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ディプティック

【ディプティック】ロー デ ゼスペリード(オリヴィエ・ペシュー)

ディプティック
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ロー デ ゼスペリード

原名:L’eau des Hesperides
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:オリヴィエ・ペシュー
発表年:2008年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/23,100円
公式ホームページ:ディプティック

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ヘーラーの果樹園の黄金の林檎=黄金のオレンジの香り

『ヘスペリデスの園』エドワード・バーン=ジョーンズ、1869-73年頃

イモーテルという花は、ピーチ/アプリコットのような果実と新緑の若葉、そして熟れた肉体の三つを連想させる香りを生み出してくれます。この花の驚異を見事に生かし、ダークで、ムーディーで、奇妙で、意識的に近づきがたく、難解で、印象的で、独自の個性を主張する、ディプティックの真髄ともいえる作品は誕生したのでした。

さらにほとんどのオーデコロンが、黄昏のように急速に消えてしまうのですが、ペシューは、驚くべき専門知識と技術を駆使して、肌への持続性に優れたものにしました。そのためこのコロンは持続し、安定し、完璧に拡散します。

ファンとアンチを生むだろうが、オーデコロンというジャンルとディプティックのコレクションの両方を見事に拡張することに成功した逸品と言えます。

チャンドラー・バール(ニューヨーク・タイムズ、2008年5月)

ディプティックが1968年に発売した最初のフレグランス「ロー」の40周年を記念して発売された3種類のコロンのうちのひとつが「ロー デ ゼスペリード」でした。三種類ともオリヴィエ・ペシューにより調香されました。

〝Hesperides〟=ヘスぺリデス(黄昏の娘たち)とは、ギリシャ神話に登場する、貴重な「黄金の林檎(オレンジのことを差す)」が実る、世界の西の果てにあるヘーラーの果樹園を守る3人のニンフたち(父はアトラース)です。アイグレ、エリュテイア、へスぺリスの3人は木の世話をしながら、耳に快く魅惑的な声で歌を歌いのどかな毎日を過ごしていました。

もともとこの黄金の林檎の木は、ゼウスとヘーラーの結婚祝いとしてガイアが贈ったものでした。しかし、浮気者のゼウスは新しい愛人を作るたびに、恋の贈り物として黄金の林檎をばらまいてしまうため、ゼウスの手が届かないように、ヘーラーが移し植えたのでした。

ちなみに百の頭を持つ決して眠ることのない竜ラードーンが黄金のリンゴの木の周りにぐるぐる巻き付き、番をしています。このどこか牧歌的な雰囲気をビターオレンジ、ペパーミント、イモーテルで表現したのが「ロー デ ゼスペリード」です。

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汗だくになった肉体に吹きかけたくなる〝香りのクールウォーター〟

『ヘスペリデスの園』フレデリック・レイトン、1892年

©Diptyque

ビターオレンジをはじめとする柑橘系が記載されたトップノートを見て最初に感じる感情はごくありきたりなオレンジ系のオーデコロンなのだろうかという感情でしょう。

しかし、この香りは、そういった正統派ビターオレンジ・コロンとは一線を画する香りです。

そんな「ヘスぺリデスの水」は、苦みの効いたジューシーなビターオレンジに、相反する甘酸っぱいレモンが新鮮な〝シトラスの衝撃〟を生み出す中、刈り取ったばかりの新緑の若葉の青くさい香りに、ペッパーに弾き出された、フレッシュでメンソールが効いたペパーミントが折り重なっていくようにしてはじまります。

ビターレモンと新緑の若葉とペパーミントの切れのある三重奏は、まるで真夏に汗だくになった肉体に浴びる冷水シャワーのようです。それはまさに真夏に冬将軍が到来するほどの冷たさを生み出してくれます。

どこかゲランの「ハーバフレスカ」とディプティックの「オイエド」を連想させてくれます。この香りの面白さは、ペパーミント×グリーンノートの背後で、渦巻く欲望のように、ビターオレンジが様々なオレンジのエキスを付け加え、それとなく凄まじいパワーを静かに育んでいる所にあります。

やがて、スパイシーなキャラウェイと、雨上がりのハーブガーデンのようなローズマリー/クローブのスパイス&ハーブの組み合わせが、少しアーシィーさを伴わせながら、ペパーミントに活気を与えてゆきます。

そして、まさに時は来た!とばかりに、振り返れば、素晴らしい〝黄金のオレンジ〟はそこに誕生しているのです。まるで木に巻き付くラードーンがイモーテルの(メープルシロップ風)蜂蜜のような独特な甘い栄養素を与えたかのようにこのオレンジは明るく爽やかな芳醇な香りを解き放つのです。

こういった香りの流れは、オーデコロンの特性としてほんの一瞬で起こる物語です。そして、最後に、シダーとムスクが加わり、甘さを抑えるように、清々しい〝黄金のペパーミント〟に全身が包み込まれてゆき、エレガントでミステリアスなオーラを自分自身が放ちながら、すべては無に帰してゆくのです。

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香水データ

香水名:ロー デ ゼスペリード
原名:L’eau des Hesperides
種類:オード・トワレ
ブランド:ディプティック
調香師:オリヴィエ・ペシュー
発表年:2008年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/23,100円
公式ホームページ:ディプティック


トップノート:ビターオレンジ、プチグレン、草、マンダリン・オレンジ、ローズマリー、レモン、キャラウェイ、ペッパー
ミドルノート:ペパーミント、フローラルノート
ラストノート:イモーテル、シダー、ムスク