ジャスマン ドゥ ニュイ
原名:Jasmin de Nuit
種類:オード・パルファム
ブランド:ザ・ディファレント・カンパニー
調香師:セリーヌ・エレナ
発表年:2005年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売
セリーヌ・エレナの処女作
私にとって、少女時代の嗅覚の記憶のひとつは、父親(ジャン=クロード・エレナ)が愛していた庭のジャスミンの香りでした。ある夏の夜、ジャスミンの香りが一変して、動物のように呼吸しているように感じたのです。
土壌に根を張るジャスミンが、今にも私に向かって駆け寄ってきそうな衝撃を受けたのでした。この香りは、その衝撃を再現したものです。
そして、グラースの土壌が、植物を動物に変えるということを連想させる香りでもあるのです。
セリーヌ・エレナ
ジャン=クロード・エレナが2004年からエルメスの専属調香師になったことにより、ザ・ディファレント・カンパニーは、ジャン=クロードの娘セリーヌ・エレナに彼女の処女作を作るように依頼しました。
こうして2005年に誕生したのが「ジャスマン ドゥ ニュイ=夜のジャスミン」でした。
それは、彼女が敬愛する芸術家であるボッティチェッリが描く繊細な女性のイメージでジャスミンを捉えた香りです。ホタルのように夜を照らすジャスミンが、太陽の光を浴び、燃え尽きていく瞬間をフルーティな側面を持つエジプト産ジャスミン・アブソリュートにより、スターアニスをブレンドすることにより表現しています。
インドールたっぷりの野生的なジャスミンに負けないシトラスとスターアニスが甘さを香り立たせるトップノートからこの香りははじまります。それは繊細な女性の中に潜む嵐のようでもあり、とても魅力的な〝ただ綺麗にまとまっているわけではないジャスミン〟の香りがします。
しかし、ミドルノートにおいて、シナモンとカルダモンといったスパイスが、ブラックカラントと共に現れ、ジャスミンからバトンタッチされるように存在感を示します。
やがて、夜が明けていきます。ジャスミンは、太陽の光を浴び、(ほとんどジャスミンである存在感は示さずに)最後の甘さを放ちつつ、サンダルウッドによって、最後の柔らかい甘さを放ちつつも、アンバーとパチョリによりバニリックさも生み出しながら温かくドライダウンしていきます。
タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ジャスマン ドゥ ニュイ」を「スパイシー・ジャスミン」と呼び、「セリーヌが初めて手がけた作品は、父親のあっさりした「ヌーベル・パフューマリ」とは一線を画するスタイル。ずっしりと重い動物的なジャスミンの香り。」
「モーリス・ルーセルの「ムスク ラバジュール」を想わせる。押し付けがましいヒッピー系オリエンタリストといった感じだ。映画『サンセット大通り』の主人公ノーマ・デズモンド(過去の栄光にしがみつく往年の大女優)を控えめにしたような印象だが、そう思うのは私だけだろうか?」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。
香水データ
香水名:ジャスマン ドゥ ニュイ
原名:Jasmin de Nuit
種類:オード・パルファム
ブランド:ザ・ディファレント・カンパニー
調香師:セリーヌ・エレナ
発表年:2005年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売
トップノート:スターアニス、ベルガモット、マンダリン・オレンジ
ミドルノート:ジャスミン、シナモン、カルダモン、ブラックカラント
ラストノート:サンダルウッド、アンバー、パチョリ