りははじまります。

一つの原料から、三つの感覚を生み出すことが出来る稀有な柑橘類であるマンダリン・オレンジの魅力を生かすために、きらめくマンダリンをさらに輝かせるようにジャスミン・サンバックとブラックカラントが注ぎ込まれてゆきます。

この香りで二つ目に重要な香料、それはブラックカラントです。一昔前までは、ブラックカラント・バッドを自然に抽出したアブソリュートを香水に使っていましたが、それは全く不安定で、香水に使うと最終的には猫のおしっこのような臭いがしてくるほどです。

香水はいい匂いでなければならないのです!いい匂いを作るためには、悪い匂いが必要なこともあるんです。例えば、ジャスミンには悪い臭いがあって、それがジャスミンの香りを素敵にしているのです。

ブラックカラントに話を戻すと、果実味だけでなく、緑色の面も興味深いのです。それは甘いのではなく、もっとグリーンでピリっとエネルギッシュな感じです。

夜明けの青葉の香りを捉えたかった。だからマンダリンとブラックカラントをブレンドすることにしました。その結果、それはとても美味しく感じられるものとなりました。

そして、三つ目に重要な香料。それは中国産のジャスミンサンバックです。私はこれを〝香水の中の太陽〟と呼んでいます。

このジャスミンは、獣のような匂いがするグラースのクラシックなジャスミンとはまったく異なるものです。ジャスミンサンバックは、普通のジャスミンというより、オレンジ・ブロッサムのような感じです。

これは中華料理店のジャスミンティーにも入っています。ジャスミンはとても太陽のような香りがして、とてもポジティブでエレガントなので大好きです。

ルイ・ヴィトンのフレグランスには、いつも花を使っています。私は花を崇拝しています。だから男性用のフレグランスにも、花を入れるようにしています。

弾けるようにフレッシュでありながら、穏やかに広がるようでもある不思議なマンダリン・オレンジが、光を優しく拡散するように全身を包み込んでくれます。

やがて、アプリコットを思わせるオスマンサスとピオニー、マグノリアがムスクとオマーン産フランキンセンスの風に乗り、そこに、グリーンノートの閃光も加えつつ、最初の光を、パステルカラーの希望の光線へと変えてゆくのです。

最後に重要な香料は、オマーン産のフランキンセンスとムスクのスペシャル・ブレンドです。お香は私たちの魂と心に何かを与えてくれるものなのです。

この香りでは、洗練されたお香と、ジャスミンサンバックが生み出す喜びや太陽、陽気さのコントラストが、ルイ・ヴィトンのエレガンスを肌に残してくれると考えました。

最後に、この香りの面白さは、吹きかけてから1〜2時間後にオスマンサスが、あなたの肌に現れ、何かメッセージを運んでくれるところにあります。

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香水データ

香水名:ルジュール スレーヴ
原名:Le Jour se Lève
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2018年
対象性別:女性
価格:100ml/45,100円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン


トップノート:シチリア産マンダリン・オレンジ、ブラックカラント、ベルガモット、グレープフルーツ、オレンジ
ミドルノート:中国産ジャスミン・サンバック、マグノリア、オスマンサス、グリーンノート、ピオニー、ローズ、スズラン
ラストノート:イソEスーパー、バニラ、ホワイトムスク、オマーン産フランキンセンス