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アラン・ドロン

アラン・ドロン4 『太陽はひとりぼっち』3(2ページ)

アラン・ドロン
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作品データ

作品名:太陽はひとりぼっち L’eclisse (1962)
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
衣装:ビーチェ・ブリケット/ギット・マグリーニ
出演者:モニカ・ヴィッティ/アラン・ドロン

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アラン・ドロンの魅力を伝える2枚の写真



まずは上記の二枚の写真を見ていただきたい。本作『太陽はひとりぼっち』におけるモニカ・ヴィッティとミケランジェロ・アントニオーニ監督、そして、アラン・ドロン(1935-)の撮影の合間の休憩姿をパパラッチした写真です。この時の素のアラン・ドロンの姿が、自信に満ちたリラックス感に溢れているというよりも、緊張感に溢れている所に驚かされます。

アラン・ドロンという俳優のイメージは、二面あり、ハンサムな俳優というイメージ以外に、ヨーロッパの巨匠に愛された俳優と言う別のイメージもあります。アラン・ドロンの天才性は、〝アラン・ドロン作品〟に出演する時は、誰よりも自分自身が輝くことを心がけ、一方〝映画監督の作品〟に出演する時は、見事にその世界観に溶け込むことを心がけている点にあります。

1960年代において、世界で最も美しい男と言われたアラン・ドロンが、これほどまでに真面目に役作りに励んでいる姿を見ているだけで、この作品における彼に対してとても興味が沸くのです。ピエロの役柄は、上流階級の息子であり、その冷酷さと上昇志向が絡み合い、女性は自分の美貌と将来性に夢中になるはずだという確信を持って生きている役柄です。しかし、その役柄から、アラン・ドロン本来の居合い抜きをする剣士のような凄みがときおり香り立つのも事実です。彼の魅力は、そんなふとした瞬間に見せる虚無的な表情にあるのです。

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ゴダールが、アラン・ドロンを絶賛した作品。

アラン・ドロンと言えば、世界一美しくスーツを着こなす男性。

グレースーツを着こなす力は、ケーリー・グラントに並ぶ。

ブラット・ピットにも影響を与えた立ち振る舞いの数々。

アラン・ドロン・スタイル1
  • グレー系のシングルスーツ、ノッチドラペル
  • 白のシャツ、ストライプ
  • オクタゴン柄のネクタイ

私は証券取引所で働いている全員を雇って、その背景を再構築しようと努めました。

ミケランジェロ・アントニオーニ

ジャン=リュック・ゴダールが、アラン・ドロンを評価した作品は、『パリの灯は遠く』(1976)、『若者のすべて』(1960)、『太陽はひとりぼっち』(1962)の三作品でした。アランは、アントニオーニが雇った本物の株式仲買人達から、所作の全てを学び取りました。本作の証券取引所のシーンで登場する人々は数人のプロの俳優を除き、全て本職の人々でした。

ネクタイを直すふりをして、前に立つ女性をナンパしようとするが、若作りのおばさんだったことを確認し、しらっと通り過ぎる所作。電話の受話器を、ダンスを踊るかのように、軽快に反転して受け取り、その受話器を他人に渡す時は、素直に渡さずに後ろ手で渡す。そんなアランの一歩間違えれば、きざったらしく見える動作の数々は、ブラッド・ピットに多大なる影響を与えています。

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キスするまで、決して諦めない男。

難攻不落の女を演じさせたらピカ一のモニカ・ヴィッティ。

アラン・ドロンは、白黒作品によって、神格化された。

真正面から撮ると意外に冴えないルックスのアラン。

アランが煙草を持つ姿には、個性があります。

ヴィスコンティの『若者のすべて』で共演したアニー・ジラルドとレナート・サルヴァトーリと共に。セットにて。

アントニオーニと打ち合わせするアラン。

それにしてもこの二人。案外お似合いのカップルでは・・・

アラン・ドロン・スタイル2
  • ダークスーツ、シングル、ノッチドラペル
  • 白のシャツ、カフスボタン
  • ネクタイ
  • 外羽根式のプレーントゥ

アルファロメオのジュリエッタ・スパイダーを乗り回すピエロ。60年代のコンバーチブルは本当にカッコいいです。

この作品のアラン・ドロンから学べる最も大きなことは、押して引いての美学です。それは、より露骨な言い方をすれば、キスをするまで決して諦めない姿勢です。狙いを定めた女性に対して強引にキスをしようとするのではなく、「向こう側でキスをする?」と聞く図々しさと、拒まれると速やかに引くという柔軟性を保ちつつも、何度も機を見るに敏にトライする首尾一貫した行動が、揺れ動く女心を捉える瞬間を生み出すのです。