オフィシーヌ ユニヴェルセル ビュリー 京都BAL店
場所 京都・三条
住所 京都府京都市中京区河原町通三条下ル山崎町251 京都BAL 1階
電話 075-286-3584
日本で2号目にオープンした『ビュリー』
京都四条にある京都高島屋から三条に向かって河原町通を北上していくと、2分も歩けば京都BALに到着します。2015年にリニューアルした京都BALが開業したのは、1970年11月のことでした。そして1980年代にはコムデギャルソン(1982年に出店)をはじめとする国内外の有名デザイナーズブランドが集まる聖地として栄えました。
しかし、1990年代から出店テナント数が減り衰退してゆきました。建物も老朽化していたこともあり、2013年1月にリニューアルするために、一旦閉館し改修工事に入りました。
かくして、2015年8月21日に地下2階・地上6階の商業ビルとしてグランドオープンしたのでした。ロン・ハーマン、トゥモローランド、エストネーション等の高感度セレクトショップが集まるこの話題のファッションスポットの1階に、2018年6月7日にオープンしたのが「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」でした。
当時、日本2号目(旗艦店は代官山店)となる店舗は、フランスと京都、ふたつの文化が融合した、日本の茶室にインスパイアされた外観が特徴的な数寄屋造りのブティックとして話題になりました(『香水』と書かれた掛け行灯が最初に目に入ります)。
縄のれんをくぐると、そこは和の空間ではなく、19世紀のフランスの世界が広がるのです。フランスの職人が手がけたオークと楡の重厚な薬局棚、ヴェルサイユ式の寄木細工の床に包まれた素晴らしい空間です。
ビュリーの販売員の皆様が素晴らしい理由。
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、元々は1803年にジャン=ヴァンサン・ビュリーがパリに創立した、香り、美容法、衛生法の極意を提案してきた総合美容専門店ですが、2014年までに、もはや存在しないも同然な存在になってました。
このビュリーを復活させたのが、ヴィクトワール・ドゥ・タイヤック(パリの伝説的セレクトショップ「コレット」の元PR)とその夫ラムダン・トゥアミでした。そして、ブランドが興隆する中、2021年にLVMHグループが事業を買収し、この資本力により、現在、新店ラッシュとなっているわけです(ヴィクトワールは、ブランドディレクターとして残留)。
特に日本では、たぶん風土の関係から、外界の模倣と順応が、驚くべき情熱をもってつづけられ、それは今でも続いているのです。
たとえば、中身より箱を珍重するとか、内容より形式を重んじるとか、ごく卑近な例では、民主主義より実際に我々が受け入れたのはチョコレートや洋服だった。という風に、今では悪い面ばかり強調されるようですが、その昔仏教が渡来したときも、先ず飛びついたのは経典ではなくて、端麗な仏さまの顔であり、それに付属したもろもろのニュー・ファッションであったことを考えれば、決して、今はじまったことではない。
さらに、この極端に唯物的な嗜好が、後に独特の芸術や思想に育ったことを思えば、とかく卑下しがちな我々の欠点なるものが、いかに欠くことの出来ぬ資質であったか、ということについには思い当たりましょう。
『お能の見方』 白洲正子/吉越立雄
この文章の中に、なぜビュリーが日本で大流行しているのかという答えが見出せます。大切な人へのプレゼントとしても、自宅のインテリアとしてもとてもお洒落だからです。そして、日常で製品を愛用するうちに、そこに込められた品質の良さに感動し、色々なアイテムを揃えていくようになるのです。
コロナ前のビュリーは、どちらかというと、ほとんど説明しなくても売れるため、香りの案内というスタンスで販売する販売員は少なく、隣に無言で立っている人がほとんどでした。しかしパンデミックの間に、最も優れた販売員の中から選抜した人がトレーナーを兼任するようになり、飛躍的に、香水及び香りものの接客力があがるようになりました。
特に「レ・ジャルダン・フランセ」の登場がこのブランドの接客姿勢に与えた影響は大きく、〝特別なテーマを持つ香水〟を販売するために、求められる、心の接客をしっかりとしていくようになりました。
たとえば「レ・ジャルダン・フランセ」を説明するときに最低限必要なことを以下挙げてゆきます。
- なぜビュリーが、このコレクションを作ろうと考えたのか?ということについて、自分の言葉で分かりやすく簡潔にお伝えする。
- そもそもビュリーというブランドと香水の関係はどういったものか?
- お客様がどういったきっかけでこのコレクションを知るに至ったのか?
- お客様と「レ・ジャルダン・フランセ」のある香りを結び付けていく=香りのカウンセリング。
つまり、本来は通常販売している香水においてもしておくべきカウンセリング力が必要となるわけです。以上のような香水の接客が出来る販売員様がビュリーには沢山おられます。
ビュリーが日本全土を席巻している理由は、元々ビュリーを購入し、その世界観に惚れ込んでいる顧客様が、販売員に憧れ、働くようになるというグッド・サイクルを生み出している点にあります。それは販売員を大切にし、丁寧に販売員を育てていくという会社の姿勢から生み出されています。
代官山や麻布台の店長や販売員の方々のように、元々関西の店舗で頑張ってこられた方々が多いのですが、ディプティックと同じく〝やりがいのある職場環境〟を生み出しているからこそ、優れた人材が集まり、どの店舗に行っても、素晴らしい空間が生み出されているような気がします。