ヘムロック & ベルガモット コロン
原名:Hemlock & Bergamot Cologne
種類:オーデ・コロン
ブランド:ジョー・マローン・ロンドン
調香師:ルイーズ・ターナー、ヤン・ヴァスニエ
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/23,650円
公式ホームページ:ジョー・マローン・ロンドン
〝自然の反逆者たちの祭典〟
ブリット・コレクションとは、常に新しい香りの領域を開拓するコレクションです。今回は、野生の花というアイデアでした。ヒナギクやスイセンのような野原で見かける典型的な野生の花ではなく、ほとんど花ではなく雑草のような花です。
私が野の花や雑草を愛するのは、理屈や理由もなく自然が支配し、思いがけず美しいものを作ってしまうことなのです。この種の花は、運河のそばでよく見かけますよね。
だから、2017年4月のある晴れた日の午後に、私たちは調香師のルイーズとヤンと一緒に艀(はしけ)に乗って運河を進む旅に出ました。
私たちは、水面にそっと垂れ下がるシダレヤナギの優雅さに魅了されました。艀で運河を探検した後、岸辺で何か発見があるかもしれないと思い、停泊しました。そしてヘムロックの繊細な白い花や、イラクサの葉のギザギザなど、野生の素晴らしい雑草や草花を発見することができました。
セリーヌ・ルー(クリエイティブ・ディレクター)
2019年3月1日(金)に、ジョー・マローン・ロンドンより「ワイルド フラワー & ウィーズ」コレクションの5種類の香りが限定販売されました。
〝自然の反逆者たちの祭典〟と銘打たれたコレクション。それはロンドン郊外にある川のほとりに生える手に負えない雑草や、野生の不思議でワイルドな草花からインスピレーションを得て作られた5種類の香りです。それぞれ30ml 各8400円(税抜)で発売されました。全てルイーズ・ターナーとヤン・ヴァスニエにより調香されました。
クリエイティブ・ディレクターのセリーヌ・ルーは、フレイヤ・ナヤーデ(Freya Najade)の写真集『Along the Hackney Canal』と英国のケネス・グレアムの児童文学『たのしい川べ』から、このコレクションの世界観を膨らませていました。そして、写真集を二人の調香師にプレゼントしていました。
「ワイルド フラワー & ウィーズ」コレクションについて
人生において、すべての違いを生み出すのはトラブルメーカーであり、新しい視点を提供するために、反抗の瞬間を利用する勇気ある人たちです。英国では、常に負け犬を応援し、不完全なものの中に美しさを見出す傾向があります。
このコレクションは、自然の反逆者たちを祝福するものです。最高級の原料を使用することは、私たちの特徴です。だから、これらの野草や雑草が、ユニークで貴重な資質を持っていないと誤解しないでください。野生の花や雑草は、自然を制圧し、理由もなく、思いがけず美しいものを作ってくれるのです。
セリーヌ・ルー
- ヘムロック & ベルガモット コロン
- カデ & シダーウッド コロン
- ルーピン & パチョリ コロン
- ウィロー & アンバー コロン
- ネトル & ワイルド アチリー コロン
この5種類の中のひとつ「ヘムロック & ベルガモット コロン」が、2023年にジョー・マローン・ロンドンのオンライン限定でアーカイブ・コレクションとして100mlで限定販売されています。
ジョー・マローン・ロンドンがイギリス人調香師ルイーズ・ターナーと仕事をするのは今回が初めてです。彼女なら誰よりも今回のインスピレーションを理解し、彼女自身が幼少期にイギリスの運河を訪れた記憶からインスピレーションを得てくれると思いました。
セリーヌ・ルー
私は、このコレクションを「旅」と考えました。川岸を歩いたり、ボートで川を下ったりしながら、いろいろなことを発見していくようなイメージです。フレグランスは、その旅の途中で見つけたもののスナップショットです。
私は子供の頃、野生の花を集めた思い出があります。家族や友人に手作りのカードを作るために、押し花するのがとても楽しかったです。特に春の花、サクラソウ、ブルーベル、ルピナスが好きでした。
ルイーズ・ターナー
地上にこれほど美しい毒が存在するのだろうか?
ミモザを使って自然のヘムロックを表現し、黄色いパウダリーな香りに仕上げました。それを、キューカンバー、白樺の葉、ホワイトムスクで引き立てました。ソフトでありながら、とてもフレッシュです。
ヤン・ヴァスニエ
一冊の著書も残さなかった〝西洋哲学の祖〟賢者ソクラテス(紀元前470年頃-紀元前399年)が処刑されるときに飲んだのがヘムロック(ドクニンジン)でした。
そんな危険なパウダリーなヘムロック(ドクニンジン)の花びらが、太陽のようなベルガモットと水辺のキューカンバー(キュウリ)の輝きに照らされ、白いプリンセスドレスのようにひらひらと清純なる優美さを広がらせてゆきます。
地上にこれほど美しい毒が存在するのだろうか?というほど爽やかなグリーンパウダリー感に満たされてゆきます。
ヘムロックの語源は、この毒草を摂取した時の症状である〝めまい、渦巻く〟という古代ギリシャ語です。そんな美しすぎて危険だと感じる深層心理をよろめかすように、黄金に煌く甘やかなミモザとアーモンドのようなヘリオトロープが、ムスクとバニラの風に乗り注ぎ込まれてゆきます。
まるで花びらが華やかに舞うような香りに包まれながら、もはや抗しきれないグリーンとフローラルのマリアージュに身も心も真っ白に燃え尽きていくのです。
まさにエマソンのこの言葉こそ、この香りに相応しい。愛は毒草であることが多いのだ。
愛は野生の花のようなものだ。思いも寄らない場所で見つかることが多い。
ラルフ・ウォルドー・エマソン
香水データ
香水名:ヘムロック & ベルガモット コロン
原名:Hemlock & Bergamot Cologne
種類:オーデ・コロン
ブランド:ジョー・マローン・ロンドン
調香師:ルイーズ・ターナー、ヤン・ヴァスニエ
発表年:2019年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/23,650円
公式ホームページ:ジョー・マローン・ロンドン
シングルノート:キューカンバー、パウダリーノート、ヘムロック、ミモザ、ヘリオトロープ、ベルガモット、フラワー・ペタルズ