ボア ダルジャン エスプリ ドゥ パルファン
原名:Bois d’Argent Esprit de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2025年
対象性別:ユニセックス
価格:80ml/ 57,420円
公式ホームページ:ディオール

ディオールの「エスプリ ドゥ パルファン」とは?

©DIORBEAUTY
ジュエリーの世界に例えると、「エスプリ ドゥ パルファン」は作品の中心となる石です。「エスプリ」は、オートクチュールと香水を最も直接的に結びつけるものです。そのためオリジナルの香りをよりミニマルな視点でとらえ、贅沢な濃度で力強くその香りの特長を強調しています。クリスチャン・ディオールは常に自分をクチュリエの調香師だと考えていましたが、「エスプリ」はその考えを体現しています。
フランシス・クルジャン(以下すべての引用は彼からのもの)
2018年から発売されているディオールのフレグランスの最上級コレクション「メゾン クリスチャン ディオール」が、2025年2月7日に「ラ コレクシオン プリヴェ」の名に戻りました。そんな原点回帰する過渡期であった2024年9月6日に、コレクションのなかに「エスプリ ドゥ パルファン」5部作が加えられました。
ディオールの初代調香師であるフランソワ・ドゥマシーが生み出した5つの傑作を、二代目調香師フランシス・クルジャンが、メゾンの伝統を活かして、ファッションを濃縮した「エスプリ ドゥ パルファン」へと昇華させました。特別なものをさらに磨き上げ生み出された〝究極のプリヴェ〟です。
元々70年代後半から、フランスの贅沢品税から逃れるために、ディオールは「エスプリ ドゥ パルファン」という新しいフレグランス・ラインを作っていました。その中には「ミス ディオール」や「プワゾン」もありました。長らくクルジャンはこのカテゴリーを復活させたいと考えていました。
そして2025年10月3日に六番目の「エスプリ ドゥ パルファン」として追加されたのが「ボア ダルジャン エスプリ ドゥ パルファン」でした。
「エスプリ ドゥ パルファン」は、メゾンの最も複雑でユニークなフレグランスを掘り下げ、〝香りのシルエットを再定義する〟夢の機会でした。
これらの新しいフォーミュラは、オリジナルを単純に増幅したものでも、オリジナルに刹那的なひねりを加えたものでもない。むしろ十分に親しみを感じるものにまったく新しい魅力的なテイクを加えたものです。
オリジナルの愛用者には、彼らのシグネチャーフレグランスの新たな一面を発見してもらえるでしょう。おそらく「エスプリ ドゥ パルファン」は、日常使いするオリジナルのイブニングドレスのような役割を果たすことでしょう。
一方、ディオールのフレグランスの王冠を飾る宝石のようなフレグランスに初めて触れる人に対しても、これらの特別な香りを、是非楽しんでもらいたいと願っています。
アイリスの究極形態=イリス・アブソリュートの〝超・究極形態〟

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他の「エスプリ ドゥ パルファン」と同様に、「ボア ダルジャン」の創作においても、まずはその香りの構成を本質まで削ぎ落とすこと、いわば嗅覚におけるミニマリズムからはじめました。そこから、最も中毒性があり、高貴な側面を見極め、それをさらに追求することで、その香りのラインを徹底的に再定義化しました。
それはまるで最終的なオートクチュールの作品を仕立てる前に、トワル(試作)を用意するように、香りの本質を凝縮した解釈を生み出すことです。つまりすべてのノートには目的があり、最終的な結果は、その香りの最も純粋な表現を明らかにするものでなければならないのです。
エスプリ ドゥ パルファンの「ボア ダルジャン」では、肌と肌がふれ合うような、抗えない魅力を強調したいと考えました。濃密で豊潤なトスカーナ産イリス・アブソリュートと、特徴的なフランキンセンスが軸となるこのフレグランスは、深淵でありながら艶やかな光沢を放ちます。
この香りのオリジナルは2004年に誕生した「ボア ダルジャン」です。「コローニュ ブランシュ」「オー ノワール」と共にはじまった「ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」のうちのひとつとして、唯一、今も健在な〝不滅のディオールの香り〟です。
21世紀最後の魔女アニック・メナードにより調香されたこの香りから、当時、ディオール・オムで世界中の男性の支持を独占していたエディ・スリマン(1968-)のアイリスに対する〝愛の旅〟がはじまりました。
以後エディは、「ディオール オム」や「セリーヌ オートパフューマリー」といったアイリスへの愛を貫いていくことになるのでした。
そんな〝運命のアイリス〟の究極形態としてこの香りをフランシス・クルジャンが創造しました。
官能的な木と輝くメタルを融合させた『ハニー×アイリス』の香り

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私は「ボア ダルジャン」を、官能的な木と輝くメタルを融合させた、詩的で神秘的な矛盾として捉えています。その対話をさらに深めるために、中毒性のある高貴な側面を極限まで押し進めることを選びました。
そこで私はアイリスに注目しました。私にとってアイリスは、ローズ、ジャスミン、オレンジブロッサム、チューベローズ、ラベンダーに次ぐ、ディオールの6番目の花なのです。アイリスは「ディオール オム」にも、「ボワ ダルジャン」にも使われています。
私はアイリスの様々な側面の中にコントラストを生み出し、3つの柱からなる嗅覚の三重奏を作り上げました。それは、温かく、ふんわりとしていて、パウダリーで光沢のある天然のイリス・アブソリュート、それにアンブロクサン™が持つアンバーグリスのような中毒性のあるウッディなニュアンス、そして豊かさ、深み、包み込むような感覚をもたらす、きらめくハニーのようなフランキンセンスのアクセントです。
その結果、複雑さと質感にあふれたフレグランスが誕生しました。その核となるのは、ディオールの象徴的な花であるトスカーナのアイリスであり、この花こそが香りの構成に優雅さと調和をもたらしています。
「Bois d’Argent=銀の木(シルバー・ツリー)」という名の欲望の香りには、二重の意味があります。ひとつは、木と金属が織りなす神秘的なブレンドであり、もうひとつは〝argent / アルジャン〟が持つもうひとつの意味である〝お金=札束〟を連想させる『悪徳の囁き』です。
〝究極のシルバー〟の香りは、スプレーを吹きかけた瞬間、とてつもなく冷たい二つの香りの感触に素肌が満たされてゆきます。それは陰鬱なフランキンセンスの中から、しずしずと艶やかに浮かび上がるメタリックな花びらを滑らかに揺らすアイリスの情景からこの香りははじまります。
氷のようなアイリスの微笑みで素肌が凍らせられていく中、蝋燭の炎のようにゆらゆらとゆらめくハニーとアンバーグリス×アンブロクサンが、冷たい闇を甘やかな輝きでとかしてゆきます。
ひんやりと冷たく、クリーミーでパウダリーなアイリスの清涼感と、温かいアンバーでドーピングされたハニーの妖しい甘やかさのコントラストが、素肌にミステリアスな精彩を放ちます。
やがてこの香りが真の姿を露わにしてゆきます。うっとりするようなムスキーバニラが、知らず知らずのうちに酔わせていく危険な甘さで、すべてをひとまとめに、誰かのためでなく、自分の為のとても贅沢な孤独の余韻で満たしてくれます。
自分に自信が持てる〝キミにも同じ孤独をあげたい〟香りです。
ちなみにこの香りのためにイリスバター(イリスコンクリート)よりも遥かに希少であるイリス・アブソリュートが使用されています。
ムスキーバニラ・アコードを、よりハニーのような、温かみのある、黄金色に輝くような香りに変えました。フランス語で「Bois d’Argent」は「銀の木」という意味ですが、これは矛盾した表現です。響きは美しいですが、文字通りの意味はあまりありません。私はその「銀」を、より輝きがあり、明るく、大胆で、魅力あふれるものへと変えたいと考えました。そこで、バニラとムスクを、オリジナルの処方にはなかったハニーのような香りに仕立て直したのです。
香水データ
香水名:ボアダルジャンエスプリドゥパルファン
原名:Bois d’Argent Esprit de Parfum
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:フランシス・クルジャン
発表年:2025年
対象性別:ユニセックス
価格:80ml/ 57,420円
公式ホームページ:ディオール

シングルノート:トスカーナ産アイリス・アブソリュート、ハニー、フランキンセンス、アンバーグリス、アンブロクサン、バニラ

