オーデフルール マグノリア
原名:Eau De Fleur de Magnolia
種類:オード・トワレ
ブランド:ケンゾー KENZO
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2008年
対象性別:女性
価格:50ml/7,000円
2008年から2011年にかけて発売されていた『花の水』シリーズ
2022年よりNIGOがクリエイティブ・ディレクターをつとめるファッション・ブランド、KENZOの歴史は、高田賢三(1939-2020)が、男子にも門戸を開いたばかりの文化服装学院を卒業後、1964年に船旅で単身パリに向かうことからはじまりました。
そしてパリで経験を積み、1970年にギャルリ・ヴィヴィエンヌにブティック「ジャングル・ジャップ」をオープンし、日本人としてパリに初めて出店したデザイナーとなりました。同年、ランウェイショーを行い、着物スリーブのプルオーバーを発表し、ヨーロッパでセンセーショナルな存在となりました。
立体裁断が基本のパリ・モードに、着物の幾何学的な形に由来する〝隠す美しさ〟を持ち込み、さらに木綿を素材に、レイヤードとオーバーサイズという概念を持ち込みました。そして後に、ヒッピー・ファッションを明るく上品なものへと転生させたフォークロア旋風の火付け役となるのでした。
高田賢三の香水に対する挑戦は、1978年からはじまりました。この年「キングコング」というバナナの香りがする香水を発表するも、まったく売れず、すぐに廃盤となりました。
1987年にケンゾー・パルファムが創設され(初代CEO兼クリエイティブ・ディレクターはピエール・ブロック、1999年に退任)、1993年にLVMH傘下に入りました。
そして1999年に、KENZOの創立者・高田賢三(1939-2020)が引退するにあたり、ケンゾー・パルファムのクリエイティブ・ディレクターに就任した、写真家、映像作家でもあるパトリック・グエージが、賢三の愛した花、ポピー(けし)をモチーフに、〝究極のケンゾーイズム〟を体現する香りとして、2000年に「フラワー バイ ケンゾー」を、アルベルト・モリヤスの調香により生み出しました。
空前絶後のヒット作となったこの作品以降、ケンゾーにとって〝花の香り〟は神聖なものとなりました。そのケンゾーのフラワー旋風の余波の中、2008年に生み出された限定コレクションが『オーデフルール(花の水)』でした。
それは日本を連想させる3つの花々(お茶の花、マグノリア、絹の花)が選ばれ、フランシス・クルジャン、オーレリアン・ギシャール、ジャン・ジャックといった3人の著名な調香師に依頼して創造しました(好評を博し、2011年までに合計6作品が発売された)。
フランシス・クルジャンにより調香された「オーデフルール マグノリア」は、3つの香りの中で最も人気のあった香りでした。
マグノリアの自然の恵みを全身で受け止めるようなシンプルさ
与謝野晶子『火の鳥』
平安時代より愛されてきた木蓮(=マグノリア)。決して目立つ花ではないのですが、約1億年前から存在する地球最古の花の一つです(白亜紀(約1億4500万年前から6600万年前)の地層から発見された)。そして、北朝鮮がスモモと共に国花としている花です。
まだ熟れ切っていないシトロンとベルガモットが、洋ナシのようなみずみずしい酸味と甘さをシンクロさせながら明るく弾けるようにしてこの香りははじまります。
すぐに、ピュアで、素朴で、清らかなマグノリアのクリーミーな甘さが、ムスクとベチバーにより、天と地が結び付けられていくように、柑橘類と新緑とひとまとめになり、天に向かって花を咲かせるように、心を全開放するような、柔らかで、フレッシュな軽快さで満たしてくれます。
マグノリアの自然の恵みを全身で受け止めるようなシンプルさがこの香りの魅力です。
シャワーを浴びたり、洗い立てのシャツを着る感覚よりも、太陽に温められたコットンに包みこまれていくような、やさしい光に包まれるような穏やかな感覚と言えます。
香水データ
香水名:オーデフルール マグノリア
原名:Eau De Fleur de Magnolia
種類:オード・トワレ
ブランド:ケンゾー KENZO
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2008年
対象性別:女性
価格:50ml/7,000円
シングルノート:マグノリア、シトラス