無名時代のオードリー・ヘプバーンが着るディオールドレス
オードリー・ヘプバーン(1929-1993)がアカデミー主演女優賞を獲得し、スターになった『ローマの休日』がイタリア・ローマで撮影されたのは、1952年6月23日から10月11日の間でした。しかし、アメリカで公開されたのは、1953年8月であり、日本公開に至っては、1954年4月末でした。
『ローマの休日』が世界中で大ヒットし、〝ロイヤルプリンセス旋風〟に世界が包まれた頃に撮影されたのが、『麗しのサブリナ』でした。それは1953年9月29日から12月5日の間でした。アメリカでは、1954年9月22日に公開され、日本においても同時期に公開され、〝オードリー旋風〟が巻き起こりました。
遡ること3年。1951年5月21日から10月3日にかけて撮影されたのが、本作『モンテカルロへ行こう』でした。フランスの人気ジャズバンドのリーダーであるレイ・ヴァンチュラがプロデューサーと主演を兼ねる本作に、その役は小さいのですが、オードリーが出演することを決めたのは3つの理由からでした。
出演料が高く、クリスチャン・ディオールのドレスを着ることが確約されており、さらにはじめてモンテカルロの太陽の下で一ヶ月間撮影のために過ごせるという特典があったからでした。
サファイア王女のようなヘアスタイル
本作のためにオードリーは、自らの考えで、おてんば娘風のショートカット(イタリアン・ボーイ・カット)にし、いたずらっぽい感じを出すために眉毛の端っこを剃り落としました。その雰囲気は、手塚治虫が『リボンの騎士』(1953~66)で描いたサファイア王女そのものでした。
メリッサ・ファレルのファッション1
クリノリン・スタイル
- 19世紀を舞台にしたクリノリン・スタイルのドレス
- ビスチェ
- ドレスと同じ生地のラッフルパンツ
- 黒のフラットシューズ
オードリーと3回共演した男。
『麗しのサブリナ』(1954)において、「不幸な恋をしている女性はオーブンのスイッチを入れるのを忘れる。幸せな恋をしている女性はスフレを焦がす。」というナイスなアドバイスをサブリナにしてあげる素敵な男爵を演じている人こそが、本作でオードリーのマネージャー役のマルセル・ダリオ(1900-1983)でした。
そして、『おしゃれ泥棒』(1966)においても二人は共演しました。
メリッサ・ファレルのファッション2
ルームガウン
- ヤシの木柄のルームガウン
作品データ
作品名:モンテカルロへ行こう Nous irons à Monte Carlo (1951)
監督:ジャン・ボワイエ
衣装:ジャック・コステ
出演者:オードリー・ヘプバーン/フィリップ・ルメール/マルセル・ダリオ/レイ・ヴェンチュラ