情熱の赤のイブニング・ドレス
60年代のボンドムービーの魅力は、現代の感覚にフィットするかなりゴージャスな旅のスタイルを見せてくれる所にあります。それはラグジュアリー・ブランドを擁するグループが実は世界征服を企む『悪の組織』かもしれないという、2020年代の世界にぴったりフィットするファッションの提案とも言えます。
そんな大それた話でなくても、たとえば東京に住む女性が、2泊3日で京都を旅する時に、どうせなら、少しドレスアップする場所にも出かけて、女子力をアップグレードする機会を逃さないように、メリハリをつけたファッションを楽しむ=非日常を楽しむという「旅が女を磨く」スタイルの提案です。
60年代のボンドムービーには、大人の男性を子供に戻してしまうように、大人の女性に、もっともっとヒーローや悪党に愛されたいオンナになりたいという願望を高めていく要素が多分にあり、妙な高揚感を高めてくれます。その象徴的なファッションが、物語の半ばでクローディーヌ・オージェがドレスアップする情熱の赤のイブニング・ドレスです。

魅力的な口元のほくろを持つボンドガールの一人。

本当にその美しさは、ボンドガール史上No.1とも言えます。
ドミノ・ルック5
レッド・イブニングドレス
- 赤のイブニングドレス、スパゲッティ・ストラップ
- 赤の大判のフリンジ・スカーフ
- 赤のハイヒールパンプス

60年代の派手なヘアスタイルにマッチした情熱の赤いドレス。

二人共ウォッカマティーニを飲む。

このレッドドレスは、映画の中ではあまり見せ場がありませんでした。
ドミノ・ルック6 最後の最後に登場する〝神ビキニ〟
メビウスビキニ
- 白×黒のメビウスビキニ

うにを踏んだ足の裏にむしゃぶりつくJB。

このビキニ、今でも違和感のない素敵なデザインです。

メビウスの輪のような見事なデザインのビキニ。

ビキニは髪の毛が濡れてから、その美しさを発散させます。

スタイルの良さが際立つ写真。足が健康的に細い。

そして、ビキニにダイビング機材の見事なマッチング。

これぞ、〝神ビキニ〟です。
『キャッツ・アイ』の来生泪に影響を与えたその存在感



©北条司/コアミックス・TMS 1983
女性におけるホクロ位置の大切さを痛感させてくれるクローディーヌの絶妙なホクロの位置。後に『キャッツ・アイ』の来生泪(きすぎるい)に影響を与えたその存在感が、どうしてももうひとつパッとしなかったのは、
1.イブニングドレス姿での見せ場がまったくない
2.幻のウエットスーツ
の二点によるものでした。女優の魅力は、水着姿だけでは生み出せません。もしこの二点が作中に備わっていたならば、クローディーヌは、ボンドガールを象徴するボンドガールになっていたことでしょう。
ドミノ・ルック7
ホワイト・ホットパンツ
- 胸元の開いた白のトップス
- 白のホットパンツ
- 水色のヘアバンド


シンディ・クロフォードに似ています。






幻のウエットスーツ・ルック
そして、クローディーヌ・オージェはこの作品の11年後の1976年に沢田研二と『パリの哀愁』で共演することになるのです。

劇中ではボンドが着ていた赤のウエットスーツ。

本作のウエットスーツのイメージが『冒険者たち』(1967)のジョアンンア・シムカス→『ザ・ディープ』『サンバーン』へと継承されていくのです。


この八頭身ぶり!

黒いウエットスーツ・ヴァージョン
『黄金の七人』のような全身網タイツ・ルック







作品データ
作品名:007/サンダーボール作戦 Thunderball(1965)
監督:テレンス・ヤング
衣装:ジョン・ブレイディ
出演者:ショーン・コネリー/クローディーヌ・オージェ/アドルフォ・チェリ/ルチアナ・パルッツィ/マルティーヌ・ベズウィック
- 【007/サンダーボール作戦】最初から最後まで空飛ぶジェームズ・ボンド
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.1|空を飛ぶショーン・コネリー
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.2|ショーン・コネリーとケン・アダム
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.3|ショーン・コネリーとダイビングウェットスーツ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.4|ショーン・コネリーとラグジュアリー・リゾート
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.5|クローディーヌ・オージェという絶世の美女
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.6|クローディーヌ・オージェ=水中銃を持つ女
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.7|クローディーヌ・オージェとウェットスーツ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.8|元祖・峰不二子 ルチアナ・パルッツィ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.9|ルチアナ・パルッツィとレーシングスーツ
