素晴らしいサファリ・スーツ!!
グレース・ケリー・ルック9 サファリスーツ
- ベージュのウールのサファリスーツ、スエードのエルボーパッチ付き
- キャメル・レザーベルト
- 白のブラウス
- 黒のレースアップブーツ
- ベージュのピスヘルメット
グレース・ケリーは、2人の初老の男性によって、女を磨きました。それは、『真昼の決闘』(1952)におけるゲーリー・クーパーであり、本作におけるクラーク・ゲーブルでした。そして、後に『ダイヤルMを廻せ!』(1954)のレイ・ミランド、『裏窓』(1954)のジェームズ・ステュアート、『泥棒成金』(1955)のケーリー・グラントへと続いていきます。
オードリー・ヘプバーンもそうなのですが、昔のハリウッド女優が女を磨けたのは、魅力的な中年~初老の男優とのロマンス溢れる役柄によってでした。そして、段々とハリウッドが軽くなっていったのは、そういった年代のスターがいなくなり、年の差の恋愛を、ごく当たり前のように描かなくなったことによってでした。イイ女は、決して同世代の恋愛からは生まれないのです。
撮影の合間のグレース・ケリー
本作の唯一のドレスにおけるグレース・ケリーのエレガンスさが、アルフレッド・ヒッチコックのハートに火をつけたのでした。そして、『ダイヤルMを廻せ!』に彼女を抜擢することになったのでした。
彼女のイメージの全ては、すでに本作で完全に作り上げられていたのでした。グレース・ケリーの奇跡とは、一つのイメージに向かってひたすら突き進み、それ以外の可能性がないことを誰よりも本人が知り、映画で作り上げられたイメージをリアル・ライフの中で昇華させていった精神の強さにあるのです。
オードリー・ヘプバーンにしても、ブリジット・バルドーにしても、永遠のスタイル・アイコンと呼ばれる女性に共通する点は、自分の限界を知る潔さにあるのです。それはまたマリリン・モンローにも共通する美徳でした。こうして、グレース・ケリーも映画女優のキャリアを僅か4年半で切り上げ、プリンセスとして生きることに決めたのでした。