ブラックサフラン
原名:Black Saffron
種類:オード・パルファム
ブランド:バイレード
調香師:ジェローム・エピネット
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/26,070円、100ml/38,170円
公式ホームページ:バイレード
頬ずりしたくなるフルーティレザーの香り
嗅覚は理性と論理を担う左脳の動きを抑制し、創造性と空想を育む右脳を刺激する。だからこそ五感のうちでもっとも感情を伴う記憶を呼び起こすのだ。私たちが香りをまとうのは、自分をもっと魅力的に見せたいからだけではなくて、香りが感情を解き放ってくれるからだ。
『パルファム紀行』セリア・リッテルトン
2006年に創立されたバイレードから2012年に発売された「ブラックサフラン」は、ジェローム・エピネットによって調香されました。
3500年前にエーゲ海で栄えたクレタ文明の壁画にも描かれているサフランは、産地(主にイランとスペイン)と等級により香り立ちが全然違ってくる世界一高価なスパイスです。黄金よりも高価なことから〝スパイスのダイヤモンド〟とも呼ばれます。
インドにおいてサフランは仏教徒の僧衣の色であり、聖なる色として称えられています。そして、カシミールはサフランの産地です。
バイレードの創業者ベン・ゴーラムの母親はインド人なのですが、そんな彼がインドで過ごした日々の記憶を呼び覚ます香りとして生み出されたのが、この香りです。
「黒いサフラン」という名の香りなのですが、香りから感じ取るイメージに〝黒い〟要素はひとつもない、腹黒い謎を背負ったスフィンクスのような香りです。
まず最初に「ブラックサフラン」は、太陽の光を浴び、ジューシーなボンタンの皮と果肉の香りに、クリーミースパイシーなカシミール産サフランが溶け込んでゆきながらはじまります。太陽が海原に沈んでいくような素敵なオープニングです。
すぐに、透明感に包まれたスーっとするようなジュニパーベリーが加わり、このフルーティ・サフランは〝透明な森の果実の香り〟となります。
ボンタンが減退するにつれ、甘酸っぱいラズベリーが存在感を増し、パウダリーな甘いバイオレットとスモーキーなレザーが〝フルーツとサフランの森〟を満たしてゆきます。それはどこか、トム・フォードの「タスカン レザー」を連想させます。
やがて、スモーキーでありながらフルーティーな甘さを伴うレザーの香りは、ベースのハイチ産ベチバーとブロンズウッドにより、肌の中に柔らかく蕩けるように馴染んでゆき一体化していきます。
頬ずりしたくなるような肌とレザーの境目にある官能の香りです。
香水データ
香水名:ブラックサフラン
原名:Black Saffron
種類:オード・パルファム
ブランド:バイレード
調香師:ジェローム・エピネット
発表年:2012年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/26,070円、100ml/38,170円
公式ホームページ:バイレード
トップノート:ブンタン、サフラン、ジュニパーベリー
ミドルノート:ブラックバイオレット、レザー、クリスタルローズ
ラストノート:ブロンドウッド、ラズベリー、ベチバー